表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/196

04.勇者Side

《ジャークSide》


 アベルが神聖輝光竜ピュアホワイト・ドラゴンの呪いを解いた、一方そのころ。

 ジャークは宿屋で一人ほくそえんでいた。


「くくく、うまくいったぜえ! ぎゃはははは!」


 ジャークが高笑いする。

 計画がうまく行ったからだ。


「アベルに呪いをかけ、力をすべて吸い取ったうえ、邪魔者を追い出してやったぜえ!」


 そう、なんとアベルの体調不良は、ジャークがかけた呪いが原因だったのだ。

 ジャークは絶大なる力を持つアベルに嫉妬していた。


 さらに、自分の好きな女……ティアが、アベルのことを好いてることが、気に入らなかった。

 だから、ジャークはアベルからすべてを奪い取ることにしたのだ。


「あのおっさん馬鹿だからよぉ、出ていく最後まで、おれのやった呪いの指輪を後生大事につけていたぜぇ」


 ティアと一緒に買ったプレゼントの指輪。

 それをアベルに渡す前に、呪術師に頼んで、【弱体化レベル・ドレイン】の呪いを指輪に付与してもらったのである。


 呪いをかけられたアベルは弱体化し、その力を吸収して、ジャークはどんどんと強くなっていった。

 ……アベルも、そして聖女ティアも、まさか家族同然にかわいがっている(もらっている)相手から、呪いを受けているなんてつゆほどにも思っていなかった。


 だからティアはアベルに対して解呪を使わなかった。

 アベルは、プレゼントがまさか呪いのアイテムだと知らず、肌身離さずつけていた(アベルを見た呪術師はジャークとぐるだった)。


 それゆえ、アベルが呪われてる事実について、アベルもティアも気づかなかったのである。


「アベルぅ……あんたが悪いんだぜ。あんたが凄すぎるせいで、勇者おれが陰に隠れちまう。英雄は一人だけで十分なんだよぉ」


 ……ジャークの犯行動機は稚拙極まるものだった。

 他者からすごいと思われたい、という承認欲求。


 しかし大魔導士がいては、勇者が目立たない。だから、邪魔者であるアベルを排除するべく、計画をたて、そして実行したのだ。


「アベルは消えた! おれは大魔導士と勇者の力を手に入れた! ティアの心も、いずれはおれのものにしてやる!」


 そう、ジャークはティアに懸想していたのだ。

 だが、ティアはアベルのことが好きだった。


愛する女を手に入れたい。そのことも、犯行に及んだ動機のひとつである。


「ぎゃはは! これからはおれの時代……新時代の幕開けだぁ!」


 ……だが、ジャークは知らない。

 彼がかけた呪いが、アベルの魔法によって解呪されたことを。


神聖輝光竜ピュアホワイト・ドラゴンのうろこには、魔法を反射するという、特別な能力があった。

竜にかけた解呪の魔法は、反射し、アベルに掛ったのである(解呪後のアベルの魔力を吸った竜が、自力で呪いを解いたのだ)。


 アベルは自分のかけた解呪のおかげで、ジャークの呪いを解いた。

 その結果、呪いがジャークに跳ね返った。


 呪詛返しと呼ばれる、呪いをかけた術者に、呪いが跳ね返ってくるという現象だ。

 その結果ジャークは、自分が得ていたアベルの力のすべてを失う。


 それどころか、自分が持っていた勇者の力さえも、アベルに流れてしまった。

 結果、ジャークは二つの力を同時に失い、さらにアベルがそうだったように、体力・魔力が徐々に落ちていくことになる。


 ……人を呪わば穴二つ。

 ジャークはこの先、とんでもない不幸の連続に見舞われることになるのだが、それは少し先の物語である。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] なんかこの設定まんま同じやつ昔あったよね コミックにもなったやつがさ 同一人物じゃなかったら流石に盗作疑惑出るぞ
[気になる点] 1 呪いで優秀なおっさんから力を奪う。 2 魔物を救うために命がけの解呪で自分にかかった呪いも解呪する。 3 解呪した魔物が女の子に。 4 呪いを解除されて勇者弱体化。 …どっかで見…
[一言] ざまぁ早www と思ったらここまでが短編なのね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ