151.さすあべ
竜王国スカイ・フォシア。
俺の元仲間、七剣星のひとり、竜王アシュローンが治める国だ。
「ベルさんの仲間がいる国なら、行ったことあるんじゃない? 転移でひとっ飛びでしょ」
「いや、スカイ・フォシアには行ったことねーな……そういや」
七剣星解散後、まあいろいろあって、元仲間達の元へ行く時間も余裕もなかったからな……。
「んじゃ、純粋に空飛んでいく感じかい」
「だな。ピュア、乗っけてくれるかい?」
ピュアがこくこく、とうなずく。
よし、これで足はなんとかなった。
「問題は場所だな」
「場所? スカイ・フォシアだろう?」
「アシュローンが言ってたんだが、スカイ・フォシアは別名【空島】。空に浮かんで、常に移動し続けてるんだってさ」
「なるほど……常に一箇所にとどまってる訳じゃあないってことだね」
そういうことだ。
だから、行こうとしても、目印がなければたどり着けないのだ。
「じゃ、アシュローンに連絡を取ってみるのはどうだい?」
「そうだな。【念話】」
俺は無属性魔法、念話を使用する。
離れた相手と会話する魔法だ。しかし……。
「駄目だ。念話に出ねえ」
「うーん……となるとスカイ・フォシアで、現在進行形で何かトラブルが発生してるのかもね」
そこに、ミネルヴァも巻き込まれたと。なんてことだ。ミネルヴァは大丈夫だろうか……。
「まあ、とにかくスカイ・フォシアへの行き方を考えるのが先決だね」
「ああ。何か手かがりがあれば……」
そのときだった。
かっ……! と俺の体が光り出したのだ!
「え?」
そのまま光はあさっての方向へと飛んでいく!
光は空の向こうを指している。
「この先にスカイ・フォシアあるんじゃないかい?」
「え、え? ど、どういうこと?」
「ほら、ベルさん魔法の才能ありまくってるせいで、ベルさんが望んだことが、魔法としてこの世界に顕現するんだろう?」
そ、そういやそういう力もあったね俺に……。
つまり、スカイ・フォシアどこにあるかって疑問に思ったから、それに答える魔法が、勝手に作られたと……。
「いつもながら、ベルさんはやっぱすごいね」




