88.バカラの前に、神参上
バカラは、天の矛による攻撃を放った。
しかし攻撃は無効化されてしまった。
防御を貫通するレーザーだが、唯一、神威鉄によって防げる。
邪神アベルは……。
「わしの攻撃を、読んでいた……ということかぁ……!?」
バカラはそう考えた。
だとしたら恐ろしいことだ。
天使が出てくることを予測し、天の矛対策に、全ての建物を神威鉄にしておくなんて……。
「やつは……未来が予知できるというのか……! 運命すら……やつの手のひらの上ということかぁ!?」
……まあ種を明かすと、単なる偶然だった。
人が増えたので、家が必要となり、地方創生スキルでたまたま作った家が神威鉄製だった。
それだけだ。
単なるラッキーだ。
……しかし、バカラからすれば、アベルは未知の化け物(邪神)。
彼の中にいる(しかいない)邪神は、未来を予知し、こちらの攻撃を防ぐことができる……。
と、勝手に敵を大きくしてしまっていた。
単なるとぼけたおっさんが相手だというのに。
「くそ……くそ! なんていうことだ……未来予知ができる敵なんて……どうやって倒せば良い……!」
バカラの中では、アベル討伐は決定事項のようだ。
彼が信じる主に、並び立つ存在なんていてはいけない。
バカラはアベルを否定するために、戦いを挑んでいるのだ。
「くそ! こうなったら……天の矛を撃て! 乱れ撃て!」
建物は無事でも、地面等、神威鉄で覆われてない場所には攻撃が通る。
大地を穴だらけにすれば、建物が崩れ、中に澄んでいる人間どもが死ぬ……。
「撃てぇえ!」
「し、しかし大司教! 天の矛発動には、かなりの生命力が必要となります! これ以上力を吸い取ってしまうと、聖職者たちの命に危害が及びます……!」
部下がバカラの暴走を止めようとする。
だが、バカラは部下を殴り倒す。
「これは! 主の正当性を証明するための戦い……! いわば聖戦だ! 主のために命を落とせるなら彼奴らも本望だろうがぁ!」
もうバカラの頭の中には、邪神倒すべし、それしかなかった。
信徒が危険な目に会おうと、死のうと、関係ない。
ただ、殺す。
そのためになら、どんな犠牲もいとわない……!
大天使が再び力をチャージしはじめる。
聖職者達が苦しみだす。
「撃て撃て撃てぇ! うちまくれぇえええええええええええええええい!」
大天使が杖を掲げ、天の矛を発動。
さっきよりも多くの、レーザーが照射される……。
「反魔法」
パキィイイイイイイイイイイン!
「なにぃいいいいいいいい!? て、天の矛が……消滅しただとぉおおおおおおおおおおお!?」
突如としてレーザーが全て消え、驚愕するバカラ。
上空には……。
「危ないこと、すんなよな」
「じゃ、邪神アベルうぅうううううううう!」
アベルが、直接出向いてきたのだった。
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