92.後光が差し込む神
水深たった10キロしかない場所に向かって、俺は下りていく。
俺の体を風の結界が包んでいるため、呼吸することができてる。
ドンドン……。
ドンドンと……俺は海底へと潜っていく。
海の中には、色鮮やかな魚の群れが泳いでいる。
おお、綺麗だなぁ……。
ここまで深く潜ったのは初めだが。
こんな深いところにも魚がいるんだな。
『マスター。そろそろ海の深い場所まで来ました。灯りを……』
コォオオオオオオオオオ……!
「ん? どうした、ミネルヴァ……?」
ミネルヴァが黙りこくってしまう。
え、どうしたんだ……?
「お、魚の群れ。すげえ……何十、何百匹と集まって、1匹の大きな魚みたいになってるぜ! ほら見て見ろよ!」
ミネルヴァは現在、俺の体のなかにいる。
俺と視界を共有してるので、あの綺麗な魚たちを見ることができてるだろう。
魚の群れは俺に少し近づいてきた。
瞬間……。
ブワァアアアアアアアアアアア!
魚の群れが、一斉に逃げ出していくではないか。
え……? なんだ……?
『解:魚たちは、外敵である、マスターに驚いて逃げたようです』
「いや敵って……俺何もしてないんですけど……?」
『ふぅ~~~~~~~~~~』
え、なんだ?
ミネルヴァが、深くため息をついてきたぞ……?
『マスター……学力……ふぅ』
なんだなんだ……?
『しかしマスターに、まさか後光が差し込むとは。名実ともに神に近づいてますね』
「ごこー?」
なんだそりゃ……?
「一体何の話ししてるんだよ……?」
『マスターの魔力が、凄すぎるってことですよ』
「はぁ……?」
ミネルヴァの言ってることはよくわからんな……。
『この海底において、こんなにも膨大かつ高密度の魔力を無料で垂れ流すマスターは、まさに太陽と言うべき存在でしょう』
「ポエム……?」
『事実です。マスターは今、輝いてるのです』
「はぁ? そんなわけないだろ。人間だぞ、俺」
『ふぅ~~~~~~~~~』
最近、ミネルヴァさんが俺を馬鹿にする機会が増えてる、気がする……。
「いい加減、教えてくれよ。なんなのさっきから」
『解:マスターの魔力の光で、魚がビビってしまったんですよ』
「魔力の光……?」
「是:魔力は、高圧縮されると、光るという性質があるのです」
へえ……そんな性質があるのか。
「圧縮って言っても、俺別に魔力を圧縮してないけど?」
魔力操作してるわけではないし。
『外部から圧力を受てるのです』
「え、圧力なんて受けてないけど?」
『ふぅう~~~~~~~~~~』
え、なんなの……?
感じ悪いなぁこいつ……。
『マスター、凄いです。良い意味でも、悪い意味でも』
「悪い意味ってなんだよ……」
『パー……』
「パー?」
『さ、進みましょう』
え、なになに?
パーってなに? ねえ……?
【★大切なお知らせ】
好評につき、連載版をスタートしました!
『【連載版】カバンの勇者の異世界のんびり旅~ハズレ勇者と王城から追放され奈落に落とされた。でも実はカバンは何でも吸収できるし、日本から何でも取り寄せられるチート武器だった。今更土下座されても戻る気はない』
広告下↓にもリンクを用意してありますので、ぜひぜひ読んでみてください!
リンクから飛べない場合は、以下のアドレスをコピーしてください。
https://ncode.syosetu.com/n1872iu/