11 青灯島
午後。
人口軍島”青灯島”。
地元住民には、観光名所の青島の親戚みたいなノリで青灯と呼ばれてる。
島の正式名称を報告先が通知された書類を確認するまで忘れてたレベル。
青灯につながる海道を徒歩で行きながら、特異の報告内容を頭の中で反芻する。
青灯に入ったので一応、スマホを確認してみる。
エリア開発の一覧に青灯が追加されていた。
エリアをアクティベートできるっぽいが、コストが200と現在のストックでは足りないし、それに後々、面倒なことになりそう。
許可証を見せてゲートを通り、窓口へと向かう。
「こんちわ、おばちゃん」
「ヒラクくん、いらっしゃい。お父さんなら今は生簀のほうね」
「ちがくて。オレ、シンギュラー適応者なんだ。で、特異の片鱗っぽいのが掴めたから報告にきたん」
「そうなの。通知書見せてくれる」
「ほい」
「ああ、わかったわ。取り次ぐから待っててね」
地元、昔からの馴染みの窓口のおばちゃん。
でもどっちかってぇと、青灯の近くで養殖事業やってる父親の知り合いって印象の方が強い。
父親は沖に近い場所に造られた人工島の地理を活かせないかと事業申請し、島の近くで養殖をやってる。
「こんにちわ。九州防衛局下宮崎防衛支局所属、およびシフターシンクレティズム研究センターの研究員をしています。青桐 楓と申します。現在は花木 開くんのサポートのため、この青灯基地に滞在させていただいています」
「ども……カエデさん。俺もかしこまった方がいいですか?」
「いえ。新しいスタートですから、一応、ケジメはつけておこうかと」
そっか。
俺にとっては帰省だが、シンギュラー適応者の監視のため東京から来たこの人にとっては知らない土地での新しいスタートになるんだ。
「特異についてわかったことがあると聞いてます。ここじゃあ人目がありますので、別室に移動しましょうか」
「あっ、説明するより見てもらった方がいいと思うんで、カエデさんついてきてもらえます?」
「え?」
軟禁中の自分の担当の一人で仲良くなったのがカエデさんだった。
暇つぶし半分だったが、好みのお姉さんだったのでこちらから下心ありまくりで話しかけたってのが正しいのかもしれない。
でも、今後のさまざまな手続きや、やり取りの窓口担当者として立候補してくれた人の名簿の中にカエデさんの名前があったのは嬉しかった。
知らない顔でもないし、道中、軽く相談しながら行こう。
外に出ると、遮るもののない島風が平らなコンクリート地面の上を吹き荒んでいた。
「ヒラクくん!?どこに行くんですか!?」
「父がいる養殖用の生簀です!それから相談なんですが、カエデさん!核肉の融通って効きませんかね!?」
「どうしてですか!?」
「後で詳しく話すんですが、特異を使うのに必要なんです!」
島の端にある埠頭から更に少し先、船に乗って養殖用の給餌プラットフォームのある沖合に出る。




