193.盗賊
森に侵入者らしい。
参ったね……。まあ、なんにせよ、ここのリーダーとして、対処しないといけないわけだ。しょうがない。
「ミネルヴァ、情報を」
ミネルヴァがうなずいて、目を閉じる。
スキル、全知全能を発動させる。
「どうやら、盗賊が奈落の森を横切ろうとしているようです。他国で盗んだ金品を、ゲータ・ニィガに下ろそうという魂胆らしいです」
……なるほど。
「あ、今馬車を捨てて逃げました。魔物に襲われていたようです」
森にやってきたやつらが、魔物に襲われ、荷物を捨てて逃亡を図る……か。
まあ、普通に犯罪者よねこいつら。
まだこの国や、俺の土地で何か悪さしたわけじゃあないが。
それでも、よそで悪いことした連中だ。
「ミネルヴァ、場所を指示してくれ。俺が捕まえる」
ミネルヴァと意識をリンクさせる。元々彼女は俺のスキル、つまり一部なので、意識をつなげることは可能なのだ。
目を閉じると、逃げ惑う盗賊連中が頭の中に入ってくる。
いかにも柄の悪そうな連中が、無様に逃げていた。
「【転移】」
俺は転移魔法でそいつらの前に出る。
「よぉ」
「「「ひぃい! な、なんだおまえぇ……!?」」」
急に現れたから、盗賊達はびびってる様子。
「ここのリーダーだ。おまえらを捕縛させてもらうぜ」
とりあえず氷の魔法で、こいつらの手足を固める。
どさ、と奴らが倒れる。
「なんだ!? 急に手足が凍ったぞ!? どおうなってやがる!?」
ああ、そういや高等テクなんだっけか、無詠唱。




