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女神の力を宿したおっさん。何度も死にながら人生を謳歌する。  作者: 灰色
1話 おっさんと女神と生きた兵器
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2 オルテの授業・終了

 貫いたと同時に弾丸は消え、少し間だけオルテの頭部から血が出たが、すぐに血も傷跡も消える。

 一瞬の出来事に何が起きたのか分からず、事情を知らない者は絶句して驚いていた。


「あー、そうかもう一個説明し忘れていた事があったな……」


 何事も無かった様に、やれやれ言った感じでオルテが説明を始める。


「あと、この力のせいで俺は不老でほぼ不死だ。理由はコアト曰く、死んだら復讐も何も出来ないかららしい。不死に関しては自殺のみ俺は自由に死ぬ事が出来る。もっとも試した事はないがな」


 苦笑気味にオルテが付け加えた。


「痛覚は普通にあるから、死ぬほど痛い目に合っても死ねない。お陰で俺は何度もある意味死ぬが、気にしないように」


 説明を終えるとオルテはメナを見る。

 先ほどの行動を気にしてないメナの姿がそこにはあった。


「コアトがそのままイチャつくなら、貴女の大事なオルテがさらに傷付く事になりますよ?」

「そこでなんで俺なんだよ! お前は鬼か悪魔か!」


 まるでそれが当たり前のように言うメナに、オルテは抗議するが、


「死なないからいいじゃないですか。どうしますか、金髪ワカメのコアトさま?」


 ウェーブの掛かった髪を見ながら、さらっとメナが言い、コアトは軽く溜息を吐いた。


「はいはい分かったよ。そろそろ消えるさ。じゃあ、みんなまたどこかでな」


 再び光の粒子になるとその姿が消えた。

 神は宿っていると言っても、出るのも消えるのも自由であり、外に出ていても本体は宿っている身体にある。

 それは仮に神が外に出ていても宿主が何をしているか、任意で共有でき全てを知る事が出来た。

 心まで読む事は出来ないが、基本的に隠し事は出来ない。


「ところでオルテ。私は鬼でも悪魔でも天使でもなく、兵器ですよ」

「勝手に言って無い事を付け足すんじゃねぇ。ったく……では次はメナについて話そう。メナはレトニアスで作られた機兵。人間を改造して作られた生体兵器だ」


 メナが一歩前に出る。


「私はリアス戦争末期にトニス様によって造られたMENA (エムイーエヌエイ)搭載型最終決戦兵器になります。長ったらしい? そうですね、ですから私の事はメナと呼んで下さい」


 そして丁寧にお辞儀をして言った。


「ちなみにMENAは『Magic・Explosion・Nuclear・Annihilation』からきている。要約すると、超強力な魔法爆弾で、最後は周辺を自爆で殲滅する兵器だ」


 オルテの言葉に教室内が騒めき出す。


「安心していい。俺とコアトの力で自爆機能は完全に停止させている。またこの自爆は衝撃で発動する事はなく、本人の意志でのみ発動する仕掛けだ」

「戦争当時は私の同型が何人が居ましたが、何度も自爆を見ました。今現在何人生き残っているのか、正確な数は分かりません。あと……」


 と、何かを思い出した様に続けて言った。


「お気付きと思いますが、私は200歳は超えています。ですが決してお婆ちゃんなどとは呼ばないように」


 そしてメナは両手にそれぞれ拳銃と剣を出す。


「身体を兵器にしたのは22歳の頃ですので、これでも立派な乙女になります。うっかり言うと、首と胴体がザシュっとなるか、その身体がズドンとハチの巣にされます」


 独特な言い回しのお陰で微妙に気が抜けるが、少なくとも笑顔でいうメナにうすら寒いものを学生たちは感じていた。


「ん? そろそろ昼休み前だな。あー、まぁ大体こんなもんか。最後に何か質問がある奴はいるか? あったら挙手しろ」


 壁に掛かっている時計を見てオルテ言うと、何人かが一斉に手を上げた。


「じゃあ、そこの竜族の女性。言ってみろ」


 オルテは奥の方に居る、少し小柄でセミロングの赤い髪をした20代に見える女性を指名する。

 耳の上あたりには二本の角が見え、尖って危ないので可愛いリボンが付いた角カバーが掛けられていた。

 世界で魔力の高い生物は人型になる事が出来る。

 愛と共存の神クエフの力であり、大型だと住む場所も食べる量も多く、資源の消費が激しいため人型になる事が多い。

 何より人型は汎用性があり、服飾にも適しているため、ほとんどの者が人型になっていた。


「神や神宿りは国の需要な組織のトップだったりしますが、オルテ先生はそういうのにならないのでしょうか?」


 事実、神も神宿りもその能力故に各国からひっぱりだこであり、身分も優遇されている。

 オルテも公爵の爵位を持ち、本来なら神宿りを含め一国の主になっていてもおかしくはなかった。

 オルテは女性の質問を聞くと小さく笑う。


「今日、授業を受けてみてどうだった? こんなたまにしか授業をしない、女二人にいい様に遊ばれる俺が、なんかのトップなんて務まると思うか?」


 オルテの問いに女性は苦笑で答えた。


「何より、自由気ままに生きる方が性に合ってる。正直、魔法や機械を研究しているのが好きでね。それが答えって奴だ」


 そこで授業終了のチャイムが鳴り、昼休みを告げる。


「みんなに言っているが、学園内にある俺の研究室には気軽に訪ねて来ると良い。俺が出来る事があれば協力はするからな。では、今回の授業はこれで終わり。単位は出るからハンコを押し忘れるなよー」


 オルテが言い終わると、学生たちは出入り口に設置されている小さな魔法陣が描かれてある机の上に、学生手帳を置く。

 すると空欄に自動的にオルテの名前のハンコが魔法で押されていった。

 授業が終わると、学生には教師のハンコが、教師には受けた学生のハンコが押される。

 学生は後で授業を受けた教師のテストを受け、一定以上の点数で単位を修得でき、教師は授業とテスト回数で単位を修得出来た。

 ハンコは一見簡単な魔法の様で不正防止策が練られてあり、不正がばれれば即退学になる。


 やがてオルテとメナしか居なくなった教室で二人はマイクなどの後片付けし、終わると不意にメナがオルテの顔を両手で掴み、自分が撃ち抜いたこめかみを優しくさする。


「急にどうした?」

「いえ、さっきはすみませんでした」

「謝るんならするなよ。死ぬほど痛いんだからな……まぁ、慣れたしいいが」

「家に帰ったら慰めますね」


 意味ありげにメナが微笑んだ。

 二人は一緒の家にずっと住んでおり、初めての出会いからはすでに7年ほど経っていた。


「気にしなくてもいい」


 どこか気まずそうにオルテが言う。

 そんなオルテを見てメナは小さく笑った。


「今更そんなに恥ずかしがる仲でもないでしょう?」

「あー……はいはい。そんな事よりもさっさと昼飯でも食いに行くぞ」


 オルテはどこか恥ずかし気に頭の後ろをポリポリと掻きながら、適当に話を切り上げると教室を出ようとする。

 そんな後姿をメナは楽しそうに笑顔で見つめていた。


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