73.呪いで操られてる聖騎士を助ける
牢屋にて。
「話し聞いてくれる気になった? まひろ」
「呼び捨てにするな。まひろ・オブセだ」
聖騎士のまひろ・オブセ……いいにくいな。
まひろは俺をにらみつけてくる。
だが、少しだが警戒を解いてるのがわかった。
「腹減ってないか?」
「ふん、腹など空いてない」
ぐぅ~~~~~~~~~~~。
「あー……」
「違う!」
「メシ取ってくるな」
見た目より若いのかもな、この子。
俺は背を向けて出て行こうとする。
「お、おい……敵に背を向けるとは何事だ?」
「そんなにわるい子だとおもわなくてさ、君」
「ふん……何を根拠に」
「魔力の揺らぎ……かな」
人は誰しも魔力を持っている。
魔力は体内を巡っており、精神状態によって、その巡り方は変わってくるのだ。
まひろの魔力の揺らぎからは、先ほどまであった、俺への害意、および殺意を感じられなかった。
「ふん……おかしな……ぐ、がぁああああああ!」
ひゅっ!
「にげ……」
俺は間一髪、バックステップで攻撃を躱した。
振り返るとこには、先ほどのように、見えない何かを構える彼女がいた。
おかしい、彼女からは殺意を感じなかった。
だが今の一撃は、明確に俺を殺す動きをしていた。
「逃げてくれ! 身体が……うぐ、あう……おぉおおおおおおおおおお!」
だん! とまひろが地面を蹴ってこちらにやってくる。
人間を超越した動きだ。正確に言えば、人間ではできない動き。
まひろが地面を蹴ったとき、ばきぃ! という嫌な音が聞こえてきた。
恐らく人体が耐えられない力を無理矢理だしてる……まさか……!
俺はまひろの攻撃を躱す、躱しまくる。
「な、なぜ私の攻撃が当たらないっ?」
「あいにく戦闘経験は人よりあるもんでね!」
魔力の動きから、次の攻撃を予想できる。
でもおかしい。
まひろの精神は、困惑の渦中にあるようだ。
一方、まひろの身体は明確に俺を殺しに来てる。
まるで、精神と肉体が分離してるみたいだ……。
そして、この力。まさか……。
「ぜあ……!」
ぱしっ!
俺は一瞬でまひろの間合いに入る。
そして両腕をつかんで拘束する。
ずる……と服のすそから、それは見えた。
「呪印!」
「なんだって!? 呪印!?」
そう、呪いだ。
まひろは呪いをかけられ、そして無理矢理動かされているのだ!
呪い……。
俺もまた、呪いで苦しめられたからわかる。
望んでいないのに身体がいたみを、自分の思うように動かせない苦しみを……。
呪いをかけたやつは、誰であろうと許せない。
呪いに掛かっているやつも、無条件で俺は直す。
「に、逃げてくれ……私にはわかるんだ。この呪いは発動したが最後……もう……解くことは不可能……」
ぐぐぐぐう! とまひろの筋肉が肥大する。
俺に蹴りを放ってきた。
ぼぐぅう!
「っぶねえ」
腹に魔力を集中させ、ガードしなかったら、大ダメージを受けていたところだ。
まひろが距離を取らずに突っ込んでくる。
「逃げてくれ!」
……なんとなく、この子はわるい子じゃないって思った。
多分本来は良い子なのだろう。
そんな良い子に、呪いをかけた。
誰が?
こんな強い子に呪いをかけられる相手なんて、一人だけ。
天導の上役達だろう。
「…………」
ドゥーエの件といい、天導ってやつらは、ロクデモナイ連中だってことがわかった。
俺は……逃げない。
透明な剣を、あえて受けた。
ざんっ!
「無形剣を受け、無傷だと!? どうなってるんだ!?」
「魔力でガードしてるだけだよ」
「ガードを無視するのだぞ!?」
「無視した瞬間次の魔力の鎧を張ってるだけだよ」
「!?」
よし、精神が揺らいだ。
今がチャンス。
俺は聖なる白炎を発動しようとする。
すると、大賢神の力が、新しい力を加えて、アウトプットしてくれた。
「完全回復!」
使った瞬間、頭に、効果が流れ込んできた。
あらゆる病、あらゆる呪いを解き、快復させる最強の治癒魔法だ。
ずああああああああ……!
まひろの身体から、邪悪なる何かが出ていくのがわかる。
彼女がその場にぺたん……と尻餅をつく。
よし……大丈夫そうだ。
「ケガ無いか?」
「あ、ああ……なんだ、今の? 強烈な……聖なる力は?」
「俺の魔法だよ」
「………………魔法、そうか」
まひろは俺を見て、しっかりと頭を下げた。
「迷惑を、かけた。ほんとに、すまなかった」
やっぱり、わるい子じゃないみたいだ。
「気にすんな。とりあえず……メシにしようぜ。話はそれからだ」
【★☆大切なお願いがあります☆★】
少しでも、
「面白そう!」
「続きが気になる!」
「アベルツエエエ!!」
と思っていただけましたら、
広告の下↓にある【☆☆☆☆☆】から、
ポイントを入れてくださると嬉しいです!
★の数は皆さんの判断ですが、
★5をつけてもらえるとモチベがめちゃくちゃあがって、
最高の応援になります!
なにとぞ、ご協力お願いします!