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47.古竜がビビって逃げ出す



 俺は女とやって、職業ジョブが大勇者から賢神けんじんへと進化した。

 あくる日。


「はぁ……」


 マテオの茶屋、もとい、新居にて。


「ベッドはその部屋に運んでくださいまし~」


 ワイズマンが、王都商業ギルドの連中から買ったらしい、寝具やらを運び込んでいた。


「ぴゅい? ちち~」


 神聖輝光竜ピュアホワイト・ドラゴンのピュアが俺に尋ねてくる。


「おひっこしか?」

「……まあな。ここで、みんなと暮らすことになった」


「おお! ちちかぞくいーっぱい! ……なんでため息?」

「なんか……な」


 マテオとは、きちんと段階を踏んで、今に至る。

 だが弟子のティアを含めた女子達とは、段階をすっ飛ばしてやってしまった。


 全員が俺のことを心から好いているとはいえ……このまま何もせず放り出すわけにはいかなかった。


 だから、俺は責任を取ることにしたのだ。


 薬師マテオ、聖女ティア、サムライ少女ヒトミ、エルフ国次期女王ゼーレン、姫騎士ワイズマン……。 


 一気に五人の女を養うことになったのだ。


「ちちは、いや?」

「……そんなことないよ」


 俺は家族がずっと欲しかったしな。

 ……まあ、ティアたちも良いって言ってるし、いいか。


「ぴゅあはうれしい! いっぱい! たのしい!」

「そうだな」


 よしよし、とピュアの頭をなでる。


「それにともだち、できたー!」

「友達?」


 するとひょこっ、とピュアの陰から、見たことのある女の子が顔を覗かせる。


「確か……マテオの姪の、マオマオちゃんだっけ」

「は、はいっ。こ、こんにちは……」


 ぺこっ、とマオマオが頭を下げる。

 あー……そういえば、マテオの親と、この子の母は死去してるのだった。


 マテオが面倒を見ているとのこと。

 なので、この子もここで住むことになった……。


「ぴゅい! いっしょにあそぼ!」

「うんっ!」


 ……しかしまた人が増えた……。

 いや、もう5人も6人も一緒だ。


 それにマテオの人生を背負うと決めた以上、マオマオの面倒を見るのも、俺の義務だしな。


「旦那様♡」


 ワイズマンがニコニコしながら近づいてきて、俺にぴったりと寄り添ってくる。

「ワイズマン……おまえほんとにいいのか? 国王陛下文句言ってなかったか?」

「何一つ不満などございません♡ むしろ、よくやったと! 褒められましたわ」


「ほんとか?」

「はい♡ 大英雄の血を己の一族に加えられたのですからね♡」


 ……そうか。

 俺、いちおう王族になるのか……。


 孤児から短期間で、一気に色々変わりすぎたな……。


「引っ越しは全てこちらでやっておきますわ♡」

「いいのか……?」


「はい! 旦那様はお散歩にでもおでかけなさっては?」

「いやそれはさすがに気が引ける……」


 と、そのときだった。

 俺の魔力感知に、魔物がひっかかったのだ。


 かなりデカい気配だ。

 これは……ランクの高い魔物だろうか?


【解:Sランクのモンスター。古竜バジリスク】


 ……突然俺の頭の中に声が響いた。

 これは……あれか。


 全知全能スキルのおかげか。


【是】


 ……魔力感知は、だいたいの敵の位置を把握するだけだった。

 しかし、全知全能と組み合わせると、どんな敵が来てるのか、一発でわかる。


 魔力感知と全知全能の組み合わせ、やばいな……。


「参られるのですね、旦那様♡」


 ワイズマンが俺に尋ねてくる。

 どうやら俺が敵の元へ行こうとしてるのに、気づいた様子だ。


 俺は飛行魔法で飛び上がると、気配のする方へと向かう。

 ぎゅぅうん! 


 ……。

 …………。

 ………………いや、結構離れてるな。


 場所は、奈落の森(アビス・ウッド)の外れまで来てるのだが。

 まだ敵の姿が見えない。


【解:賢神けんじんへと進化したことで、感知できる範囲が広がりました。奈落の森(アビス・ウッド)櫛形山くしがたやまを含め、デッドエンド領の全域を感知可能です】


 ……なんだか、どんどんと人間離れしてきてるな。

 あらゆるものの問いかけに対して、回答を得られるスキル、全知全能。


 これが言うなら、ほんとに、デッドエンド全域をカバーできるんだろう。


 本当に化け物だな俺……。


【告:敵の逃亡を確認】


「なに……?」


 古竜バジリスクが、逃げてるってことか……?

 

「なんで逃げてるんだ?」

【解:強力な化け物の気配を感じ取ったのかと思われます】


「まだ他にも化け物がいやがるのか?」

【解:アベル・キャスター】


 ………………つまり、だ。

 敵は俺にビビって逃げてるってことだな。


 古竜が?

 俺の? 気配だけで逃げるって……。


【解:強くなった影響です】


 ……そうか。

 まあいい。このままだと敵が逃げてしまう。


 まあ別に、逃げるなら追わなくてもいいかもしれない。

 が、倒さないと、仲間を呼んでくる可能性もある。



「バジリスクの周囲に、民間人はいるか?」

【否】


 よし……。

 俺は真上に飛んで、高度を取る。


 そして魔法を頭上に展開。

 賢神けんじんによって、魔力感知の範囲が広がった。


 ならば……。


「【落雷剣サンダー・ソード】!」


 中級雷魔法、落雷剣を発動。

 魔法陣はバジリスクの上空に出現し……。


 ズガガガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!


「どうだ? 命中したか?」

【是:バジリスクに命中しました。周辺の被害はありません】


 ……どうやら、遠隔で、しかも中級魔法で、古竜を倒せるようになったらしい。

 魔法は遠くの敵に当てようとすると、威力が下がるからな。

 しかも、中級魔法でSランクを倒せるようになっているとは……。


 いよいよもって、俺も化け物じみてきたな?


【否:化け物ではなく、神です】


 ……意外と会話できてるな、このスキルと。

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― 新着の感想 ―
ふーん。これは転◯ラの某ユニークスキルさんの本版ですね!!
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