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グレードアップ  作者: エスプレッソ
海開き編

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31/50

第37話海休み

 宮崎県宮崎市。


「オレは帰ってきた!」


 ヒラク、空港より故郷の大地を踏みしめ太陽に吠える。


「オレも帰ってきた!」


 ついでにバンリ。


「ヒラク、バンリ。スーツケース放置してると盗まれる」

「はっは、フユミ。空港の玄関口で盗まれるってそんなに治安悪くねぇよ」

「こっちきて一緒に深呼吸しようぜ!」

「……いい陽ざし」


 5月の日照りはまだ強くはない。爽やかな風が吹き抜ける。


 今日は母さんが迎えにきてる。いたいた。今晩ウチに泊まる二人の紹介を終わらせて実家に荷物を置いたら、いざ、コインランドリーへ!……の前に、アマレーナへ。


「こんちわー!」


 元気な挨拶と共にドアベルを鳴らすと、出会い頭に耳元にアゲハの顔が詰め寄る。

 

「おうテメェ。わたしになにかいうことがあるんじゃないか?」

「……このたびは、挨拶もなく突然留守にいたしましてまっっこと、申し訳ない」

「おう……いらっしゃいませー!」

「こ、こんにちわ。ヒラクの同僚の至道 万離でっす」

「お、同じく同僚のフユミでっす」

「ご丁寧にどうも。わたしヒーちゃんの幼馴染の花木 朱翼ですー。アゲハって呼んでくださいね」

「わかりました、アゲハさん!」

「アゲハさん!」

「ヒーちゃんのお知り合いならご馳走します!ランチメニューからぜひお好きなものを注文してください!」

「よっしゃ!それじゃあ安いのから順番に……」

「そんな頼み方したらシロップや砂糖ばかりになるって」

「じゃあおすすめで!」

「わたしはマキアートに蜂蜜と……」

「フユミは柚子好きなんだろ?」 

「まぁ」

「じゃあ柚子胡椒なんてどうってェー!メニュー!あたまパコーンいったぞ!」

「ヒーちゃんがごめんなさい。柚子がお好きならゆずとはちみつのジュレを添えたアマレーナなんてどうですか?それから日向夏の風味のミモザケーキもおすすめです」 

「お願いします」

「それと柚子のマーマレードがあるからお土産に持って帰ってください」

「オレの母さんの果樹農園で採れたやつなんだぜ」

「ヒーちゃんは手伝い。ほらこっち」

「はい……準備中に悪いな。いきなりだったけど、ありがとなアゲハ」

「初めから怒ってないよ。言ってほしいこと言わせただけ。ヒーちゃんはアフォガードでいいよね」

「もち」


 アゲハに服を引っ張られて厨房へと入る。


「アゲハさんの連絡先入れたらヒラク相手に最強になれる」

「あとで訊いてみるか」


 そんなヒラクを見届けたフユミとバンリは、アフタヌーンティーと洒落込んで振る舞われたドルチェを楽しんだ。

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