最終話
チュンチュンと小鳥の囀る声がする。
うう眩しい、瞼越しにも光を感じて俺はうっすらと目を開いた。
「……ょぅ」
あれ? いま天使の声がした? ここは天国かな? ならば迎えにきた天使に挨拶しなくてはいけないな。
「パパ、おはよう」
「おはよう私の天使」
「ふふっ、ヴィクトル様ったら……」
目を開くと顔面いっぱいにルシたんがいた。愛おしい天使は嬉しそうに俺の首に抱きついてる。かわいいなぁ、朝からパパの寿命がギュンギュン伸びちゃった。
それにルシたんの向こうから女神の声もした気がして、視線を向けるとセレナさんが嬉しそうにこちらを見ていた。
「パパ……ぼく、こんなふかふかなところでねたのはじめて!」
「おおそうか、今夜もパパと寝るかい?」
「うん! ママもいっしょ?」
そう言ってルシたんは反対側にいるセレナさんに甘えた目を向けている。
「はい。ママも一緒ですよルシフェル。ヴィクトル様、ルシフェルの部屋はまだ不要ではないでしょうか? この子には家族の温もりが必要です」
「セレナ……」
セレナさんは愛おしそうに綺麗な指先でルシフェルの頭を撫でている。撫でられたルシフェルも心地良さそうだ。
そうだなセレナさんのいう通り!
ルシフェルはまだ五歳、親と一緒に寝ていても何も問題なんてない。
「承知した。では子供部屋の家具を買うのはまた今度にして、今日は領地内でピクニックなんてどうだい?」
「まぁ! 素敵です貴方」
「ぴくにっく?」
「お弁当を持ってみんなでお出かけするんだ、どこに行きたいルシフェル? お前の行きたいところに行こう」
俺は目を輝かせるルシフェルに笑いかける。
セレナさんも嬉しそうだ。絵に描いたような家族団欒があっさりと実現していくのだ。
「ヴィクトル様、わたしはいちど部屋に戻って支度をしてまいりますね。朝御飯も一緒に食べませんか?」
「無論だ、これからはずっと一緒に食事をしよう。もちろんルシフェルも。俺はこれまで家族に対してとても愚かな行為をしてきた。その埋め合わせをこれから時間をかけてさせて欲しい、君たちの望むことはなんでもしよう」
それは俺の本心だ。
真ヴィクトルを地獄の底に突き落とした以上、あいつの犯した罪はこの身体を譲り受けた俺が償う。
何年、何十年かけたって傷つけた心を償うってきめたんだ。
そしてルシフェル、お前に悲惨な末路なんて迎えさせない!
俺のラスボス令息幸福計画は、今日から本格的に始動する!
絶対に絶対に! ルシフェル、お前を幸せにしてやるからな!
「うれしい、ありがとう。パパだいすき」
そう言って無邪気に笑うルシフェルを見ながら、俺は固く決意するのであった。
(完)
お読みいただきありがとうございました。
よ〜し、パパ頑張っちゃうぞ〜のノリでラスボスを救済する話を書きました。
短い文章でわかりやすく、を心がけて軽く読める話を目標にしてみましたがいかがでしょうか?
評価・感想いただけたら嬉しいです。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました⭐︎




