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69.天使もワンパン



 ……ドゥーエと本契約(意味深)した。


「くたくただ……」


 場所はマテオの茶屋。

 もはやここが、俺たちのハーレムの拠点になってる。


 昨晩、ドゥーエは俺を寝かしてくれなかった。

 本契約は一度の交わりで良いのだが、何度も何度も……。


 もう駄目だと思っても、何度も……。


 さすが、人妻。

 いろいろ凄まじかった……。


「あいよ、ベルさん」


 俺が茶屋スペースに顔を出すと、マテオが俺に茶を出してくれた。

 時間は、夜……夜!?


「ベルさん……すごかったね」

「ああ……」


 というか、本契約はじめたのが、夜だって。

 で、夜って……おいおい、一日やっていたってことなのか!?


「あの人、大人しい顔をしてなんていう性欲お化け……」

「てゆーか、見てたのか? 助けてくれよ……」

「お楽しみタイムをじゃましたらいけないとおもってねっ!」


 つんっ、とマテオがそっぽを向いてしまう。

 どうにも怒ってるようだ。


 なんでだろう。


「ナンデ怒ってんだよ」

「ベルさんが……ああもう!」


 顔を真っ赤にしたマテオが、小声で、恥ずかしそうに言う。


「……ベルさんが、構ってくれないから」

「マテオ……」


「アタシだって……ベルさんにいっぱい可愛がって欲しいのに……」


 どうやら構って欲しいみたいだった。

 俺は茶を飲んで、マテオをぎゅっと抱きしめる。


 普段しっかりしてるマテオが、こんな風に甘えてくるのが、なんだかかわいらしかった。


 俺がぎゅっと抱きしめると、彼女は気持ちよさそうに目を閉じる。

 そして唇を差し出してきた……のだが。


「あ」

「あ?」

「いや……」


 魔力感知に、ひっかるものがあったのだ。

 しかし今はそんな雰囲気じゃ……。


「はぁ……敵だね?」


 付き合いの長いマテオは、これだけで、通じてしまったようだ。


「すまん」

「いいよ。……ベッドで待ってる」


 あいつ、可愛いとこあるな……。

 まあそれはあとで。


 問題は、領内に突如として現れた【敵】についてだ。

 俺の感知範囲はデッドエンド全域におよぶ。


 敵はここ、ミョーコゥの上空に突然現れたのだ。

 それは……おかしい。どこからか進入してきたじゃなく、本当に突然現れたのだから。


「っと、あれか?」


 空中に、なにやら白い変な石像が浮いていた。

 一見すると人間に近いフォルムをしてる。


 大きさは3メートルくらいだろうか。

 だが、顔がなく、手には剣を。


 そして……背中には翼を生やした……。

「ガーゴイル?」


 石像の悪魔型モンスター、ガーゴイル……みたいな?

 アレも結構厄介な敵だったな。


 ミネルヴァ、あれは……。

 ガーゴイル(仮)は俺にむかって凄いスピードで近づいてきた。


 ブォンッ!


「おっとぉ……」


 ガーゴイル(仮)は光る妙な剣? のようなものを持っていた。

 直感的にアレがヤバいと感じたのだ。


『マスター、あれは……』

「魔力撃!」


 とりあえず、相手の力を試すため、魔力撃を放っておく。

 こぉおおおおおおお……。


「あ、あれ……?」


 なんか、軽く、魔力撃放っておこうかなって思っていたんだけど……。

 予想以上に、俺の右手に、魔力が集中していく。


「ちょ、まず!」


 俺は慌てて照準を上空にむけた。


 ズッドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!


 ……それをナント形容すればいいんだろう。

 柱……そう、柱だ。


 天へ伸びる光の柱。

 俺の放った凄い魔力撃は、分厚い雲をぶち抜いて、空へと飛んでいった。


「で、なんでガーゴイル(仮)もしんでんの……?」

『解:今の余波で天使は消滅しました』


「さいですか……え? 天使?」


 なんか、聞いたことない単語が耳に入ってきたんですが……?


『下級とはいえ天使を初見で、しかも魔力撃の余波だけで完全消滅させてしまうとは。さすがです、マスター』


 う、ううーん?

 さすがですとか言われても……。


 え?

 天使?

 

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