121.次の展開
嫁たちはすんごい武器を手に入れていた。
俺は……その日、ぽけーっとマテオの茶屋で、茶をすすっていた。
「はぁ……」
平和……というか、やることがなくなったな。
敵が攻めてくることもない。
また、魔物狩りは嫁たちが、俺が何も言わずとも、自発的にやってくれる。
デッドエンドでは神威鉄などの特産品がとれるため、金には困らない。
「ふぅ……」
茶をすすりながら、俺はぽけーっと窓の外を見やる。
こういうの……いいなぁって。
俺は孤児で、生きるためにずっと必死だった。
毎日金を稼ぐために、戦っていた。
おっさんになって、ようやく俺は、自由と安らぎを手に入れた。
……これらは、手放したくないや。
この平穏がずっと続けばいいのに……。
「ベルさん、大変だよ!」
マテオが外から帰ってくる。
大変?
「どうした?」
「軍隊だ! 獣人の軍隊が、ミョーコゥへ攻めてきたよ!」
……ああ、どうして平和ってやつは、すぐにもろく、崩れ去っちまうんだろうか。
でも……うん?
「大丈夫じゃないか。焦るほどじゃないっていうか」
「そりゃ……どうしてだい?」
「え? わかるだろ?」
マテオが首をかしげてる。
俺には、魔力のゆらぎから、相手がこちらに殺意を抱いてるかどうかわかるのだ。
獣人たちの魔力は、かなり少ない。
が、荒れ狂っていないところから察するに、別に俺らに敵意があるわけじゃないと思った。
「そ、そうなのかい……? 群がぞろぞろ来たからびびっちまったよ」
「天使って全員強いんじゃなかったの?」
「だ、だけどほら……中身が人間だから……」
ああ、まあ、わからんくもない。
相手が魔物なら、遠慮なくぶち殺せるだろう。
でも相手が人となると、躊躇するよな。自分の手で人殺しなんてしたくないだろうしよ。
しゃーない。
「俺が行くよ」
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