茶々丸と宮司
『おはようございます』と私はある家?の
玄関口で中に向かって声をかけた。
すると中から
『おはようございます。』と声と一緒に
始めて見る60代ぐらいの年配の宮司さんと
茶トラが『にゃ〜ん』と鳴きながら
出てきた。
私は茶トラを見て
《あれ?もしかしてこの猫って…》と
宮司さんに
『いきなりすみません、この仔の名前って
茶々丸くん…ですか?』と尋ねると
宮司さんは
『はい、そうですが、それがどうかしましたか?』と宮司さんが少し訝しげな感じに答えた。
私は
『あっ!いえ、ここに賢い茶トラの猫ちゃんが
居ると聞いてきて…』と咄嗟に思い付いた嘘を
早口で言ったあと
『で、その猫ちゃんの名前が【茶々丸くん】と
噂で聞いたので…あの、私も猫が大好きで
今日は一緒に私の飼い猫のこの仔を連れて
近くまで散歩に来たんです。
それで、その噂を思い出し朝早い時間に失礼と
思いながら寄らせていただきました。』
《まぁ、噂はともかく
私は猫は大好きだし
茶々丸君は礼儀正しくて
言葉遣いも丁寧だから
【賢い猫】っていうのは合ってるから
嘘はついてないわよね》と自分を正当化した。
宮司さんは
『そうでしたか、私の猫を賢いと
仰っていただいて有難うございます』と笑顔になり
続けて
『親の贔屓目ですが、
この茶々丸は私の言葉が理解出来てるのか、
私が忙しく手が離せない時とかは
よく茶々丸が御来客のお相手をしてる時が
あるんですよ。』
『そうなんですね。本当に賢い猫ちゃんですね』と
私と宮司さんが話してる横では
茶々丸とルナが話をしていた。
『そう言えば…』と宮司さんが何かを思い出して
『そう言えば、早朝に白猫が茶々丸に
会いに来てたような…。
茶々丸は人だけじゃなく、
猫からも人気があるんですかねぇ』と
嬉しそうな顔をした
『あのぉ、白猫ちゃんが来た時間って
何時頃か判りますか?』と
私が宮司さんに尋ねると
『まだ、外が薄暗かったので
明け方の3時半4時頃だったと思います。
朝のお務めまで少し時間が早かったので…』と
宮司さんが教えてくれた。
『3時半か4時頃…ですね。
ありがとうございました。
あっ、私そろそろ帰りますね。お邪魔しました。
さようなら』と言ってルナを見ると
ルナも茶々丸との話が終わったみたいで
私に『行くわよ(にゃん)』と言って歩き出した
私はもう一度宮司さんのほうを振り返ると
茶々丸と並んで頭を下げて見送っていた。