74.治癒の神
まひろの呪いを解呪した俺。
牢屋のなかにはまひろが居て、ベッドに寝かされていた。
それを、森呪術師のドゥーエが診察した。
「……ありえない。こんな、ことって」
「どうしたドゥーエ? 何かあったのか?」
「……ううん。今は大丈夫」
「? 何があったんだ?」
ドゥーエは立ち上がって俺たちの側へとやってくる。
「……呪いはもう問題ないわ。彼女が無理矢理身体を動かされるってことはない」
「そっか……良かった……で、あり得ないっていうのは?」
「……二つ。二つも、あり得ないことが起きてた」
ひとつ、とドゥーエが指を立てる。
「まひろさんは、魂に呪いが掛かっていた」
「魂に、呪い……?」
呪いって肉体に作用するものじゃなかったのか……?
「魂レベルに作用する、すごい呪い。こんな凄い呪いが、存在してたなんて、驚きだわ」
呪術師の彼女が言うんだ。
まじで、すごい呪いだったのだろう……ううむ。
「もう一つのありえないことって?」
「……その呪いを解呪した、あなたの存在」
「俺……?」
うんうん、とドゥーエがうなずいてる。
「魂の呪いなんて、人間には解呪できない。呪いの残滓を見たけど……こんなの、無理」
「無理って……いやでも解呪できたけどさ」
「だから、ありえないこと。この呪いはかかると、絶対に外すことはできないし、一度発動すると、相手は一生操り人形となるはずだった」
「それを……俺が直したと?」
ドゥーエが驚愕の表情をする。
「……死者を蘇生させてる時点ですごいけど、あなたは本当に特別なのね」
「い、いや……ありがとう。まあでも、完全回復が使えれば、誰でも……」
すると、俺の身体からミネルヴァが出てくる。
「マスター」
「おまえどこ行ってたんだよ……?」
「所用で」
「あそう……」
前は呼んで無くてもきたのに、最近はこいつの姿を見ないことが多いな。
どこで何してるんだか……。
「マスター、完全回復という魔法なのですが……ありません」
「ありませんって……?」
「この世界に存在しない魔法です」
「は……?」
一体何を言ってるんだろう……?
「最上位の治癒術は、聖なる白炎です。それ以上の治癒の魔法はないのです」
「いやいやいや……ないって……俺使ったし……って、まさか!」
またこのパターンか!
「マスターはこの世に存在しない治癒魔法を、生み出したのです。結果、世界のルールをまたしても変えてしまいました」
「まじか……またか……」
「ええ、またです。さすがですね」
たしかに、どんな病気も呪いも解呪する魔法なんて、そんなおとぎ話でしかあり得ないような代物、あるわけないもんな(過去形)
「すごいわ、あなた……素敵……♡」
ドゥーエが俺にぴったり寄り添う。
他の嫁達にはない、大人の女の匂いがした。
「離れてください」
ぐいーっと、ミネルヴァがドゥーエと俺の間に割って入る。
「あなたは序列最下位なのですから、序列1位には従ってもらわないと」
「なんだよ序列って……」
いつの間にできてたんだよそれ……。
まあ、なんにせよ、まひろの呪いは完全に解呪できたってことか。
今後もおなじようなことがおきても、俺がいれば大丈夫だと。
ほっとしたよ……。
「しかし、呪いをかけたのは、天導の連中で間違いないんだな?」
「是:天導教会は、聖騎士が裏切らないように、魂に呪いをかけてるそうです」
……許せないやつだ。
呪いで、人のことを縛るだなんて……。
「やっちゃいますか?」
「え? やるって……?」
「天導……神の裁き、やっちゃいます?」
いやいやいや……。
裁きってなんだよ……。
でも……ううん。
何もしないと、また攻撃されるかもしれないな。
うーん……。
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