36.新スキル地方創生
領地をもらったら、第二職業、【辺境領主】を獲得した。
マテオの薬屋にて。
「アベル様、どのようなお力をさずかったのですか?」
「辺境領主なんていう職業、そもそも聞いたことないけどねえ」
ワイズマンとマテオが、目を輝かせながら聞いてくる。
確かに気になるな。
「さっそく王都へ向かいましょう。天導教会の所有する魔道具で、新しい力を鑑定してもらうのです!」
あ、そうか。
ワイズマンは知らないのか。
「俺、鑑定スキル持ってるぞ」
「な!? ほ、本当ですの!?」
この世界において鑑定は、非常に稀少なスキルだ。
魔道具を使うか、勇者の持つ鑑定スキルを使うか。
さらに、人(生物)の鑑定となると、大きな街の教会でしかできないのだ。
「さすがですわ、アベル様! 勇者しか持たない鑑定スキルをお持ちになられてるなんて……♡」
つんっ、とマテオが俺の脇腹をつつく。
「……ちょいと、うかつじゃないかい? 鑑定スキル持ちであることを、バラすなんて」
マテオの言うとおりかもしれん。鑑定スキル持ちは稀少だ。
権力者達が自分の物にしようと、してくるかもしれない。
「大丈夫だ。ワイズマンは信頼できる仲間だ。言いふらしたりなんてしないし、こいつが俺を利用することもない」
「そうかい……まあ、仲間を信じるっていうベルさんの気持ちを、尊重するよ」
さて。
さっそく俺は自分のことを鑑定する。
職業は、大勇者と辺境領主の二つ、ちゃんと書いてあった。
そして所有スキルの欄には、こう書かれていた。
■地方創生(SSS)
→創生スキルの一種。
魔力を消費し、領地内に新しい設備・施設を創生できる。
領民が増えると、創生できるものの種類が増える。
……なんだこりゃ?
「どうだったんだい?」
「なんか……地方創生って。創世スキルの一種だってさ」
「「な、なんだって……!?!?!?」」
ワイズマン、マテオの高学歴コンビがめちゃくちゃ驚いていた。
なんなんだ……?
「べ、べ、ベルさん……あ、あんた……凄いって思ってたけど、なんというか……ここまでだったとは……」
「もはやアベル様は、神さまですわ……!」
はぁ~?
神さまってなんだぁ……?
「ベルさん。落ち着いてきいてくれ。創生スキルっていうのは、無から有を生み出すスキル。これは……神がこの星を作る際に使われたという、スキルなんだよ」
「は……? なんだ……そりゃ。じゃあ……神のスキルってことか?」
「そのとおり……さね……いやこんな、こんな凄いものを、生きてるうちに拝めるなんてね……」
マテオが目をまん丸にしてる。
ワイズマンなんて、泣きながら、俺を拝んでいた。なんだこれ……
しかし、確かに無から有を作り出す力、と思うと、ものすごい気がしてくるな。
「でも、地方創生は、何でもかんでも作れるわけじゃないみたいだな」
あくまで、領地内の設備だけしか作れないらしい。
そして作れるものも限られている。
と言ってもじゃあ何が作れるのか……?
「早速試してみるか」
新しい力は、きちんと検証しておかないとな。
俺はこの街に骨を埋めるつもりだし。
このスキルで街が便利になるなら、使わない手はない。
「【地方創生】」
スキルの名前を言うと、目の前に半透明の窓が出現。
鑑定したときに出てくるあの、【窓】だ。
【創生可能なモノ一覧】
・井戸
・外壁(木製)
・外壁(レンガ)
・トイレ(簡易)
・畑(小)
・果樹園(小)
・牧場(小)
どうやら、今作れるのは、↑のとおりだ。
いやいやいや……。
「なんだこれ……? 本当に作れるのか……?」
井戸とか、外壁とか。
そんなものが、パッと作れるものだろうか……?
「と、とにかく試してみるか」
必要なモノと言えば……そうだな。
外壁かな。
現状だとただ木を組んでおいてるものだけだもんな。
「【外壁(レンガ)】、ええと……創生」
スキルの使い方は、修得した時に、頭の中に流れ込んできた。
作りたいモノの名前を言う。
すると……。
「た、た、大変だぁ~~~~~~~~~~~~~!」
店の外にいたモンバが叫ぶ。
窓から顔を出す俺。
「どうした?」
「きゅ、急に壁がぁ! なんか……こう、ぼんっ、と!」
ぼん……?
どういうことだろうか。
とりあえず気になったので現場へと急行する。
するとそこには……。
「れ、レンガの外壁だ……」
街をぐるりと一周するように、それはもう立派な壁ができていたのだ。
レンガが綺麗に積み上げられており、ちょっとやそっとじゃ崩れそうにない……。
「あわ、わわわわわわ……」
「キムズカジー。どうした?」
外壁近くで作業していた、キムズカジーが、腰を抜かしていた。
「何が起きたのか見たか?」
「う、うむぅう……。大魔導士どのが作られた外壁が、光った、と思った次の瞬間、ボンッ……! という音とともに、新しいレンガの壁が出現したのじゃ!」
……無から有を作るスキル。
本物だったのか……。
「成功のようですわね! すごいですわ、アベル様!」
ワイズマンが、そりゃもうめちゃくちゃ目を輝かせながら言う。
「アベル様の創生スキル……やっぱりすごいですわ!」
どさ……! と立ち上がろうとしていたキムズカジーが、また腰を抜かす。
「な、な、ななあ!? そ、創生スキルぅうううううう! それは、全職人の夢! ゼロから有をつくる、神のスキルじゃぁあああああああああ!」
キムズカジー、知っていたのか。
「すごい! すごすぎるのじゃ! 大魔導士殿!」
どうやら俺は、とんでもない力をさずかったようである。
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