4月27日 水曜日 0.5
「それで?なんでゆかは動かないんだ?」
「貴方に会いたくないって・・・」
「いや、そりゃそうだろうな。そもそも、お前らが来る必要性も感じなかったし」
「こら、裏央。敬語を遣わないと駄目だと昨日言ったばかりじゃないか」
それについては別にどうでもいい。
とりあえず教室に入って、ゆかの近くへ行き、葵が声を掛けると俺たちの方を見たが、俺の顔を見た途端逸らした。
「そんなに嫌われるようなことはしてないと思うんだが・・・」
「そうなんだけどね~・・・」
まあ、俺がいても話は進まないだろうから俺だけ戻ることにした。
真奈が一瞬だけ悲しそうな顔をしたような気がしたが、上との繋がりもあった方が良いだろうからな。
頭を軽くポンポンとして、教室に戻った。
「仲が良いのね?」
「・・・どうなんでしょうね・・・」
確かに学校で話すのは生徒なら裏央しか居ないけど、裏央がどんな思い出私と接してくれているのかは分からないし。
私は友達だと思ってるけど、裏央はそんなこと意識してるとは思えないし。
「違うの?」
「分かりません」
はにかんで言うと由香さんが口を開いた。
「あんな奴とは別れた方がいいわよ!まさか同じ学校だったなんて!」
「昨日のこと・・・やっぱり怒ってますか?」
「当たり前でしょ!あなたのことはいい子だと思ってるけど、あいつはむかつく!」
「わたしは別に構わなかったけど?」
「葵は気にしなさ過ぎ・・・大体女の子の前でカロリーがどうこう言うだけでむかつくのに!」
「それは仕方ありませんよ」
「「え?」」
私が言った言葉に同時に声を上げる先輩達。
「裏央は脂っこい物が苦手で・・・お弁当も野菜が中心なんです。精々ウィンナーが2本くらい入ってるだけで、見てるだけでも気分が悪くなってしまうみたいです」
「それと、昨日のことと、何か関係あるの?」
「裏央に取って、ハンバーグや唐揚げ、脂っこいものばかりの店で働くことが、ちょっとしたストレスに繋がったのかも知れません・・・それを無意識に発散しようとして、そんなことを言ったんじゃないかと・・・決して悪気は無かったと思います」
まあ、あくまで推測でしかないけど。
「でも、それならコンビニなんかでバイトをすればいいんじゃない?」
「確かにそうよね?なんでファミレスなの?」
「それは・・・」
「「それは?」」
「・・・・・・どうしてでしょうね?」
私にも分からない。
どうしてなんだろう?
「聞いてないの?」
「はい・・・特に何も考えずに決まったので」
「でも、そうだとしたら、ちょっと気の毒ね・・・少しなら、食べても問題は無いんでしょう?」
「どうでしょう?ウィンナーだってバランスを取るために入れてるだけかも知れませんし・・・聞いてみましょうか?」
「お願い出来る?」
「はい」
「それじゃ、ごはん食べましょ?もう、余り時間もないから」
言われて時計を見ると確かに時間は残し少なくなっていた。
「ただいま」
「お帰り。どうだった?」
ここは家じゃないんだが・・・。
「楽しかったぞ?裏央も一緒に食べれば良かったのに」
「ゆかがあれだからな」
あの状態で一緒に食べるなんてことは出来ないだろう。
昼休みが終わるまで適当にだべって午後の授業も適当に過ごして、放課後になり、俺たちはバイトに向かった。
バイトの休憩中、真奈が何故ここでバイトをすることにしたのか聞いてきた。
「特に理由はないが?」
「そうなの?」
「ああ。ま、同じ場所だったほうが良いだろうとは思ったがな・・・」
それ位しかない。
「じゃあ、もう一つ質問だけど、いい?」
「ああ」
「私のこと、どう思ってる?」
「・・・・・・」
聞かれて俺は咄嗟に答えることが出来なかった。
暫く考えこんでいると、真奈がやっぱりいいと言い出し、まだ休憩も終わってないのに部屋を出て行った。
「・・・考えたこと無かったな・・・友達か?」
俺も部屋を出て仕事を再開した。
「どうしてあんなことを聞いたんだろう?」
本当は先輩に言われたことを聞こうと思ったのに・・・気付いたら、あんなことを言っていた。
悩んでいると咲さんが来て、どうしたのかと尋ねてきたけど、どう答えたら良いのか分からなくて、何でも無いですとしか答えられなかった。
裏央も部屋から出てきて仕事を再開した。
呼び出し音が鳴り、向かうと由香さんと葵さんだった。
「また来てくれたんですね?」
「ええ。それで、聞けたかしら?」
「いえ・・・聞こうと思ったら、別のことを聞いてしまいました」
「別のことって・・・何をきいたの?」
「私のことをどう思ってるのかって」
「まあ、大胆ね?」
「いえ!そういう訳じゃ///」
その後主に葵さんにからかわれた。
注文を聞いてキッチンに戻り伝えてから、皿を洗ってる裏央の隣で待機している。
「さっきの質問だが・・・俺自身お前のことをどう思ってるのか分からない」
「え?」
「友達かとも思ったが・・・どうも違う気がしてな?」
「どういう感じに?」
「・・・何なんだろうな?本当に分からないんだ」
「そっか・・・いつか、分かったら教えてくれる?」
「ああ」
それから葵さん達と少し話して、仕事をして・・・私達はアパートに帰った。
「遅い!」
「待ちくたびれたわよ?」
「ホントですよ」
「いや、知らねえよ」
帰ると部屋に涼子、美奈、恵里がいた。
「先生方も恵里ちゃんも何してるんですか?」
呆れたように真奈が聞くと、
「「「なんとなく」」」
3人ハモって答えた。
結局、5人で晩飯を食った。




