第一章 二話 超能力研究機関
次の日が休みだったので凶死郎は例の場所へと向かっていた
(まぁ能力について気にはなっていたからな
それどころではなかっただけで)
「ここか‥」
紙に記された住所に着くとそこには怪しげな雰囲気の漂う
研究所の様な建物があった
「意外と近かったな」
ここら辺には来たこともあるがこんな建物があるとは知らなかった
入口の自動ドアを通ると特に受付とかも無く、だだっ広い
エントランスだった
エントランスの端に目をやると椅子と机があり
そこに白衣姿の男がノートパソコンを開き何かをしていた
しかしこちらに気づいた様子を見せると素早くパソコンを
閉じると足速にこちらへ歩いてきた
「やぁ君が例の子だね。瑞生ちゃんに呼ばれて来たんだろう?」
あいつ瑞生と言うのか
「えぇ多分そうですね」
白衣の男は納得した様子で
「とりあえずここの事を紹介するよついて来て」
と言いお奥の部屋へ入って行く
どうやら建物自体はそこまで広くはないようだ
「ボス例の子が来てくれましたよ」
「あぁ」
ボスと言われたのは俺よりも若く見える少女だった
しかし長い黒髪に和風の雰囲気を醸し出すその少女は独特の空気感を持っていて不思議と背筋が伸びてしまった
「あぁ初めに誤解なきよう言っておくが
わしはお主より年上じゃぞ」
「え?」
意外だったがまぁそんな事もあるかと思っていると
「まぁというか僕よりもっと上だよ」
「‥‥え?」
白衣の男は良く言ってもおじさんでどう見てもあの少女の
年下には見えない
流石に若く見えるって次元ではない
(って実際いくつなんだ)
「女性の年齢に興味を持つものではないぞ」
(興味を持ってもダメなのかよ‥)
「なに、とは言え大した話ではない、私は君と同じ様な呪いを受け不老不死になっとるだけじゃ」
「不老不死だと‥!?」
突拍子も無い話につい大きな声が出る
まだ若作りの方が信憑性があった
「お主だって不死の少女は会ったのじゃろう」
「‥‥」
昨日の飛び降り自殺をしてなお無傷だった少女を思い出す
白衣の男が気を引き締めた様子で話し出す
「これから話すのはそういう話さ
信じられないなら帰る事をお勧めするよ」
そう言われたが信じられない話なのは最初から承知の上でだ
まさか不死不死は予想外だったが
「問題ありません聞かせて下さい」
白衣の男はわざとらしくホッと、安堵した様子を見せた
「よかった。ならまず自己紹介をするよ僕の名前は
無藤功
まぁ適当に博士とかでいいよ」
「ちなみにわしは才野無限じゃ
まぁボスと呼びな」
「博士にボスか、覚えやすくていいな」
「よしでは本題に入るとしよう
僕達は所謂超能力研究機関だ
君達を研究し呪いを解く方法を探っている」
「呪いを解く‥」
「まぁそれはボスの都合もあってね
しかしそんな身のない研究では出資が出ないからね
超能力と定めて超能力を使える様にするって言う
建前が必要なのさ」
「それで超能力研究機関か‥」
「そう、だから僕らに超能力などという便利スキル等と同義に思っている人はいないから安心して欲しい」
まぁそこはあまり気にしてはいなかったが
その心遣いは単純にありがたい
「で、その能力についてだけど
正式名称は呪いのギフトと言って」
「呪いのギフト‥」
「それは基本呪いであるが
他者から見れば羨む程の人知を越えた力を見せる事がある
だが使用者本人に利益をもたらす事は基本ない」
「なるほど‥」
確かに俺の能力も苦しみしか感じなかったが他者から見れば普通に超能力か
「そしてこれには親しい者の魂が密接に関わっていると考えられている。親しい人間が親しみに等しい憎しみを持って亡くなった時に発現するそういう仕組みだ、
覚えはあるかい?」
「‥‥」
「すまない‥不躾だったね」
博士は肩をすくめると話を戻す
「でそこで君を呼んだ1番の理由なんだけど
僕達の基本の仕事は能力者の保護だ
君は死を感知出来る様な能力なんだろう?
能力者は呪いに耐えきれずすぐに自殺してしまう事も多いし単純に発現を止めれれる可能性すらある
そこで君に能力者の保護を手伝って貰いたいんだ
能力者の研究が進めば解く方法も見つかる可能性が高まるし
悪い話じゃ無いと思うんだけど」
(能力者の保護そして呪いを解くか‥)
正直呪いを解く事に興味は無い
それに魂が関係あるなら尚更だ
(だがビルでただぼーとしてるよりはマシか‥)
「俺の呪いは解かなくていい
だが能力者の保護は手伝うよ」
「本当かい!ありがとう助かるよ
それなら他の人も紹介しないとね
えっと、まずは君と同じ様に協力してもらっている
能力者が2人いるよ」
「昨日のやつともう一人いるのか」
「うん。瑞生ちゃんともう一人はちょっとすぐには会えないかな色々あってね」
「そこで後もう一人いる人に今から会って貰いたいんだ
ちょっと着いてきてもらえるかな」
と言われたので博士に着いていきエントランスに戻り
廊下を進んだ先にある一室の前まで向かった
「白上先生いいですか?」
と博士はドアをノックする
「いいですよ」
白上先生と呼ばれた人間が返事をする
ドアを開け中に入ると病院の診察室の様な部屋で
椅子に座っている女性がいた
黒髪を後ろでまとめた落ち着いた雰囲気の人だ
「あなたは新人君かな?私は白上です。よろしくね」
「どうも。伊達 凶死郎です」
「えっとじゃあこの先生に色々話をしてほしいんだ
もちろん話せる範囲で構わないからね」
「能力の話と発現に関する話をしたいの」
「あぁなるほど‥まぁ話せる範囲でいいなら」
「うん。すまないねこれも研究の一環でね
僕は一旦戻ってるからでは先生後お願いします」
と博士はエントランスの方へ帰っていった
「よしじゃあ能力発現に関して話せる範囲で話して貰えるかな?」
能力発現‥つまり妹の死に関する話
(いつまでも逃げててもしょうがないか
そう考えるといい機会か‥)
「分かりました全て話します。俺がこうなった原因を」