96.人魚、セイレーン、げっとだぜ
龍に食われた人間達を蘇生した。
結構な数食われてた……。
「あの……神さま」
ふと、誰かが俺に話しかけてきた。
振り返ると、そこには、深い藍色の美しい髪をした、10代中頃の少女がいた。
神さまって……いや違うんですが。
いや、まあ、でもここで違うって言っても、じゃあおまえは誰なんだよって警戒されてしまうだろう。
だから、まあ。
「なんでしょう」
ぺこっ、と少女が俺の前で頭を下げてきた。
「我ら【人魚族】を助けてくださり、ありがとうございました、なのです!」
……ん?
今なんかオカシナこと言ってません? ミネルヴァさん?
『否:彼女らは全員、人魚族で間違いないです』
に、人魚……。
そう言えば、友達が船乗っているときに、見たことあるって聞いたことがあるな。
今まで聞いた中で一番美しい歌声だったとかなんとか。
歌い手は下半身が魚の人間だったって言っていたときは、何の冗談かと思ったんだが……。
って、え?
「あれ、でも君ら、下半身……人間じゃない?」
普通に足生えているし。
すると……。
「神さまのおかげなのです!」
「俺の……?」
「はい! 神さまに蘇生させてもらって、眼がさめたら、足が生えてました! つまり、神さまのパワーによって、我らはこの姿を手に入れた、ということなのです!」
な、なる……ほどぉ……?
そ、そんなことありえるの……?
『是:大量の神気を流し込んだことで、人魚たちは【水妖精】へと存在進化したのです』
存在進化……。
たしか、大量の魔力を取り込んだことで、ワンランク上の存在に、ランクアップする現象だったか。
「そもそも神気ってなんだよ?」
『解:神の持つ特別な魔力のことです』
なるほど……。なるほど……。
つまり、あれだ。
俺が魔力(神気)を与えた結果、人魚たちを無理矢理、水妖精にしてしまった……と。
「ご、ゴメンな……。望んでもないのに、勝手に進化させてしまって……」
「何を謝ることがあるのですっ? 我らの命を救ってくださっただけでなく、より強い種へと進化させてくださったのです! 感謝しても仕切れないくらいです!」
人魚……いや、水妖精たちは皆同じ気持ちなのか、俺の前でみんな土下座してきた。
「ありがとうございます、神さま!」
「これから一生かけて、このご恩を返していこうと思います!」
ん?
あれぇ~……?
もしかして……。
「え、は、配下になろうとしてます……?」
「「「はい!!!!!!!!!!」」」
ま、まじかぁ~……。
『よいではないですか。信者……もとい、領民が増えれば増えるほど、あなた様の力は向上し、領地は発展していくのですから』
俺には領民の数に応じて、強くなるという特別な力を持っている。
まあたしかに、彼らを仲間にすれば、より多くの仲間を救えるようになるけど……。
「君たちは良いの? 俺んとこ来て」
「「「はい!!!!!」」」
……まあ、来るモノは拒まないけどさ。
「わかった。じゃあ君たち、水妖精を、俺の領民とします」
「「「やったあ~~~~~~~~~!」」」
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