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造語批評会  作者: 紅枝垂
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【萌え萌えしい】 定義

ノリと根性で書き上げた今作品。

色々おかしな部分があると思うので、それを許せる方どうぞ。


感想をいただけたら幸いです。

 造語批評会――それは世界へ広めたい造語を製作しようという会である。


 という、そんな感じに大げさに銘を打っているが、単純に高校生三人の雑談だ。

 おっと、そこの君。三人だけで、よく会とか名乗れるのなというツッコミは無しだ。そのツッコミは設立者の勇者ことマコトにだけ言ってくれ。



 ◇



 そんなわけで、悪友の二人を紹介しよう。

  

 一人目はマコト。

 彼は、スキンヘッドが特徴的で実質この造語批評会? を立ち上げた勇者だ。造語ネタを持ってくるのはいつも彼なのは、会長だからという理由だろう。別に会長とかの肩書きなんて、意味なんか無いんだけどね。


 二人目は蟻ちゃん。

 うん、そのあだ名が定着してしまった以来誰一人に本名では呼ばれない可哀想な子だ。実際、友人歴6年近くなのに私は彼の本名を知らないし、知りたくも無い。というか知る必要がない。当人もそれで満足なのか今では全く何にも言ってこないしね。


『え!? 俺ってそんなあだ名!? 嫌だわ! そのあだ名!』


 うん、一瞬私が彼にあだ名を授けた時の記憶を思い出したが、思いのほか好評だったなと思う。大丈夫、彼は嫌がってなかったはずだ。あれはいわゆるツンで――失礼。話が逸れた。

 まぁ、備考は弄られキャラだけで良いだろう。


 軽く人物紹介を終えたので、本日の会議について話そう。


 



 時刻は5時を回ったところ。本日の活動の会場は私の家である。というか、いつも私の家か外なんだけどね。

 最初は、ネタ提供者のマコトが発言する。マコトが一番手に話し出すのは暗黙のルールだ。


「本日の造語は【萌え萌えしい】だな。んじゃいつも通り、この造語に詳しい定義をつけてくれ」


 会議が始まり、丁度一分だろうか。最初に考え付いた蟻ちゃんが定義を述べる。


「その前に萌えという字が使われていることに疑問があるんだけど」

「え、妹が良かった?」


 私が答える。私は蟻ちゃん弄りに定評があるのだ。


「ちげぇよ! 別にそういう意味じゃなくてだな……っ!」

「うんうん、わかった、わかったって――やっぱりお姉ちゃんが好きなんだよね?」

「違うわ! しかも俺はロリコン――」

「カミングアウトっと」


 ナイスタイミングでボイスレコーダーを起動させたマコトが私に向かって親指を差し出す。うんうん、私が罠をしかけてマコトが起動させる。伊達に蟻ちゃん弄りに定評は無い!



「まぁ、会議初めて二分で泣かないでね蟻ちゃん。私は蟻ちゃんの泣き顔みたくないんだ、だって――」

「だって……?」


 慰めてくれるのか……? みたいな表情で私を見てくる。うん、本日も弄り絶好調。





「――だってキモいんだもの」





「まさかの追い討ち!」

「当たり前だろう。志穂がお前を慰めるわけがない」

 失敬な。私だって慰める時は慰めるさ。



「いや、別に冗談じゃないときは慰めるよ?」

「!」

「おいこら蟻ちゃん、なにその意外そうな反応は?」

「いやだってさ、志穂がそんなのするわけないよね」


 あぁどうしよう。このまま、この子海に捨てたい。魚達の繁栄の為にこの子一人犠牲になってくれないかしら。いやだめか。魚が蟻ちゃん食べると死海が広がる。うん、やっぱ地面――

 

「うん、志穂。お前の思考ダダ漏れ。俺は絶対殺されんぞ」

「はっはっは。私に勝つと申すのか汝よ」

「ごめん、何のネタかわかんない!」

 うん、別に今即興で考えただけだからネタが分からんのは普通だよね。



 パンパンと会議の話が脱線したのでマコトが仕切りなおす。



 うーん、実際考えると結構難しいよね。この定義。……あ。良い奴思い浮かんだ。


「ロリコンが最も愛する容姿の意というのはどう?」

 うん、結構良い腺行ってると思う。


「うん、俺のほうに視点を固定されていなかったら良い回答だったんだけどね?」

「ごめん、私の中ではキミ=ロリコンっていう方程式が成り立ってたから」

「物凄く不本意な評価をありがとう! だけどそんなんで喜ぶ子なんていないぞ!」

 蟻ちゃんって結構、ロリコンって言われて嬉しそうと思ってたのは私だけだったのか。蟻ちゃんの人物像100%変えなければならないね。


「さて、定義は決まったが――いつも通りにこの言葉の使い道を探ろうか」

「うん、ちょっと普通に進んだけどね? ちょっと需要が少ないと思うんだけど?」

「志穂。今この場で例を挙げてくれ」

「ちょ、無視かよ!」


 んーと、例なんて考えて無かったな。どうしよう。



「彼は萌え萌えしい女の子が大好きだ」

「うん、ちょっとその前に俺を見るの止めてくれるかな?」

「失礼。彼は萌え萌えしいショタが大好きだ」

「悪化してる!」

「女子はBLが大好きなんだぜ?」

「おいマコト。志穂ならまだしもなんでお前が言うんだい? まさかお前そんな気質――」


 その時、パタッと何かが落ちた。丁度私の足元付近まできていたので、拾ってあげる。


 ん……うん。題名は『幼馴染がBLに染まった時の対処法』か。


 視線をちらりと蟻ちゃんに向ける。


「うん、だから待ってね志穂ちゃん。君は俺を何だと思っているのかね? いくら女子がBLを大好き――」

「ごめん、私エロゲのほうが好き」

「何だと!?」


「うぃマコト」

 私はマコトに、略して『蟻対処法』を返す。


「サンキュ」

 マコトは私に言葉をかけ、本を手に取る。そして――

 

 ジリジリ……。


 マコトが少し、蟻ちゃんと距離をあけた。


「……さて本日の会議はこれで終了しようか」

「うん、最後の最後で突っ込み入れないとは俺もびっくり」

「よし、マコト。一緒にゲームしようか」

「おっ、新しい奴買って来たのか」

「ちょっと待ってくれないかな?」

「うん、オーケー。これ対戦だからマコト2Pね」

「ねぇ、ねぇったら!」


 その後、ゲームと雑談の後で解散となった。うん、翌日は萌え萌えしい子を探す活動なんだよね。一応女子の私も参加なのは些か納得行かないが、まぁいいだろう。




【萌え萌えしい】:ロリコンが最も愛する容姿の意。形容詞。

 例:彼は萌え萌えしい少女が大好物である。



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