178.成敗!
偽ミネルヴァを倒して蘇生させた。
情報を抜き出すためだ。
「ひぃいいい! ば、化け物ぉおおおおおおおおおおおお!」
偽ミネルヴァはそういう。
なにぃっ。
「どこだ! 化け物……くそ! どこにいるんだ!」
まさか伏兵がいるとは。
確かにこんな雑魚が一人だけってことはあるまい。
いったいどこにいるんだ……化け物とやらは!
「「「…………」」」
マテオを含めた全員が、なんかジト目で俺を見ている。
「え、なに?」
「ベルさん……ひょっとしてまたギャグかい?」
「はぁ? 何言ってんだよ。化け物がいるっていうから……」
「あー、うんわかった、わかったから」
なにが?(困惑)
俺は何もわかってないぞ?
「学業を受けないで強さだけを求めていった男の末路だねこりゃ……」
「マテオ? なんか俺のこと馬鹿にしてない?」
「いや、バカにはしてないよ。同情してるんだよ。可哀想に……ベルさん……」
なんか同情されてるんですが……?
え、なんで……?
するとマテオが偽ミネルヴァの前までやってくる。
「この魔法お化けに殺されたくなかったら、あんたの知ってること全部いいな?」
「ひぃい! 魔法お化けぇ!」
なにっ。
どこだ、そんなやつ……どこにいるんだっ!
「あ、アベルさん……大丈夫です。多分あの人は……アベルさんのことを言ってるんだと思います」
と、ティアが教えてくれる。
はぁ?
「俺?」
「そうです」
「俺が魔法お化け?」
「はい……」
「どうして?」
「異次元の魔法を使うから」
そんな魔法使ってたっけ……?
「アベルはちょっと、あれだからな」
とアシュローンが納得したようにうなずく。
あれってなんだよ……失礼な……。
「おーい、ベルさん。情報抜きをおわったよー」
俺たちがしゃべってる間、マテオは偽ミネルヴァから尋問を終えていたらしい。
優秀。
「どうやらやつは下っ端のようだ。たいした情報は知らなかった。ただ……ミネルヴァの監禁場所は聞き出しておいたよ」
「おー、サンキュー!」
これでミネルヴァを救い出せば問題解決だ。
「それじゃ……こいつの処遇だけど……」
残された偽ミネルヴァ。
「おれはしらねえ! 下っ端なんだ! おれに命令してきたやつも他のやつに命令されてるって聞いたぜ! おれから何も情報は引き出せねえよぉお!」
……そっか。
「んじゃ、もうおまえは用済みってわけか。とりあえず……騎士団に突き出すか」
別に殺すのは簡単だけどさ。無駄な殺生はしたくないからね。
「ミネルヴァを拉致した犯人なのに?」
「まあ……でも一番わるいのは、それを企んだやつだからさ」
ほぉ……と偽ミネルヴァが安堵の息をつく。
「ま、それはそれとして……ぐー!」
軽めに、ぐーで殴っておいた。
「ぶげらぁああああああああああああああああああああ!」
偽ミネルヴァは何度も地面をバウンドして、やがて動かなくなったのだった。
蘇生魔法をかけておいたので死んではいないだろう。
「結局殺してるじゃあないかいっ!」




