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143/196

143.うっかり



 水神をいつの間にか討伐してしまっていたらしい……!

 ば、バトルが始まる前に決着がついていたとは……。


 いやでも、いやいや!

 水神ってこの国の守り神じゃなかったっけ!?


 守り神殺しちゃあかんでしょ!

 かといってバーミーズにバカ正直に言うわけにもいかないし……。


「ベルさん。ちょっと」


 マテオが俺の手を引いてきた。


「な、なんすか……?」

「ヒトミ! ちょっとベルさんと席を外すよ。そこで伸びてるバーミーズを見てておくれ!」


 バーミーズがいつの間にか気絶してた。

 目を♡にして腰をカクカクしてた。


「ベルさんの凄い魔法を見て、発情失神してたよ」

「まじかいな……」


 まあもうあれはほっとこう……。

 マテオはあいつらから距離を取って、こそっと言う。


「ベルさん。なんかやっちゃった?」

「!? ど、どうして……わかったんだ?」

「そりゃ、旦那の様子がおかしいことくらい、嫁なら気づいて当然だろう?」

「ま、マテオさん!」


 か、かっけー!


「正直助かる……ちょっとデカいやらかしだったから」

「言ってみ。まあもうちょっとやそっとのことじゃ驚かないけど」

「この国の守り神うっかり倒しちゃった」

「ええええええええええええええええええ!」


 ちょっとやそっとじゃ驚かないんじゃ……? 

 いやまあ、神をうっかり殺した、はちょっとやそっとじゃないか……。

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