表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

194/196

194.わけない




 俺の領地に、勝手に入り込んできた盗賊ども。

 無詠唱の氷魔法で、全員とっ捕まえることができた――そう思ったんだが。


「【転移】」


 俺は即座にその場から姿を消し、少し離れた場所に転移した。


「くっく……感のいいやつだな」


 現れたのは、四十代くらいに見えるおっさんだった。

 そう、“見た目は”普通の人間だ。だが――なんか、気持ち悪い。


 見た目じゃない。

 こいつからあふれる魔力が、明らかに人間のそれじゃない。


「おまえ……何者だ?」


「答える義理があるとでも?」


「いや、ないな。確かに」


 俺は内心でミネルヴァに問いかける。

 あの男、人間じゃないな?


『はい、パパ。ただ……“人間ではない”以上の情報は、全知全能でも引き出せません』


 ……なるほど。情報を隠してやがる。

 しかも、相当高度な隠蔽だ。


 俺の脳裏に、一つの可能性が浮かぶ。


「――邪神王とやらの手先か?」


 アシュローンのときに出てきた、あの妙なやつ。

 あいつも人間離れした動きをしてた。こいつからも、同じ匂いがする。


「…………」


 男は何も言わない。だが、それで十分だった。


『図星を突かれて動揺してます。相手は』


 なるほどな。

 正体そのものは隠されているが、精神状態までは隠せない。

 相手の内面を覗けるなら、正体を探るのなんて、わけない話だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ