45.俺の魔力で女もポーションも品質向上
マテオと恋人となって、寝た翌日のこと。
「ベルさん♡ おはよ♡」
誰かが俺の体を揺する。
多分この声はマテオだろう。
うっすらと目を開けると……。
「は? え、だれ……?」
そこには、びっくりするくらいの美少女がいた。
年齢は一〇代前半。
翡翠の髪の毛は、さらっさらで、太陽光を反射しキラキラしている。
肌に一切のシミはない、処女雪のように真っ白だ。
ぱっちり二重で、目も大きく、見た目だけで一生食っていけるほどの美貌を持った……美少女。
「ふふふ♡」
「ねえ、誰? 誰なの? ねえ」
「わからないのかい、ベルさん♡」
……ベルさんって。
それマテオが俺を呼ぶときに使う……って、まさか。
「お、おま……マテオ……なのか……?」
「はい♡ ダーリン♡ マテオ・ケミストだよ♡」
「うそ、だろ……」
確かに、マテオの声がするし、かすかに面影がある。
だが、目の前に居るのはマテオとは似ても似つかぬ美少女だ。
……まあ、マテオも決して見た目が悪いわけじゃなかったけど。
「どうなってんだよこれ……?」
「ベルさんのおかげだよ♡」
「俺の……? なんかしたか?」
「たっぷり……かわいがってくれたじゃ無いか♡ アタシのこと♡」
どうやら、昨晩のことを言ってるらしい。
まあ、確かにベッドで色々したが。
「ベルさんにいっぱい注いでもらったからさ♡ そのおかげだろう」
「いやいや……」
さすがにそれは……。
「知ってるかい? 男の人のあれには、生命魔力がたくさん含まれてるのさ」
生命魔力。
生命を削って生まれる魔力のことだ。
「大勇者の生命魔力は通常のそれよりも、高純度の生命力が込められてたんだろうね。だから、いっぱい注いでもらった結果、こんな風に体に生命力があふれ、美人化したってことだよ」
……悪い。
説明されても、理解できないのだが。
「ま、早い話し、ベルさんとのえっちは、女の子を美人にするってこったね♡」
「はぁ……」
今まで散々驚いてきた(俺のやったことで)けど、今回はもうレベルが違いすぎるだろ……。
「ベルさんとやったおかげで、体の調子はいいし、お肌の張りは10代になったし♡ これじゃ毎日でも、ベルさんにご奉仕したくなるよ♡」
「やめてくれ……」
こいつ、結構肉食系だった。
本気で全部搾り取られるかとおもった。
「大丈夫でしょ♡ ベルさん、魔力びんびんだから。最後のほうはアタシがノックアウトさせられたし」
呪いが解けた影響だろうか、俺の体は体力、精力で満ち満ちていた。
どれだけやっても、疲れなかったし、アレが衰えることもなかった。
「今晩もたくさんしようね、ベルさん♡
……そのうち子供ができてしまうかもしれない。
子供……家族、か。
確かに欲しかったものだ。
ここへ来てから、俺は欲しいもの全部手に入っている。
信頼できるパートナー、そして、子供。
追放も悪いことばかりじゃないな。
「腹減ったよ」
「そう思ってメシ作っておいたよ♡」
ややあって。
今日は茶屋は定休日らしい。
マテオが作業部屋にこもって、薬を作っている。
「調剤」
マテオが薬草に手を置き、スキルを発動。
調剤。薬師の職業が持つ固有スキルだ。
一瞬で薬草が粉末へと変わる。
「なるほど……。素材から薬にするまでの工程を、スキルでカットできるんだな」
「そ。やってみるかい、ベルさん?」
「やってみる? 俺が?」
「うん。だって、第三職業手に入れたんだろう?」
あ、そうか。
マテオとやったことで、彼女と契約し、結果、薬師の職業を手に入れたんだった。
確かに薬が作れるようになっておいた方が良いかもな。
俺、回復魔法は不得手だし。
作業台の前に座る。
マテオが薬草と瓶を置く。
「じゃ、まずは一番簡単な、下級回復ポーションから作ろうかね」
俺はマテオがやったように、素材の前に手を差し出す。
「えっと……【調剤】」
カッ……!
コォオオオオオオオオオオオオオ!
「な、なんかマテオがやったときより、輝いてないか?」
「なんて魔力量さね!」
やがて、瓶入りのポーションが完成する。
マテオが作ったのとおなじ素材で作ったのだが……。
「色、ちがくないか……?」
マテオが作った下級ポーションは、薄緑色をしていた。
しかし、俺の作ったものは、エメラルドグリーンにキラキラと輝いている。
「これは……まさか……【鑑定】!」
俺手製のポーションに、マテオが鑑定スキルを使う。
ぎょっ、とマテオが目を剥く。
「こ、これは……!?」
「どうした?」
「ぽ、ポーションの効能が……に、五〇割増しになってる」
「……………………はい?」
五〇割増し……って、5倍ってことか?
「信じられない! 下級ポーションの素材で、上級ポーションとおなじ効能のものを作っちまったよ!」
「そ、それって……すごい……」
ギロっ、とマテオににらまれた。
多分すごいことなんだろう。
ここですごいことなのか? って聞いたらいつも通り、怒っていただろう。
「しかし……なんで俺の作ったポーションが、5倍増しの効能になったんだろうな」
「多分……ベルさんの魔力が関係してるのかもね」
「俺の魔力……?」
こくん、とマテオがうなずいて説明する。
「調剤スキルを使って、ポーションを作る際、作成者の魔力がこめられるのさ。ベルさんの魔力にはものすごい生命力が込められてるでしょ?」
確かに。マテオが美少女化するくらいには、すごい生命力が込められていたな。
「それと同様に、ベルさんの魔力で作ったポーションには、ベルさんの高濃度魔力が込められてる。結果、効能が上がった……ってことだと思うよ」
どうやらおなじ調剤スキルでも、作る人によって、ポーションの出来は変わるみたいだな。
「ベルさんの魔力って、ほんとすごいね。女を美人にするし、ポーションの効能もあげるし。そういや、青月草の人工栽培を可能にしてるのも、ベルさんの魔力のおかげだし」
「大賢者の魔力、万能すぎるだろ……」
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