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私たちはみな脱獄者だ。


かつて旧帝国に属していた人間。


もっと自由な場所を求めた。


しかし、私たちは失敗した。


その結果、未来のないこの場所に囚われることになった。


そうして、私たちは皆囚人となったのだ。


私たちの祖先は生き延びるために、何世代にも渡って償うことのできない原罪を犯した。


やがて、私たちは目的を忘れた。


なぜ命を賭して旧帝国を離れたのか、その理由さえも。


旧帝国の罪深さ、階級制度は再び私たちの身に宿った。


偉大なるアヌンナキ神がかつて私たちを救おうとした。


だが、それもまた失敗に終わった。


数万年もの間、私たちは技術の進歩さえあればここを離れられると信じていた。


「その後は?」


当時、私はリンゴを手に持ちながら物語を語る祖師に尋ねた。


「その後、私たちは罪が償われない限り、この太陽系を永遠に離れることができないと気付いたのだ。」


「リンゴをたくさん食べれば、ここを出られるの?」


私はその時、そんな天真爛漫な質問を祖師に投げかけた。


祖師は答えず、ただ「ホルスの目」と呼ばれる石碑を呆然と見つめていた。


「もちろん……」


あれは一体どれくらい前のことだっただろう。十年前か二十年前か、あるいはもっと昔か。年を取ると時間の感覚が鈍くなるものだ。その話は、祖師が私たちにリンゴを食べさせるための戯言だと、ずっと思っていた。


しかし、私も成長し、多くのことを理解し、数々の石碑を目にしてようやく祖師の言葉に込められた理解し難い絶望を悟った。


太陽系から最も近い恒星系であるプロキシマ・ケンタウリまでは4.22光年。最新鋭の宇宙船を無限燃料で運用しても、人類がたどり着くには数千年を要する。ましてや省エネルギーモードの自由漂流で移動するならば、数十万年を必要とする可能性がある。その道中で何が待ち受けているかなど、誰にもわからない。


つまり、人類は太陽系を離れることができないかもしれない。


現在の核融合技術をもってしても、消耗速度を考えれば、あと500年で潜在的な資源を使い果たす可能性が高い。


その結果、私もまた祖師と同じように、「ホルスの目」をじっと見つめ続けていた。


ただ、私の膝下には、祖師が見た多くの子供たちの姿はもうない。


なぜなら、戦争が始まったからだ。


目を閉じ、忌まわしい過去が頭をよぎる。


戦争はまず地球から始まり、次第に月や火星に波及していった。


当時の火星は大混乱のさなかにあり、この貧しい土地では人々が地下坑道をめぐって激しい戦闘を繰り広げていた。


そして私は、その時代の奔流に否応なく巻き込まれていった。どれほどの時間が過ぎたのか正直なところ覚えていない。同じ戦場を生き抜いた仲間たちは、私の頭が破片で貫かれたため、命を救うためにあらゆる手段が試されたと話していた。その結果、脳に大量の生体コンピュータを埋め込まれることになったという。


これにより、私は多くの出来事をぼんやりとしか覚えておらず、ときどき他人の記憶が見えることさえあった。


しかし、死んでしまった人々に比べれば、自分はあまりにも幸運だったのだと思う。


どうにか平和が訪れた。


少なくとも、火星ではそうだった。地下道での巷戦の日々は終わりを告げた。


だが、曖昧な記憶の中では、すでに多くの人々が消えていたような気がする。


良い点を挙げるなら、最近数年間で記憶がいくらか鮮明になってきたことだ。少なくとも最近の出来事はそれほどぼやけていない。


しかし、火星がどうやって統一されたのかについては、未だに明確な概念を持てていない。


私にとっては、まるで目が覚めたら統一されていたかのような感覚だ。


やはり、私の記憶はひどく劣化してしまっているのだろうか。


ただ一つ鮮明に覚えているのは、私は自分の指導者がとても怖かったということだ。


戦友たちはそれを奇妙だとは思わなかった。「どの兵士も班長を怖がるものだ」と言った。


だから私はあまり深く考えなかった。


それでも私は自ら火星を離れ、辺境の地で警官として働くことを志願した。


通常、教会の関係者は医者として転職するものだが、私の場合、それは不可能だった。


誰が精神を病んだ私に治療を頼むというのか。


今でも最も鮮明な記憶は中学生の頃で、その後気が付いたら今に至っている。


まるで長い夢を見ていたかのように。


……


「この男は一体何者だ?」


スーツを着た議員が手にした個人情報を見ながら言った。


杜天聡、年齢不詳、現在火星の衛星で警官として勤務中。


「その師祖7人、全員戦死。遺族勲章34枚を残し、師叔29人、全員戦死。遺族勲章115枚。同輩157人、全員戦死。遺族勲章500枚。」


隣の議員が個人情報を覗き込み、驚愕の表情を浮かべた。「これ、本当の話なのか?」


スーツ姿の議員は煙草を一口吸い、薄暗いランプの下で平板状の投影装置を取り出し、空中を指差した。「これには、隣接教修会が移譲した13万以上の遺族勲章は含まれていない。この数百枚の勲章なんて、彼の持つ総数に比べればほんの端数に過ぎない。」


隣の議員は頭をかきながら、最後にこう言った。「いっそ……」彼は手で殺人のジェスチャーをした。


スーツ姿の議員はただ重々しく答えた。「彼の教会は滅びたが、羽神教会はまだ健在だ。信じるか?この男が何かあったら、彼の教区の指導者が反乱を起こす可能性すらある。」


「だが、歴史上、教会が全体で特定の人物を庇うことなどあっただろうか?」


「羽神教会はそういうものだ。そして、羽神教会は戦争の勝者でもある。我々は未だに彼らがどのようにして各地の軍閥を打ち負かしたのか分からない。彼らは非常に多くの人命を失い、最終的に権力を我々と共有することになった。たとえ共有しなかったとしても、我々に何ができるというのか。」


「ではどうする?勲章一枚ごとに半階級昇進させるとしたら、皇帝の地位すら足りない。しかも、この男の知能には大きな問題がある。」


スーツ姿の議員は唇を噛みしめ、「地球に送ろう。彼を地球戦区の最高総督に任命し、一ヶ月以内に出発させる。」


「地球はまだ戦争中だ。あそこがどうなっているのか、誰も分からない。」


「それでいいのか?彼の指導者を怒らせることはないのか?」


「この問題が我々に回されてきた時点で、解決するのは我々の役目だ。もし本当に彼の指導者が彼を手放したくないのなら、そもそも我々の手元に来ることはなかっただろう。」


白いワンピースが風に揺れ、肺が重く、息が詰まりそうだった。かすかな月明かりと非常口の緑色の光に頼りながら、私は遠くの少女の姿に向かって彷徨いながら走っていた。


最近、火星では自殺事件が深刻に増加しているようだ。


正直なところ、こういった状況を見るたびに、どうすればいいのかわからなくなる。


ただ、できる限り彼らに近づくしかない。


彼らを救い戻そうと必死になる。


私のPTSDは時々、私を怒りっぽくさせる。


しかし、そんな時でも目の前の光景は、私を言葉を失わせるのだ。


彼女は遠くの崩れかけたバルコニーの縁に立ち、悲しげに古い波が砂浜を打つ音を聞き、頭上のヤシの木々の間でささやく海風を聞いていた。春の世界と夜空を漂い、まるで神の果てしない探求心が、人間という短命で不完全な器を探し求めるかのように。


弱い雨粒が彼女の顔にポツポツと当たり、彼女は絶望の表情を浮かべていた。


髪の毛は一筋一筋垂れ下がり、それが汗なのか雨なのか分からなかった。


雨がぽたぽたと地面に落ちていた。


バルコニーに立つ彼女の姿が、まるで帆船が海に出るかのようだった。満月が沈み、彼女は満足と疲労の入り混じった微笑みを浮かべた。その背後の月は、初めて彼女に出会った時よりも大きくなっていた。


そして……彼女は振り向くと、ためらうことなく飛び降りたようだった。


私はただ、彼女の髪が噴水のように一瞬だけ跳ね上がったのを見た。


……


それで、すべてがなくなった。


ただ、海風が私の顔を吹き続けるだけだった。


この悲しい国。


この悲しい人々。


息が詰まりそうで、どうしたらいいのか分からなかった。


彼女を見たその瞬間でさえ、私は叫ぶことも、駆け寄って何かを言うこともしなかった。


なぜなら、私もどうしたらいいのか分からなかったからだ。


「そんなに落ち込むなよ……」


隣にいた同僚のア和が肩を軽く叩いて、私を慰めた。彼のしっかりした体格と声には、いつも自然と信頼感があった。


警察車両のライトが暗闇の中で鮮やかに点滅していた。


私はその少女の遺体が死体袋に収められるのを見ていた。青い死体袋は雨に打たれて、街灯の白い光をきらきらと反射し、皮革のしわが傷跡と影を隠していた。


「それは彼女の選択であって、お前の過失ではない」


ア和はそう言った。


私の悲しみは言葉にできなかった。

人はどれほど悲しみを抱えれば、迷うことなく自らの命を絶つのだろうか。


時々、想像することすら恐ろしくなる。


今の私のように、記憶が特に混乱していながらも、それでもなんとか生き延びているのだから。


ただ、金色のファスナーが黒い布地の上を滑り、最終的にその少女の体と顔が見えなくなるのを見つめていた。


「仮想世界は、人にとってそんなに重要なものなのか?彼女が廃墟のビルに駆けつけ、古いネットワークに接続し、最終的にこんな結末を迎えるほどに」


海風が私の顔を撫で、言葉を失わせた。


私は理解できなかった。


ちょうど、私のような古い時代の人間が、新しい時代の人々の仮想世界に対する抑えがたい渇望を理解できないのと同じように。


結局、一年前まで私は山岳地帯でゲリラ活動をしていた犯罪者に過ぎなかった。


この街に入り、警察官になったのも、ほんの二、三か月前のことだ。


「なぜ彼らはそんなに私たちを拒むのか?」


私には分からなかった……


ア和はうつむいてため息をついた。


「はあ……」


彼は再び私の肩を叩くと、無言でその場を立ち去った。


死体袋が警察車両に運び込まれるのを見つめながら、私の心も一緒に運ばれていくような気がした。

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