199.そういうもんか!
襲撃者は俺のパンチで、改心したようだ。いやいやいや……。
「さすがに、『そっかー』って納得できないぞ……?」
普段常識がない、常識が抜けているといわれる、この俺アベルですが……。
「パンチで相手を改心させることができるわけないでしょ……?」
「それが、そうでもないんですよ」
と、我が娘ミネルヴァが言う。
「そうでもない?」
「ええ。パパは普通の人間ではなく、神。神の拳は邪念を払うといいます」
「邪念……祓う……?」
よこしまなる心を、神の一撃で払うことができるらしい……。
ええー……。
「そんなこと可能なんすかね……?」
「はい。たとえば、非行少年がいるとします。父親のビンタで、目覚めることがある」
「ああ、まあ……」
そういうこともあるかもしれない。
「上位存在による精神・あるいは物理介入が、思想を変えることは往々にしてあるのです」
父親という、息子にとっての上位存在から否定されることで、目が覚める……か。まあ、わからんくもない。
「それの、神バージョンです」
「話しとぶなぁ~……」
「神という、自分よりも圧倒的な上位の存在からパンチを……物理的介入を受けることで、目が覚めた。思想を変えた、ということです」
「う、う~ん……」
ま、まあ……うーん……そういうもんかっ。




