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137.前から
水神の狙いが俺だけになってくれたようだ。
話の通じそうなやつで助かった。
「雨が止んでる今のうちに、聖域へ向かう。バーミーズ。ば、バーミーズさん?」
姫が失神なさっておられた……
「み、ミネルヴァ。これどう言う状況?」
「解:神の攻撃をふせいだパパがあまりにカッコ良すぎて、興奮のあまり酸欠を起こしたようです」
獣人は強いオスに惹かれる性質があるっていうけどさぁ。
失神て。
「アタシに任せな」
マテオがしゃがみこんで、バーミーズに何かを飲ませる。
「ふぎゃあ!」
「きつけの薬さね。死にはしないよ」
バーミーズが涙目になっている。
めちゃくちゃ不味かったんだろうなあの薬。
「大魔導士殿、お見事です! 水神の攻撃は天災と同義! あなた様は天災を打ち破ってみせた! すごすぎます!」
まあたしかに、豪雨や雷なんて、普通の人間じゃどうにもできないもんな。
そっかぁ。
「俺、まじで人間辞めてんだなぁ」
「だいぶ前からやめてたよ」
うぐぐぐ。




