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48.自警団を鍛える



 古竜を討伐して、マテオの元へ帰ってきた俺。


「あれ? モンバ」

「あ! 兄貴! ちょうどいいところに!」


 新居(兼、茶屋)に、門番のモンバがやってきたのだ。

 モンバの後には、彼とおなじ、若い衆たちがいた。


「どうしたんだ、大勢で?」

「兄貴に、お願いしたいことがあったんっす!」


 っすって。

 なんか口調変わってないか……?


 まあ、前から後輩っぽい感じがしたが。

 しかし、お願い? なんだろう?


「おれらを、鍛えてください……!」


 ばっ、とモンバを始め、若い衆たちが頭を下げる。


「鍛えるって……?」

「おれらミョーコゥの自警団なんすよ」


 ああ、そうか。

 前に聞いたことあったな、街を守る自警団があるって。


「でも、全然弱っちくって……。ヒトミ姉さんたちみたいに、強くなりたいんす!」

「ははあ、なるほど……」


 俺がヒトミ達、弟子(今は嫁だが)を育ててたから、自分も……と思った訳か。


「ヒトミ姉さんから聞きました! キスしたら強くなると!」

「お、おう……従者契約な」


 確かにキスすれば強くなるが……。

 しかし、男とキスはちょっと気が引ける。


 無論、この街の守りを固めたい、という彼らの意思は尊重する。

 辺境伯として、この街の人たちを守りたいとも思ってるがな。


「おれらにキスを!」

「わか……」

「それは無理だねぇ」


 マテオが人数分のお茶を持ってきて、苦笑しながら言う。


「無理? どういうことだ?」

「それは……」


【解:従者契約は異性間で結ばれる魔法契約であるため、男同士の契約は不履行となります】


 突如、全知全能スキルが発動した。

 俺が疑問を覚えたからだな。


「男同士だと契約できないんだな」

「……そうだよ」


 ぷぅ、とマテオが頬を膨らませる。

 

「どうした?」

「解説役を、そのスキルに取られたのがちょっとね……女房として不満というか」


「はあ……」


 よくわからん感情だ。


「ん? おまえ、全知全能の声が聞こえてるのか?」

「ああ。多分だけど、ベルさんと契約してるからかもね」


 なるほど……。

 しかしそうなると、ティア達も聞こえてるのだろうか?


【否:天の声を聞けるのは、本人、および契約者のみ。ただ、視界内にいない契約者とは情報共有されません】


「そういうことか……って、マテオ?」


 またしても、マテオが不満そうに頬を膨らませる。


「知識面でサポートするのはアタシの役割だったのに……」

【笑:知識面】


「あ? ケンカ売ってるのかい!」

【否】


 ……なんか、全知全能スキルと、だんだん会話できるようになってきてるな。

 自我が芽生えるかも……なんてな。


「えっと、モンバ。悪いがキスで強くできるのは、女限定なんだ」

「えー! なんすかそれずりーっすよぉ! 兄貴が女としかキスしたくないから、テキトー言ってるんじゃ……あいたっ」


 ぽかっ、とマテオがモンバの頭を小突く。


「ベルさんが、そんな適当なこと言うわけないだろ。従者契約は異性としか結べない、これがルールなんだから、しょうがないだろ」

「そ、そっすね……すんません」


 俺は別に気にしてなかった。

 そう思われても仕方ないもんな。


「気にすんな。まあ、キスで簡単に強くはできんが、鍛えてやることはできるぞ」

「ほ、ほんとっすか!?」


「ああ。もちろん」

「「「やったー!」」」


 若い衆達が凄く嬉しそうにする。

 こうして俺は、彼らを育てることにした。


「育てるつっても、どうするんだい?」「まずは、魔力を伸ばそう」


「魔力を伸ばす……?」


 マテオが小首をかしげてる。

 ん? 何か変なことを言っただろうか……?


【解:幼少期に魔力を使えば使うほど、体内の総魔力量は上昇します】


「そうなのかい!?」


 そうなんだよな。


【笑:知らないのかい?】


 あ、煽ってる……。


「このっ! スキルの分際で!」

「ま、まあ落ち着けよ……全知全能もあおるな」


 答えてこなかった。

 なんなんだ……? 疑問形じゃないからか?


【是】


 あ、やっぱりそうなのか……。


「しかし、幼少期に限るんだろう? モンバたちは大人じゃないか」

「うーん……そうなんだよな。でも、俺ティアにおなじ風に、魔力を伸ばしてやったことあるんだよ」


 幼い頃じゃなくてな。


「どうやったんだい?」

「ティアが魔力を使って、俺が注いだ。そうしたら、注げる量が増えていったんだよ」


「なるほど……。どういう理屈なんだい?」


【…………】


「おい無視するんじゃあないよ!」


 やっぱり自我が芽生えてないか……?

 ええと、マテオの疑問に答えてやれ。


【解:大賢者の魔力を使えば、幼少期でなくとも、使った分、総魔力量が上昇します】

「そうだったのか……」


 つまり、こういうことだ。


 通常、幼少期にやらないと、魔力量は伸びない。

 が、俺(というか大賢者)が魔力を注げば、幼少期でなくとも、魔力量が増えるってことか。


【是:さすがです】

「さすが係まで取られてしまった!」


 なんだよさすが係って……。


「ええと、兄貴? 話についてけないんだけど……?」


 モンバ達が困惑してる。

 そりゃそうだ、今までのやりとり、ほぼ俺、マテオ、そして全知全能の三者(者なのか……?)でしか行われてないからな。


 俺はモンバにかいつまんで説明する。

 魔力は使えば増えること。


 俺がいれば、幼少期で無くとも、魔力を増やせると。


「す、すげえ……! 兄貴の魔力、すげえ……! さっそくやってくれ!」

「ああ。じゃあ、基本的な魔力操作から始めようか」


 ということで、俺は若い衆たちを連れて、マテオの茶屋を出る。

 転移魔法で、奈落の森(アビス・ウッド)へとやってきた。


 大樹の前に立つ、俺。


「魔力操作の基本、【魔力撃】を教える」

「まりょくげき、ってなんすか?」


「魔力を手に集中させて、一気に放出させる技術だ」


 魔力を効率よく使うためには、魔力撃が一番だ。


「どうやるんすか?」

「どうって……こうだけど」


 俺が右手を前にだす。

 と、同時に……。


 ドガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!


 ……俺の放った魔力撃のせいで、目の前にあった木々が全て消えていた。

 一直線上にあった木々、そして地面がえぐれている。


「こんな感じ……って、どうした?」

「「「「…………」」」」


「ベルさん。あのね……」

【解:アベル・キャスターの放った魔力撃の威力が高すぎて、みな驚いております】

「また役割取られた……! あんた……邪魔!」


【笑】


「きぃい!」


 そ、そうか……威力が高すぎるか……。

「これでも、ものすごく力をセーブしたんだが……」

「あ、兄貴……魔力ってこんな、大量殺戮兵器みたいな威力、だせるんすか?」


「え? ああ。まあ鍛えればな」

「す、すげえ……! さすが兄貴! やっぱぱねーっす! なあみんな!」


 うんうん、と若い衆たちがうなずく。

「いや……この魔力撃の威力、おかしすぎるから。モンバ、あんま参考にしないほうがいいさね……」

「そうなんすか?」


「そうだよ! ベルさんがぶっ壊れてるだけ! そもそも魔力を操作するのって、すごい時間がかかるんだから!」


 なんか前にもこんなやりとりしたような気がするが……。

 ともあれ。


 俺は自警団の若い衆を、鍛えてやることにしたのだった。



「弟子達の教育ほっといて、若い衆育てて良いんかい?」

「いやまあ……あいつらもう最近自主練がメインだからさ。教えることなにもなくて……。なあ?」


【是:アベル・キャスターと契約したことで、全員が英雄クラスの強さを手に入れています】


 そうだったのか……。


「そこまで……強くなってるとは……」

「なんでベルさんが知らないんだよ!」


【解:アベル・キャスターが強すぎるからです。自分が強さの物差しとなってるため】


 なるほどな。


「納得するんじゃあないよ! もう!」

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