第38話
明日は海開き。
海開きに備えて、検証を進めておくためにコインランドリーにきた。
「カエデさん。どうも……いろいろすみませんでした」
「いいんです。警戒されるのは当然のことです。むしろそこまで楽観主義でおざなりではないんだとすこし安心したくらいですので」
カエデさんは一足先に宮崎入りして準備してくれていた。
東京にいた間にオンラインで事前に書面で今日の検証・実験内容提案の書類がカエデさんから送られている。
店の前には工事中の看板が建てられて、建物の周りはシートがぐるっと覆う徹底ぶり。
「これが例の拡張機能のある機械ですね」
「はい」
「早速ためしてみましょう。バンリくん、フユミさん。警戒お願いします」
洗い乾燥全自動運転を開始する。
問題もなく全運転を終えた洗濯機から取り出された洗濯物は、他の機械を使ったときと遜色ない、むしろタオルはふんわりと、シャツの色落ちはなく色移りもないという便利な仕上がりになっていた。
「分析できました。やはり洗濯機は異象化しています。ウラルやリアントが放つ特徴的な波長に類似するエネルギー波長が計測機器に見られます。人体への影響等はないと考えられますが、何度か検証が必要です。次はわたしが運転を開始してみます」
スマホのアプリは他人が操作できなかったことを考慮して、カエデさんが次は実験台になると志願する。結果はなんら問題なく拡張機能は機能し、カエデさんにも問題は起こらなかった。バンリ、フユミのときも同様──かと思われた。
「うごかない」
フユミが運転開始ボタンを押しても機械はうんともすんともいわない。
壊れたかと思ってカエデさんがもういちどボタンを押してみると、動き出した。
「そんな渋い顔するなよフユミ。オレのせいじゃないって」
「レイシスト」
「なんでだよ!?オレはおまえのこと!……マジンだからってことか?」
「たぶん」
くさいセリフ吐くとこだった。
「拡張機能を一度オフに、洗濯モードで触れてみましょう」
「あっ、うごいた」
「マジンと異象者で違いがあるとなると……異象者以外の人材でも動くのかを試してみたいところではありますが……そんな人、オートメイド信者か未成年しかいません」
「たしかに……ちょっと電話していいですか?」
「ええ」
「アゲハ?あ、おれ。時間できたらちょっとランドリーの方にこれねぇかな?前におれの異象説明しただろ。あれに続きがあってさ、いまそれの検証をしてるんだよ……すぐくるって都合がついたらでいいよ悪いし。それに話を聞いてからでも……切れた……ということでカエデさん」
「では待ってる間に別の検証をしましょう」
「うっす」
運転ロックが解除されるまでの30分、どっちみちアゲハが来ても試せない。




