179.呪われし世界樹
俺は偽ミネルヴァから、本物の居場所を聞いた。
どうやら、本物はこの竜王国が所持してる、祭壇にあるそうだ。
「祭壇なんてあったんだな。何を祀ってるんだ?」
「世界樹だぞ」
人間姿のアシュローンが答える。
ほぅ、世界樹……
「なにそれ?」
「ベルさんはまあ知らないよね」
マテオが呆れたようにいう。
もはや、知らないことにたいして、全く驚かなくなってるな……
俺を赤ちゃんか何かだとおもってるんだろうか?
思ってるんだろうなぁ。自分で言ってて恥ずかしい。見た目はおっさん、中身は幼児なんてよぉ……
「世界樹っていうのは、この世界の魔力の源、魔素を生み出す貴重な木なのさ」
あー、なるほど。わかったわ。
確かに魔力をねるとき、そとから力を取り込んでいた。あれが魔素っていうんだな。
「我ら神竜族は、だいだい、世界樹を守り、そして崇めてきたのだ」
「ほぉん……なるほどね」
しばらく歩いていくと、世界樹とやらのもとへとやってきた。
だが……
「なんじゃこりゃ? 枯れてら……」
かれた世界樹が俺たちの目の前にある。
そして、そんな枯れた木の幹に、ミネルヴァが埋め込まれていた。
「ミネルヴァ。どうしてこんなとこに!」
「……ベルさん。たぶんだけど、この世界樹、呪われてる」
「呪いだって?」
「ああ。木にかかってる呪いを利用し、ミネルヴァを機能停止させてるんだろうね」
クソが。
なんつーことしやがるんだ。
「いつから呪われてるんだ?」
「もう随分まえからだぜ……」
アシュローンの顔に諦めの色が見える。
多分八方手をつくし、どうにもならなかったんだろう。
「俺に任せてくれ」
呪いを見ると、どうにもほっとけなくなるのだ。
俺自身呪われていた経験があるからな。
……それ以前に、苦しんでいる娘を、ほっとけないっつーの。
「解呪!」




