表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

64/196

64.絶対に壊れないものだって壊しちゃう



 キムズカジーの作業場にて。

 魔銀中毒が、上位リッチーのしわざだと見抜いた、俺。


「しかし……ううん」

「どうしたんや、大魔導士はん?」


 イッコジーが俺に尋ねてくる。


「理屈は、わかったよ。魔銀にリッチーが憑依するせいで、体調を崩す。聖水をかければリッチーがいなくなるから、体調が回復するってさ。でも……そもそも論として、どうしてリッチーは魔銀に憑く?」


 魔銀にリッチーを引き寄せる力があるとか?


「否:魔銀には特にそういう性質はありません。人為的に、リッチーは魔銀に引き寄せられるようにされてます」


 ん……?

 人為的……?


「故意に誰かやってるってことか?」

「是」


 一体誰が……。

 ん?


「どうしたのじゃ?」

「今、全速力で逃げようとしてるやつがいる……」


「なんじゃと!? いったいどこに?」

奈落の森(アビス・ウッド)だな。魔力感知にひっかかったんだ。ちょっといって確かめてくる」


 俺は転移魔法を使って、逃げようとするやつの魔力の元へとやってきた。


「ひぃいい!」


 森の入口に、白装束の男がいた。

 十字架を首からぶら下げている。


 ん……この格好、どっかで見たことがあるような。


「っと、あんた。なんで逃げようとした?」

「に、逃げてない! 逃げようとなんてしてない!」


 嘘くさいなぁ……。

 調べようにも、ミネルヴァはここには……。


「マスター」

「ミネルヴァ……おまえどうして……?」


 俺の隣に、人間姿のミネルヴァがいた。

 あれ? 転移魔法なんて使えたんだろうか……?


全知全能ミネルヴァは、マスターのスキルです。マスターの一部といってもいい。ゆえに、求められればマスターのお側に一瞬で転移できるのです」


「そ、そんな便利な機能がついてるか……」


 全知全能ミネルヴァすごいな……。

「まあいい。ミネルヴァ。こいつは逃げてないといってるんだが、ほんとか?」

「否:嘘」


 ほらぁ……。

 やっぱりな。


「嘘じゃ無いか」

「な、何を証拠にそんなことを!」


 まあそうか。

 こいつからすれば、ミネルヴァが全知全能……全ての疑問に答える存在とは、知らないもんな。


「じゃあ質問を変えよう。おまえここで何してるんだ? デッドエンドの人間じゃ無いな?」

「解:天導教会てんどうきょうかいの聖職者。呪具を用いて、リッチーを操っていた」


 そうかどっかで見たとおもったら、天導の聖職者か。

 ん……? 天導教会てんどうきょうかい……?


 聖水を使って、高いお布施をふんだくってるやつらじゃないか。

 そいつらが、リッチーを操っている……?


「ででで、でたらめだ!!!!! 呪具など持っていない!!!!!」


 俺は魔力感知を発動させる。

 こいつの魔力とは別の魔力が無いか調べる。


 あった。

 俺はこいつの胸から下げてる十字架を手に取る。


「な、何をする貴様! それは、天導教会てんどうきょうかいの聖職者にあたえられし、聖なる十字架! 部外者が触れて良い物では……」


「これが呪具だろ?」


「ち、違う!」

「是」


 ミネルヴァが肯定する。

 ほら、やっぱり呪具だ。


「どこをどう見たら呪具なのだ! 聖なる十字架だぞこれは!」

「見た目を偽装してるんだろ。解呪ディスペル


 魔法や呪いを解除するワザを使う。

 パキィイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!


 聖なる十字架は姿を変える。

 蛇の巻き付いてる、人間の頭蓋骨だ。


 まがまがしいオーラが、呪具から発生してる。


「し、信じられない……! 高度な隠蔽のまじないがかけられてたのに!」

「語るに落ちるとはこのことだな」


「ふ、ふん! 馬鹿め! 死ね! リッチー! この男を呪い殺せぇ!」


 呪具から黒いオーラが発生。

 それが塊一つの形を成す。


 フードを被った、怪しい死霊モンスター。

 これが上位エルダーリッチーか。


 リッチーが俺に抱きついてくる。

 そのまま、俺の身体の中に入ってくる。

「ははは! 死んだなぁ! リッチーには生命を吸う力がある! 身体に直接とりこまれたら、命を全て奪われて即死するんだよぉ!」


「しないが?」


「なにぃいいいいいいいいいい!?」


 別にリッチーが入ってきたところで、俺の身体から、力が抜けるようなことはなかった。


「どどど、どうなっていやがるんだ!?」

「解:賢神けんじんたるマスターの生命エネルギーは、通常の人間を遥か凌駕しています。リッチーごときでは、全てを奪うことができません」


「そんなばかな……! 人間か貴様ぁ!」


 人間なんだがな。

 最近ちょっと神になりかけてるけど。


 ……ふむ。

 俺の中にいるリッチーから、【それ】が伝わってきた。

 やれやれ。


「悪いが、呪具を破壊させてもらうよ。こいつのせいで、リッチーは迷惑してるんだ」


 この呪具には、リッチーをコントロールする能力がある。

 裏を返すと、こいつがあるせいで、リッチーはしたくもないことを、やらされてるといえる。


「ば、馬鹿め! その呪具は特級呪具! 絶対に壊れない素材でできてる……!」


 絶対壊れないねえ。

 たしかに妙な呪いが掛かってる。


 壊そうとすると、その命令を打ち消す呪いだ。

 が。まあ……関係ない。


「ふん!」


 俺は右手に魔力を貯め、身体強化し、思い切り骸骨を握りつぶした。


「そんな馬鹿なぁああああああああああああああああああ!」


 愕然とする天導の聖職者。


「絶対に壊れない呪いがかかってたんだぞぉ!?」

「さぁ。なんかいけるって気がした。なんで呪いが効かなかったんだろう?」


 するとミネルヴァが答えてくれる。


「解:マスターは過去、強力な呪いにかかっていたことがあります。そのとき、呪いに対する耐性ができたのです」


 あ、そういや……そうだったな。

 元弟子に呪いをかけられてたんだけっか。


 あの経験があったおかげで、俺には呪いへの耐性ができた、ってことか。

 ……あんま喜びたくないな。


「信じられない……ほんとにきさま、人間か……!?」

「いや……なんか神らしいぞ」


 この領地の人たちからすればな。

【★☆大切なお願いがあります☆★】


少しでも、

「面白そう!」

「続きが気になる!」

「アベルツエエエ!!」


と思っていただけましたら、

広告の下↓にある【☆☆☆☆☆】から、

ポイントを入れてくださると嬉しいです!


★の数は皆さんの判断ですが、

★5をつけてもらえるとモチベがめちゃくちゃあがって、

最高の応援になります!


なにとぞ、ご協力お願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] なぜ物理…。呪具なんだから更にディスペルして解呪した方が良かったような…? そうすれば大元の天導教会に呪いが返って事が済んだのに。 まあ、上位リッチーの鬱憤晴らしで天導教会潰されるか。
[一言] まあ、前回の流れからしてクロだろうとは思ってたがやっぱ天導教会のマッチポンプか。 つうかあいつら、魔銀製の武具や魔道具なんかの存在を探知してはその場に行ってリッチーをけしかけてたのか?せせこ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ