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俺と私  作者: 大仏さん
17/50

4月28日 木曜日 2


「それじゃ、行ってくる」


「ああ」


私は注文を取りにいく為にキッチンを出た。

テーブルに行って注文を取っていると、別のテーブルからも呼ばれて、その中に先輩達が居た。


「こんにちは」


「頑張ってるみたいね」


「あいつも少しは見習えっての・・・」


葵さんには労われて、由香さんは裏央の文句を言っていた。


注文を取って、戻ろうとしたら、葵さんに呼び止められて話を聞くと、今日私の部屋に行ってもいいかということだった。

私はもちろん了承した。


もっと色々話したいと思ってるし、恵里ちゃんも紹介したい。


仕事もあるので、後は夜にということになり、終わるまで待ってもらうことになった。


キッチンに戻って注文を伝えていると、


「俺もそう思ってはいるんだがな・・・どうにも・・・」


と言う裏央の声が聞こえて、何のことか気になって聞いてみたら、私が聞いたことを考えてくれていたらしい。


「そんなに急いで考えなくてもいいよ?」


考えてくれるのは嬉しいけど、焦って答えを出して欲しくない。

曖昧な答えだったら私が納得出来ないから。


「俺もそれは分かってるんだが・・・どうしてもな?考えてしまうんだよ」


そう答える裏央に私は、今はどう思ってくれているのかを聞いた。


「まあ、友達だな」


返ってきたのは簡単な言葉。


でも・・・。


「それなら、今はそれでもいい。詳しく分かったらまた教えてよ」


「ああ」


友達と思ってくれていることが分かっただけでも良かった。


「あ、そういえばね?葵さんと由香さんが来てたよ?」


「最近よく来るな・・・」


「そうだね。それで、今晩私の部屋にくることになったから」


「そうか。ま、楽しめよ?」


「うん」




バイトが終わってから、咲さん達に挨拶をして裏口から出て、葵さんたちの元まで行くと、裏央を見た由香さんが、ものすごく嫌そうな顔をした。

声にも出てたけど・・・。


「こんばんは、裏央くん?」


「おう。とりあえず夜は危ないからアパートまで送るよ。ゆかは嫌だろうが、我慢してくれ」


「・・・・・・」


裏央の言葉を完全に無視している。


結局、裏央と由香さんは一度も言葉を交わさなかった。

私たちとは普通に話したけど・・・。


アパートに着いても裏央がどこにも行かないことを疑問に思った由香さんがやっと裏央と口をきいた。


「なんでまだいんの?」


「俺の部屋がここだから。それじゃ、真奈?あまり騒がしくするなよ?」


内容は余り良くなかったけど、何も話さないよりは多分マシだと思う。


「ああ」


一言答えて、部屋に入り、適当にくつろいでもらうことにして、冷蔵庫からお茶を出してコップに注ぎテーブルに置く。


「ありがとう」


「どうも」


私も座ってお茶を飲もうとコップに手を伸ばしたら、


「よう、遠藤。私たちも混ぜてくれ?ん、お前らもいたのか?」


突然涼子先生と美奈先生、恵里ちゃんが来た。


飲み物を追加して一気に賑やかになった私の部屋。


「そういえば、遠藤、バイトはどうだ?」


「楽しいですよ?葵さんと由香さんも最近よく来てくれますし」


「そうなの?今度わたしたちも行ってみようよ?涼子」


「そうだな・・・からかうのも楽しそうだ」


出来れば止めてください。

多分・・・というか絶対裏央は軽くあしらうから矛先が私に向く。


それから色々話したり、晩ご飯を食べたり、楽しい時間を過ごした。



「きゃ!涼子先生!どこ触ってるんですか!?」


由香さんの体をまさぐる涼子先生。


「いいだろう?減るもんじゃないし」


多分いけないことをしているとは思ってないですよね?


「葵ちゃんってスタイル良いわね?」


「そうですか?」


こっちは由香さん達とは違って静かに過ごしており、話題はスタイルのこと。


「裏央って大きいほうが好みなのかな?」


私も悪くはないとは思ってるけど、先生達と葵さんい比べたら・・・。


「それじゃ、私に勝ち目がないじゃないですか!」


恵里ちゃんも同じ感想らしい。


とりあえず、頑張ろうかな?



「電気消しますよ~?」


『は~い(ああ)』


パチっとスイッチを押して消灯し、布団に潜る。


成り行きでみんな泊まることになった。


「それにしても・・・先輩に敬語は遣わない、客として行っても敬語を遣わないなんて、あれで本当に大丈夫なの?」


「あいつが敬語を遣う相手なんて今まで居なかったと思うぞ?なあ、美奈?」


「うん。相手が誰でもね・・・初めて会った時から既にため口だったから」


「そうなんですか?」


それはなんと言うか、以外だった。


少なからず親しくなってから今の状態になったと思っていたから。


「いつからそうなったんでしょうね?お兄さんは」


「恵里ちゃん、裏央くんお妹なの?」


「違いますよ?単にそう呼んでいるだけです」


「あんなのを兄と呼べるの?」


由香さんはホントどうして、こんなに裏央を嫌ってるんだろう?

いくらため口で接したからと言ってもこんなに怒ることは無いと思うけど・・・。


もしかしたら単に意地を張ってるだけかも知れないけど。


「はい。私にとっては十分兄として慕うことができます」


何があったんだろう。


まあ、いいか。


「そろそろ寝ましょう?明日も学校がありますし」


「そうね・・由香ちゃんも怒ったままじゃ良い夢見られないわよ?」


「あんまり関係ないと思うけど・・・実際、眠いから、寝ようかな?お休み~」


その後すぐに寝息が聞こえてきた。


葵さん以外のみんなが、


『寝るの早!』


と突っ込んだ。



それから私たちも眠った。


明日裏央に怒られないかな?と思いながら・・・。


結構騒がしくしちゃったしね?




「裏央ならいいか」



とりあえずバイトも明日で一段落。


頑張ろう。



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