183.えもの
俺は竜王国での事件を解決した。
帰る前に、国王であるアシュローンが宴会を開いてくれることになったのだった。
「しかしアベル、あんたいつの間に神様に……?」
俺の前には、人間姿のアシュローンが座っている。
急に俺が神だって知らされて、戸惑っている様子。別にびっくりさせるつもりはなかったし、皆もう知ってる物だと思ってたからなぁ。
「つい最近だよ。なんか、気づいたらなってた」
「気づいたらなれるものなのか……? 神って……?」
ふるふる、とマテオとミネルヴァが首を横に振る。
「この人がおかしいだけだから」
「パパが変」
あ、そう……。まあもう今更だれに変だって言われても、ね。気にしないですよ。うん。
「なるほど……囲ってる女が強いのも、アベルが神だからってことなのか」
「らしいぞ」
なんか契約的なあれをすることで、みんな強くなっているらしい。
いまいちマテオたちの強さはわからんがな。
「なるほどねえ……」
にやり、とアシュローンが笑う。……なんだろう、獲物を狙う肉食獣みたいな目つきになったような気がする。
いやまあ、アシュローンはドラゴンだけどさ。
「ささ、アベル。飲んで飲んで」
アシュローンがコップに入った酒を勧めてくる。
ごくんっ。
き、っつ……。
「なんだこれ、アルコール度数きつすぎないか……?」
「そんなことないよ。さぁ、どんどん飲んで飲んで」
……よくわからないが、まあ、友達から勧められた酒は断れないな。
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