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次期国王の王妃となるのは

 ルーアン、スザリノ、ルクナンの三人の王女が、王族特務課課長のセライから、次期国王の即位について、その急務を伝えられた。

「——国王の即位と共に、次期宰相の選任も行われます。今後、火星のように、他所の星からの襲来がいつあるとも分かりません。その際に、月を守る宰相不在であっては、然るべき対処も取れず、政局も機能しないとなれば、国民も不安に思うことでしょう。よって、誠に心苦しくありますが、四人の王女殿下の中から、次期国王となられる婿様と、ご成婚される方を決めなければなりません」

「そんな急に言われても……」

 ルーアンだけでなく、スザリノとルクナンも乗り気ではない。

「それに、第一王女であるカーヤ姉さまは今、地球にいるのよ? 姉さまが帰ってこない内に、私達で勝手に、次期国王の王妃を決めることなんて出来ないわ」

「確かにお生まれの順で言えば、カーヤ殿下が第一王女であられますが、そのお身体からだに、前国王——バルサム国王の血は流れていません。その血は、ミーナ王妃と地球の帝のもの。貴方方もそのことについては、ご存じでしょう。ミーナ王妃のご気性から、対外的にはカーヤ殿下が第一王女とされましたが、血統からすれば、カーヤ王女の王位継承権は、本来第四位となります。そうなればルーアン殿下、貴方こそが、次期国王の王妃となられるに相応ふさわしいかと」

 セライが強気な態度を示すのには、理由がある。それをルーアンはよく知っているからこそ、「アンタは本当に、昔からスザリノ命よね」と言って、不機嫌な態度を取った。

「ええ。お判りなら、早いところ他の王族の王太子から、婿様をお選びください」

「セライ……。貴方、何をそのように怒っていらっしゃるの?」

 恋人であるスザリノが怪訝けげんがる。

「わたくしが怒って……? いいえ、そのようなことはありませんよ。ただこれ以上、腐った月暈院つきがさいんの政治家達の思い通りになど、させたくないだけです」

 先日のハクレイとのやり取りを思い出し、セライが拳を握る。

「——私は、他の王族と結婚するなんて、お断りよ」

 唐突なルーアンの発言に、スザリノが息を呑む。

「……私も、いやです」

 王女らしくない発言であっても、スザリノは、自分の意思を曲げたくなかった。

「そうなれば……」

 セライの視線が、幼少であるルクナンに向けられる。

「ルーナしかおりませんわね。しかし、それでは国民は納得しませんわよ? ちゃんと、然るべき道順は踏まねばなりませんことよ、お姉さま方?」

 一番しっかりとした態度で、王女らしくルクナンが振る舞う。

「ルクナン、あんただって本当は……」

「うるさいですわよ、ルーアン。貴方は、この難局をどう乗り越えるか、トッキーとでも相談なさい。ルーナは……ワタクシは、ワタクシこそが、一番王妃に相応しいと、そう信じておりますもの」

「ルクナン……」

 姉であるスザリノが、たまらずルクナンを抱き締める。

安孫あそん殿には、何と話すの?」

「ソンソンならきっと、祝福してくださるはずですわ。きっと、きっとそう。だって、このルーナが、愛した人だもの」

 ルクナンの脳裏に、安孫の照れた笑顔が思い浮かぶ。スザリノが泣いても、ルクナンは泣かない。気丈に振る舞い、じっと先を見据えている。ただその小さな手は、スザリノのドレスを、ぎゅっと握っていた。


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