68.即本契約
ドゥーエが俺の嫁になりたい……。
そのことを知った嫁達は、会議を開いたようだ。
そして出した結論は……。
「「「「アベルさんが、決めたことに、従います(にっこり)」」」」
とのことだった。
その笑顔が妙に怖かったのは内緒である……。
「俺が決める……か」
さてどうしよう。
ドゥーエは、たしかに美人だ。それも今のマテオ達に並ぶくらい、とびきりの。
俺だって男だし、美女に引かれる気持ちはある。
「……あの、やっぱり迷惑かけたくないんで……いいです……蘇生させてもらっただけで……もう十分すぎるほどですし……」
ドゥーエが弱々しく微笑む。
蘇生させたときとは、比べものにならないほど、その笑顔は暗く沈んだものだった。
俺は……。
俺は、ドゥーエにどこか、危ういものを感じた。
一度人に手ひどく裏切られたこともあるし。
彼女が何か、ヤバい方向にいってしまうんじゃないかって……。
ほっとけなかった。
「ドゥーエ。おまえさえよければ、俺の側にいてくれないか?」
「! い、いいんですか……?」
ああ、やっぱり。
遠慮してたとしても、俺の側に居たかったんだな。
この人のことを、俺はよく知らない。
でも……彼女はほっとけなかった。
「おまえさえよければ」
「アベル様っ!」
「え? ちょ……!?」
ドゥーエが俺に抱きついてきた。
そのまま押し倒してくる……え、えええ……?
嫁達がぞろぞろと出て行く。
ちょ、ちょっと……?
「ミネルヴァ!」
「できる秘書はクールに去ります」
「止めてくれって……!」
……結局、そのまま本契約した。
ドゥーエの職業は呪術師から森呪術師へと、ランクアップしたのだった。
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