143.うっかり
水神をいつの間にか討伐してしまっていたらしい……!
ば、バトルが始まる前に決着がついていたとは……。
いやでも、いやいや!
水神ってこの国の守り神じゃなかったっけ!?
守り神殺しちゃあかんでしょ!
かといってバーミーズにバカ正直に言うわけにもいかないし……。
「ベルさん。ちょっと」
マテオが俺の手を引いてきた。
「な、なんすか……?」
「ヒトミ! ちょっとベルさんと席を外すよ。そこで伸びてるバーミーズを見てておくれ!」
バーミーズがいつの間にか気絶してた。
目を♡にして腰をカクカクしてた。
「ベルさんの凄い魔法を見て、発情失神してたよ」
「まじかいな……」
まあもうあれはほっとこう……。
マテオはあいつらから距離を取って、こそっと言う。
「ベルさん。なんかやっちゃった?」
「!? ど、どうして……わかったんだ?」
「そりゃ、旦那の様子がおかしいことくらい、嫁なら気づいて当然だろう?」
「ま、マテオさん!」
か、かっけー!
「正直助かる……ちょっとデカいやらかしだったから」
「言ってみ。まあもうちょっとやそっとのことじゃ驚かないけど」
「この国の守り神うっかり倒しちゃった」
「ええええええええええええええええええ!」
ちょっとやそっとじゃ驚かないんじゃ……?
いやまあ、神をうっかり殺した、はちょっとやそっとじゃないか……。
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