第52話
砂浜の上で体育座りすると、お尻と地面のフィット感がなんともいえない心地よさと悲壮感を与えてくれる。
「ウメテ……」
ハイになってた。
アンハッピーバースデー。
猟奇的な言葉こわい。
「シフハンなんてしない」
「原因はお前が手に持ってるやつだよ。性能がですぎてたんだな。でもその様子だったらちゃんと耐性できていってるだろうから次からは大丈夫だろ……や、やめすなかけやめぇ!」
「八つ当たりだ。オレの方には足場作ってくれて守ってくれたハガネさんのサポートもあったのに、早すぎだろ。RTA記録保持者め」
「そりゃあ水に足取られずに近くまで移動できるし、あとは急所を銃で狙っていくだけだから安全確実ではえぇよ。それよりお前のリアント、使い手は生産系のくせに鱗の怪異人を真っ二つって相当やべぇよ。あいつら頭は良くないけど鱗がかてぇから熟練ノルムハンターが鱗を落としてようやく一撃入るってくらいだ。銃も鱗を割るだけだったり、たまに跳弾するし……や、やめ、だからすなかけやめぇ!」
「嘯けよ」
撃針は指の腹。
バンリは手に握ったトリガーを引くと装填のみ実行する特殊マガジンに込められた、火薬のない弾丸を撃ち込み続けていた。
暴発不発はなく、ジャムることも少ない。
空気を劈く音だけの究極のサスプレッサー武器。
やっぱコイツ、つえぇんだ。
戦闘向きの異象ってのはこういうのなんだろう。
「おまえ最強じゃん」
「そうでもねぇよ?オレって触れないと操る支配下に置けないわけ。支配できる領域も無限じゃねぇし決まってる。触れる→異象発動→操る。発動のステップの間に受けた衝撃は普通に受ける。それから触れた後に手を離しても楽に操れるのはライフの通う異象化してるものだけ。なんらかの方法でオレと接続してない限り、手から離れた瞬間に環境に戻っていこうとする」
「無限って意味理解できるんだな」
「っ……なぁヒラク。お前ってさ、ほんとうにスマホがないと異象を管理できないわけ?」
「いいや?」
「え?」
「……報告すんの忘れてた。アプリっていまのおれになにができるのかってのを表示してくれてるだけっぽい」
「おまえさ……戦ってる間にわずかだけど強くなってったのわかってる?」
「ガチ?」
「いまは異象を発動してないから普通に感じるだろうけど、ちょっと力んでみろ」
すこし遠くのぼやけてた水面の影と光が僅かにくっきりと、会話の声の下にあった環境音には車や人の騒音、自然の音が混ざり合っていたと頭が判り、潮の香りを強く感じる。
世界が明瞭になった。
「こんな光景じゃなきゃな」
「自分でやったんだろ」
生ぐせぇ。これを潮の香りっていっていいのか、昔から魚市場とかに行くと迷うんだよな。
「カレー食いてぇ」
「おつかれー」
「ひんだれた。アゲハ、おれんスマホ」
「その前に着替えてきなよ」
「クセェよな。とりま上だけ脱ぐ。ほい、スマホ」
「うっせとかないでさっさと流してね。はい」
「ありがとう。……バンリ、おれ、バイタルグレード14になってる」
「だろうな…… おまえが斬った死骸の核肉全部腐ってたし。大赤字だ」
「連帯責任って効く?」
「きょ、強化内容は満遍なくだな。一辺倒じゃなくてよかったじゃないか」
「うわぁ、ヒーちゃんいっつもそのことばだいっきらいって言ってるのに」
「フユミ。おれたちチームだよな」
「不懂英语」
「おれにはまだ一緒に戦ったリク、ウミ、ソラが!」
「あの3人なら先に帰ったよ。体が動かないって」
「リーんくん!」
「マジレスすると今日のシフハンは新人育成の一環だからヒラクくんに請求がいくことはないと思うよ」
「でもさ、本来は回収する予定だったものをダメにした挙げ句に自分の力にしちゃったんでしょ? それって着服ってーいうんじゃないのぉ?」
「そんな!?」
「モカちゃんニヤニヤいじめないで。それとも張り合ってるのかな?」
「バッカ、なにとよ!……核肉ダメになった原因はその武器でしょ?つまりエンジニアのリンも一緒に罰を受けるのでは?」
「わ、わるいのはヒラクくんだよねぇ?」
「そういやリンくん。アンの使用感で気になるところがあったんだ!」
「えっ、ホントに!どこどこ」
「ここなんだけどちょっと持って……じゃ、返却したんでグッパイ!」
「待ってよヒラクくん!?まって〜!」
花木 開 初の海開き 合計討伐数 762体、そのうち怪異人45体。
取得グリック(=着服核肉数)
☆1×542+☆2×175+☆3×45 =ꨄ︎1027 なお、全て強化で自動消費済み。




