98.神も参加するんで
またも進化させてしまった。
『マスターってば、まーた、美人を増やしてます。ほんとに名前をつけて美人を作るの好きですよね。つーん』
ミネルヴァさん、ちょっと怒ってる……いや、だいぶ怒ってるなこれは!
この子……つーん、とか言ってるし……。
ぱぁ……! と光とともに、人間バージョン全知全能さんが現れる。
「謝ってください」
「え? な、なにに……?」
「『正妻のことわりもなく女を増やしてしまって、ごめんなミネルヴァ愛してる』。へい、セイ」
「あ~~~~~~……」
めんどくさいので、スルーしよう。うん。
ここで誰が正妻とか言うと、角が立つから……。
「ち……」
「ちっ!? 舌打ちした君、ねえ?」
「で、マスター。女増やして何がしたいの?」
だから辛辣……。
何がしたいって、別に何がしたいわけでもないけどさ。
「とりあえず、サラディアス大聖堂ってとこに行きたい。そこにいる、大司教と話がしたい」
そもそも俺は、天導教会の七人いる大司教たちに、もう俺んとこにちょっかい出すなって言いに来たんだ。
「サラディアス大聖堂でしたら、ご案内できるのです!」
水精霊のレンが、手を上げて言う。
「おお、頼めるか?」
「はいなのです!」
水精霊が結界の外にぴょんっ、と飛び出す。
え、あ、あぶねええ!?
「って、あれ。平然としてる……」
水の中って呼吸できなくなるのに、なんで……?
「解:水精霊には【適応】という固有の能力が備わってます」
「てきおー?」
『是:どんな状況下でも、普通に活動できるようになるという能力です。水で呼吸できるし、水圧にも耐えられます」
へー……便利ぃ~~。
って、ん?
「なぁ、ミネルヴァ、水圧ってなんだよ」
「さ、マスターは人間なので、結界で体を包んでから外に出てくださいね」
「ねー水圧ってなんだよ? ねー」
ミネルヴァが俺の体の中にひっこんでしまった。
結局水圧の正体についてはわからずじまいだ。
全知全能がついてながら……。
「しかし、適応。便利な力もってんだなぁ。使えると便利かも」
「たしかに便利ですが、無理です。適応は水の民固有の能力。陸に住む人間の皆さんには備わってない力です」
ふぅん……。
ん? ふんふん……なるほど。
俺は結界を張らずに、結界の外に出た。
「ちょ!? 神!?」
驚くレン。
だが……。
「ええええ!? て、適応が使えてるぅうううううう!?」
レン、驚愕。
あれ、そんな驚くことだろうか……?
「あ、あり得ないのです! 水の民でもないあなた様が、適応を使えるわけがないのに!」
「え、そうなん? でも、できたけど」
「で、できたって……どうやって……?」
「なんとなく」
俺はどんな魔法も、一度見れば、模倣できる。
水精霊の力は魔法に近いモノだった。
「だから、マネできた。そんだけ」
「そんだけって……種族固有の力を、再現するなんて……す、すごい……」
しかし、便利だな。
水の中で呼吸できるなんて。
『そして水圧も防ぐなんて』
「だからさー、水圧ってなんだよー」
『さすマス』
「だからさー、もー」
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