91.海の下へ
天導の連中に一言ガツンと言ってやろうと思った。もううちを狙うなって。
だが、偉い人は七人いるらしい。
とりあえず、全員にちゃんと、うちに手出しするなって言っておかないとな。
で、えらいやつは世界各国にある、大聖堂の中にいるらしい。
大聖堂の居場所は全知全能のおかげで直ぐに見付かった。
んじゃ、あとはそこへ赴き、ちゃっちゃと全員ボコってお仕舞いだ。
「……で、デッドエンドから一番近い大聖堂んとこにきたはいいけど……まじでここなのか?」
俺は眼下を見下ろしながら、全知全能に尋ねる。
『是:この海底に、【サラディアス大聖堂】があります』
「サラディアス大聖堂……?」
なんじゃそれ?
『天導が所有する大聖堂には、それぞれ、ノアール神の使徒の名前がつけられております』
「ほー……」
サラディアスって人の名前がつけられてるんだな、この大聖堂。
「で、サラディアス大聖堂は、この海の下、どこにあるんだ?」
『解:ここから10,920メートル下です』
「10,920メートル!?」
そんな……。
まさか……。
「結構近いな」
『は……?』
ミネルヴァさん、は……? ってなんですか、は……? って。
「だって、1万メートルだろ? 1キロ1000メートルって考えると、たった10キロじゃんか、思ったより近いな」
『…………』
あれ、ミネルヴァが黙りこくってしまった。
『ああ、そういえばマスターは、学校に通っていませんでしたね……?』
「そうだな。それが……?」
『いえ……無知とは恐ろしいものだと思っただけです』
「? まあ、10キロなら、近いもんだろ。泳いでいくか」
転移魔法でパパッと行きたいが、あれは行ったことがない場所へ飛べないからな。
俺はそのまま、ザブン! と海に飛び込む。
体の周りに空気の結界を張るのを忘れない。
これがないと水中で呼吸できないからな。
ずんずん沈んでいく……。
沈む……。
沈んでいく……。
『……驚きました』
「どうした?」
『もうかなり深くまで潜っているのに、風の結界に、ひび割れ一つないことにです』
「? 割れるわけないだろ。高圧縮した風で作られた結界だし」
水に入ったくらいじゃ壊れない。
『……ちなみにマスター、水圧という概念は?』
「え?」
『あ、大丈夫です。理解しました。さすがですマスター』
……どことなく、馬鹿にされてるような気がしてならんのだが……。
ちょっとミネルヴァ、最近人間らしくなりすぎてないだろうか……?
まあ、別にそれは良いことだと思うけどな。自分の意思で行動することは良いことだと思うしよ。
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