76.バカラ大司祭、驚愕
《バカラ大司祭Side》
アベルが超新星を放つ、少し前のこと。
ここは神聖皇国。
ゲータ・ニィガなどがある、六大陸から南西に行った先にある、小さな島国だ。
ここには天導教会がある。
天導は国教であり、彼らのトップが、そのままこの国の長(教皇)として、君臨してる。
さて。
天導教会の大司教(管理職)である、バカラ・バーカヴァーカ。
はげており、眼鏡をかけた、中年男性だ。
バカラ大司教は、天導の聖職者から報告を受けていた。
「なに……? 聖騎士No.13が消息不明……だと……?」
No.13とは、まひろ・オブセのことだ。
彼女には、大陸にいるという、邪悪なる存在の討伐にむかわせていた。
しかし……。
「さようでございます、バカラ大司祭さま。聖騎士まひろからの定期連絡が途絶えてました。恐らく敵に捕まったのかと……」
「馬鹿な!? ただの人間ごときにおくれをとるわけがないだろ!? 嘘をつくな!」
バカラを始め、天導のトップたちは、神から特別に愛されてる(力を持っている)と思っている。
自分たちは、神を信じない一般人達よりも、神の恩恵を受けている分すごい……。
そう思ってるのだ。
しかし、神の加護を受けているはずのまひろが、帰ってこない。恐らく負けた……なんて事態はあってはならないことなのだ。
「リッチーも帰ってこない。聖騎士まで帰ってこないだと? どうなっている……」
「恐らく、新しく辺境伯となった男が、そうとう強いのかと……」
そもそも今回の目的は、デッドエンド辺境伯の排除であった。
辺境伯のせいで、天導教会が行っているビジネス……もとい、【世直し】が上手くいかない。
世直しのため、邪魔な辺境伯を、まひろに排除させるという作戦だったのだ。
「まひろが……主より洗礼をうけた聖騎士が負けるなんてありえない!」
「し、しかしバカラ大司教……。現に彼女は帰ってこないわけでして……」
「貴様、主をバカにするのか!?」
バカラ大司教が切れる。
すると、聖職者の顔がみるみるうちに青くなっていく。
「貴様! 主を! バカにするのかぁ!?」
「い……え……して……ませ……ん……」
聖職者の体が浮く。
まるで、見えない何かに、首を絞められてるかのようだった。
「主を冒涜してしまったことを反省し、謝罪しろぉ!」
「すみ……ま……せん……でし……た……」
ぱっ、と聖職者が何かから解放される。
彼が激しく咳き込む一方、バカラ大司祭はフンを鼻を鳴らす。
「まあいい。次の刺客を放つだけだ。しょせん、まひろはNo.13。聖騎士のなかで最弱。より強い聖騎士を放てばいいだけのこと」
バカラ大司教は、主では無く、まひろ個人が、大きなミスをした、と解釈することにした。
「主の力は悪くない。それを使いこなせぬあの女が愚図なのだ。ふん……」
バカラ大司教は窓の外を見やる。
神聖皇国の上空には、七色の結界が張られている。
「ああ、きょうも主の極光結界は、本当にうつくしい……。あれこそ主の力の結晶……」
バカラ大司教にとって、主が絶対。
皇国を守る結界は、主の力の象徴。
見てるだけで、とても安らかな気持ちになれる。
「バカラ大司教……極光結界のメンテなのですが、いかがいたしましょう」
「メンテなど必要ない」
聖職者からの報告を、バカラ大司教は却下する。
「主は忙しいのだ。結界を張り直せ、なんて言えない」
「し、しかし……前回結界を、主が張ってからかなり日にちが経っております。壊れてしまう……」
バカラ大司教の瞳に、明確な怒りの色が浮かぶ。
「消えろ」
「え?」
ごきっ!
聖職者の首が、曲がってはいけない方向へ曲がっていた。
見えない何かによって、強い力を受けた聖職者は、絶命したのである。
「主の結界が破られるわけがないだろう。無礼なやつだ。主への二度の冒涜、死んで当然だ」
人を殺したというのに、バカラ大司教の瞳に動揺の色は見られない。
むしろ当然とさえ思っている。
「ゴミを排除したのだ。主はお喜びになるだろう……ああ、主よ……」
また、極光結界を見て、主を感じようとしたそのときだ。
カッ……!
「は? な、なんだあの光……ぐああああああああ!」
突如として、上空に謎の光が出現したのだ。
それは結界を包み込むと……。
パキィイイイイイイイイイイイイイイン!
「そ、そんな馬鹿なぁあああああああああああああああああああ! 主の……結界が、破られるだとぉおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
【★☆大切なお願いがあります☆★】
少しでも、
「面白そう!」
「続きが気になる!」
「アベルツエエエ!!」
と思っていただけましたら、
広告の下↓にある【☆☆☆☆☆】から、
ポイントを入れてくださると嬉しいです!
★の数は皆さんの判断ですが、
★5をつけてもらえるとモチベがめちゃくちゃあがって、
最高の応援になります!
なにとぞ、ご協力お願いします!