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100.筋肉もりもりにする神



 海中の大聖堂へとやってきた、俺。  ちょっと疑問(こんなとこでどうやって、人が住んでるんだとか)を抱いた。


 が、まあ全知全能ミネルヴァに聞かずとも、あとでこの疑問は解消されるだろう。

 ここに住んでる連中に、会うんだからな。


 大聖堂の中に入ってみる。


「おお、空気があるな……」


 俺の後ろから、水精霊ウンディーネレンと、龍のドラがついてくる。


 大聖堂の中にいるっていうのに、誰とも出会わない。

 が、魔力感知には、ここに人がいると、俺に知らせている。


「どうなってんだこりゃ?」

「皆……衰弱しているのです」


 レンが暗い表情で言う。

 衰弱……?


「この大聖堂には、主に天導に所属する、水妖精セイレーン、そして人間達が暮らしてるのです」

「はぁ……。ん? はぁ!? 人間もここすんでるの!?」


 嘘だろ?

 こんな海底で?


「え、え、どうして……?」

「大聖堂を維持するためですね」


「はぁ……。維持ぃ……?」

「はい。この地にて、祈りを捧げるためだけに、配置されてるのです」


 ……俺には理解できないことが、ここでは起きてるらしい。


「人間は? どっからくるんだよ?」

「ここで生まれ、ここで死にます」

「……なんてこった……」


 つまり、この大聖堂にいる連中は、全員ここ出身で、外に出ることなく、死んでしまう……らしい。


「大聖堂っつーか、監獄じゃねえかここ……」

「監獄の方がまだましです。アレをご覧ください……」


 通路には、人が倒れていた。

 けが? 病気? わからないが、俺は慌ててそいつの元へ行く。


「おい! 起きろ! 大丈夫か!?」


 俺が強めに揺するも……。

 動く気配はまるでない。


「解:極度の空腹、脱水により、衰弱しております」


 メシと水が足りてない……か。

 考えてみれば、ここは深海だ。魚はいっぱい取れるだろうが、それ以外の栄養摂取方法はない。


 ん?


「水はどうしてるんだよ?」

「それは……」


 ちら、とレンがドラを見やる。

 ……ドラ?


「あ、あっしが水を提供してたでやんす……」

「真水を?」


 これを無料で配っていたなら、いいやつじゃん……ってなるんだが。

 ドラは明らかに、気まずそうに、俺から目をそらしている。


 ……こいつが元々やっていたこと。

 そして、今の話を統合すると……。


「生け贄を差し出させるかわりに、水を提供してたんだな?」

「は、はいぃいい……」


 ……ギブアンドテイクってことか。

 まあ、どっちも生きるため、最善の手段として、人間は人を、龍は水を提供してたんだろうが……。


 あまり、気分の良い話ではない。


「っと、それより今は、この子を助けないとな」


 栄養が不足してるっていう。


「マスター、回復ポーションを」

「え、ポーション?」

「是:マテオが腐るほど持ってるポーションを、このものに飲ませてください」


 回復ポーションってケガを治すアイテムじゃなかったんだろうか……?

 いや、でも全知全能ミネルヴァがそうしろっていうんだ。


 信じて、やってみよう。

 俺は亜空間に収納している、マテオ作成のポーションを取り出す。


 そして……俺は衰弱死しかけてるこの人に、ポーションを飲ませた。


 ごくん……。


「うっ」


 天導の人間が、顔をゆがめる。

 し、失敗か……?


「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」


 突如として立ち上がると、叫び出す。

 そしてしおれていた体に、活力が……というか、筋肉が戻ってきた!



「みーーーーなーーーーぎーーーってきたぁあああああああああああ!」

「えええええええ!?」


 なんかさっきまで死にかけだったやつが、ゴリゴリのマッチョマンになっているんですが!?


「なにこれどういうこと!? ただのポーションだよねこれ!?」

「マスターのおかげです」


「俺ぇ!? またぁ!?」


 なにかやっちゃいましたかね!?


マスターが薬を飲ませる。この行為は、儀式に含まれるのです」

「ぎ、儀式だって!?」


「是:神が力を分け与えるに近い行為です。それゆえ、薬に神気しんきが宿り、直接摂取したそこの人間に、活力が戻ったという次第です」


 活力がもどったっつーか、全然別人になってんじゃねえか!


「ありがとうございますぅ! ぬぅうん!」

「よ、よかったね……」


 ちょいと元気になりすぎてませんかね、君……?

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