↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/210

13.砂蟲の大軍を一撃で倒す



《アベルSide》


 街の連中から英雄認定されてしまった、それから数日後。

 俺は神聖輝光竜《ピュアホワイト・ドラゴン》のピュアの背中に乗って、王国の西側、人外魔境《スタンピード》という場所へ向かっていた。


「アベル殿、申し訳ないでござる。拙者を人外魔境《スタンピード》へ連れてってくださり……」


 経緯を説明しよう。

 ヒトミが王都にいる仲間のもとへ手紙を出した。

(俺に弟子入りするからしばらくパーティ活動を中断すると)


 するとギルドから返事が来た。どうやらヒトミのパーティは、すでに一つの依頼を受けていたらしい。

 それは、彼女の所属するSランク冒険者パーティに、商業ギルドからの護衛依頼。


 どうやら緊急クエストらしく、依頼主は複数の冒険者パーティに声をかけていたそうだ。

 ヒトミは『どうしよう……』と迷っていた。


 既に受けた依頼をキャンセルすることが嫌なのではなく、困ってるやつをほっとけないんだそうだ。

 でも、ミョーコゥから王都はかなり遠い。


 今から行ったところで間に合わないだろう……。

 ……と迷っていたので、俺はヒトミを王都まで送り届けてやった。


まあ、いちおう俺がヒトミを助け、弟子入りさせたせいで(頼まれてないけど)、依頼に遅れてしまったわけだからな。仕方なくだ。


 転移魔法を使い、一瞬で王都へと到着した俺たち。

 しかしすでにヒトミの仲間は、彼女を置いて出発したらしい(後続組として出発したそうだ)。


 しょうがなしに、仲間のもとへ、ヒトミを届けてやることにしたのだ。


『ぴゅい! ちちはやさしいのね! こまってるひとを助けてあげるなんて!』


 なぜくっついてきたピュアが、成竜の姿で嬉しそうに言う。


「……違う。俺はただ、厚かましい弟子女を、人外魔境とやらに送り届けてやるだけだ」

「うう……申し訳ない、アベル殿。弟子にしてもらったうえ、送らせてしまい……」

「……まったくだ。こんなことは、これっきりにしてくれ」


 俺はもう、余計なことに首を突っ込みたくないのだ。

 誰かのために何かしたところで、どうせ、裏切られてしまうからな。


『ところで、ちち? ひとみねーちゃを、どこに届ければいいの?』

「どこって……どこなんだ?」


 俺は依頼内容を把握していない。

 知ってるのはヒトミだけだ。


 しかしヒトミは気まずそうに目をそらす。

 猛烈に嫌な予感がした。


「おまえ……もしかして依頼内容聞いてなかった?」

「そ、そんなことないでござる! 人外魔境《スタンピード》へ行く馬車の護衛でござろう!」

「……それ以上の情報は? 人外魔境のどこへ行くんだ? どの馬車だ? 仲間はそもそもお前が行くこと知ってるのか?」


 ヒトミが大汗をかいていた。

 ……こ、この女、後先考えず飛び出してきたな。


「すみません、何も把握してないでござる!」

「……おまえな」

「申し訳ない……困っている人がいたら、なりふり構わず助けるべき……と教わったもので」


 誰だそんな迷惑なことを教えた…………俺か。


 まだ若くて、やる気のあったころの俺の姿が、ヒトミの中には残っているのだろう。

 この状況を作ったのは、間接的には、俺だ。


 ……ほんとに、しかたねえな。


「……この人外魔境に向かってる馬車を探せばいいんだな」

「! 探してくださるのですか?」

「ああ」

「なんと! やはりアベル殿はお優しいおかた……!」


 違う。俺は別に優しくなんてないのだ。

 俺のせいで、ヒトミは無鉄砲馬鹿になってしまった。


 そのしりぬぐいをするだけだ。


「しかしこの広い荒野のなか、馬車を見つけるのは非常に困難ではありませぬか?」

「……魔力感知を使う」


「魔力感知?」

「生物はみな体内に魔力を持っており、それは個体ごとに異なる波長を、体外に発してる。

 その魔力の波長を感じとる技術が、魔力感知だ」


「おお!」


 今ので理解できたのか?

 さすがSランク冒険者。


「さっぱりわからないけど、なんかすごいでござるな!」

「……おまえもうちょっと黙ってろ」


 なんでこんなのを弟子として取ったのだか……。

 俺は目を閉じて、周囲に意識を張り巡らせる。


 魔力の波長は種族ごとに異なる。

 人間なら人間の、動物なら動物の波長が存在する。


 すぐに、隊列を組んでいる馬を発見することができた。

 ……が。


 非常に厄介ものが、【2つ】も見つかってしまった。

 ……どうでもいい。かかわらなければ。


「……ピュア。南東へ向かえ」

『あいあいさー! 南東! ……って、どっち?』


 ……俺の周りはアホしかいないのか。

 俺は魔力感知で感じ取った位置を指す。


 ピュアがすさまじい速度で目的地へと向かう。

 ほどなくして、馬車の列を発見。だが……。


『わ! おうまさんだ!』

「馬車が襲われてるでござる!

 あれは……砂蟲《サンド・ワーム》!」


 馬車の周りに砂蟲が、複数体存在した。

 かなりの数だった。


「でも、おかしいでござる。砂蟲が馬を襲おうとしないのでござる。

何かに動きを阻まれてるのでござるか……?」


 俺は魔力感知で、この場の状況を理解していた。

 砂蟲が複数体いることも、そして、砂蟲から馬車を守る【結界】が張られてることも。


「…………」


 結界魔法には、彼女の魔力の波長が感じられた。

 おそらく結界構築からかなり時間が経過してる。


 それでも、長く結界を維持できていた。


「……さすがだな」


 と、ここにはいない彼女を褒めてしまうほどに、見事な結界だった。

 何やってんだろうな、俺。

 

 彼女はもう、俺の弟子でも家族でもないのにな。


「アベル殿! 見送り感謝いたす! 拙者ここで降りるでござる!」


 馬鹿が突っ込もうとしたので、俺は首根っこをつかむ。


「馬鹿かおまえ。今跳びだしたら、あの大量の砂蟲の餌にされちまうぞ」

「むぅ、しかし砂蟲たちが引っ込む気配はないでござるよ?」


 おそらく砂蟲は、あの馬車を狙っているのだろう。

 あの馬を食わない限り頭を引っ込めない、か。


「っち。ああもう、めんどくさい」


 俺は右手を上空に掲げる。

 大賢者のスキル、詠唱破棄を併用し、魔法を発動した。


「火炎連弾《バーニング・バレット》」


 突如、俺の上空に大きな火の玉が出現。

 そこを中心として、無数の火の弾丸が射出される。


 ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!


 無数の弾丸が地上へと降り注ぎ、砂蟲の顔面をたやすく貫通する。

 弾丸は地上にいる砂蟲……だけでなく、地中に潜っているやつらも全部、打ち抜いてしまった。


「……やりすぎた」


 大勇者の効果で、魔法の規模がでかくなりすぎた。

 余った火の弾丸がもったいなかったので、サービスとして、この近辺にいる砂蟲すべてを撃ち殺してしまった。


「す、すごいでござる師匠! あれが噂の極大魔法でござるか?」

「いや、中級魔法だ」


 魔法には初級、中級、上級、極大、と4つの階級に分かれている。

 俺が使ったのは中級、下から二つ目の魔法だ。


「すごいでござるよ! Sランクの砂蟲の大群を、中級の魔法で倒してしまうなんて!」

「……どうでもいい。さっさと降りろ。迎えにはこないからな」

「はい! 感謝するでござる!」


 ばっ、とヒトミが飛び降り、馬車のもとへ向かう。

 あいつの張った結界魔法のおかげで、馬車は無事だった。


 まあ、弾丸が当たらないように、魔法をコントロールしたので、無事なのは当たり前なのだが。


「…………」


 あいつ、馬車を目的地に送り届けたあと、どうするつもりなんだ?

 まさか歩いて人外魔境から、ミョーコゥへ戻るつもりか?


 どんだけ時間かかると思ってんだよ、馬鹿だなほんと……。


「ピュア。俺は一人で帰る。おまえはヒトミについてってやれ」


 ふわり、と俺は飛行魔法で飛び上がる。

 ピュアがきょとんとした顔で俺を見てきた。


「……なんだよ?」

『ちち! かっこいい! いいひと!』

「……何言ってんだおまえ」

『ねーちゃのために、ぴゅあをのこすんでしょ? やさしい!』


 ……勘のいいガキは嫌いだよ。


「ヒトミが仕事を終わったら、余計なことをせず、戻ってくるんだぞ? いいな?」

『うん! 余計なこと【は】しないよ!』


 ……なんか不安だ。

 あいつらに、余計なことを【言わなければ】いいのだが。


 まあ、そもそもピュアとあいつらは面識がないのだ。

 俺が助けたってこと、あいつらに伝わるわけがないか。


 ないな、絶対。

【★☆大切なお願いがあります☆★】


少しでも、

「面白そう!」

「続きが気になる!」

「どう考えても勇者側にバレるだろ!」


と思っていただけましたら、

広告の下↓にある【☆☆☆☆☆】から、

ポイントを入れてくださると嬉しいです!


★の数は皆さんの判断ですが、

★5をつけてもらえるとモチベがめちゃくちゃあがって、

最高の応援になります!


なにとぞ、ご協力お願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ヒトミってリーダーだよね? リーダーに無断で依頼受けるのはどうなんだ? というか、ヒトミに逃がしてもらった自覚はあんのかね?
[一言] >「申し訳ない……困っている人がいたら、なりふり構わず助けるべき……と教わったもので」 いや、だからって >「すみません、何も把握してないでござる!」 じゃあ何もできんだろうがよ…… >誰…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。