107.天使2人目
マテオにキスしたら、彼女が天使になった。
どうやら神にキスされると、使い魔は進化して、天使に成る……らしい。
「マテオ、このことは内密にな……」
これを知ったら嫁達が、全員、俺にキスを一斉にせがんでくるのが見えたからだ。
が、マテオは苦笑する。
「そりゃあ無理な相談さね」
「ど、どうして!?」
「だって毎晩のように、あの子らにベルさん求められてるでしょ? どうせ、夜には全員天使になってるよ」
「うぐ……た、たしかに……」
ティアをはじめとした嫁達は、夜になると、俺のベッドルームに押し寄せてくる。
そして夜の大運動会が開かれるわけだ。
その際はまあ、普通にキスもするわけだし。
「遅かれ早かれだよ」
「そ、そっか……」
「うん、まあ、あと……遅いよ」
「へ……?」
……嫌な予感がした。
振り返ると、窓の外に……。
「てぃ、ティアさん!」
俺の弟子、ティアがいた。
がちゃ……!
勢いよくティアが扉を開けて、こちらに走ってくる!
俺は転移で逃げようとした。
が。
がきん!
「結界!」
俺の周りに、光の結界が何百と構築されていた!
なんて素早い結界構築!
俺じゃなくちゃ見逃してしまうね……じゃない!
「アベルさんっ! ちゅっ♡」
ティアが早速俺の体に抱きついて、がっつりディープキスしてきた。
ぱぁ……! とティアの頭にも、天使の輪っかが出現する。
「ほ、ほら……天使の力、付与されましたよ……んっぐうっ!」
ティアがまだまだ、俺の唇に熱烈なキスを浴びせてくる!
「ちょ……うぐ……もう終わったって……」
「神の力をたくさん摂取しないと! 領民が増えたので!」
「いやだからって……、おま……押し倒すなぁ!」
ティアが店の中だって言うのに、俺を押し倒してきた。
俺の腹に馬乗りになって、ぺろ……と舌なめずりする。
「キスで天使になれるなら……えっちすれば、大天使ですかね♡」
やばい、ティアさん、スイッチ入ったみたいだ!
この子、一見大人しくみえるけど、ベッドでは結構やばい。攻めるタイプなのだ。
「ま、マテオ! たす……」
「店は休業の札下げてくるね~」
「おいいいいいいいいいい」
……結局、俺はティアに美味しくいただかれた。
俺にはたしかに凄い力があるから、ティアをどけることは簡単だった。
が、強すぎる力ゆえ、コントロールができるか、自信なかった。
結局力尽くでどけることができなかったし、ティアは結界で俺の体の自由を奪っていた。
……まあ、たしかに気持ちよかったんだけど。
でも……なんか……なぁ……。




