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第一章 一話 日常?


何も無い暗闇‥‥


何の音も無いその空間に少女が一人立っている


慣れ親しんだ懐かしいその少女はポツリと呟く


「お兄ちゃん‥‥






どうして私を見捨てたの!!」


その瞬間視界が赤く染まりぐにゃりと曲がる

次の瞬間見慣れた天井が目に飛び込む

悪夢から目覚めた高校生ぐらいの少年が呟く


「朝か‥‥」


それがまるで日常であるかのように‥



彼の名前は伊達 凶死郎(だて  きょうしろう) 17歳

彼の高校生活は至って普通

普通に登校し

普通に勉強し

普通に昼食を食べ

普通に下校する

しかしそんな最中彼に話しかける人物は一人としていない

腫れ物のような扱い、それが彼の高校生活だった

そんな彼だが放課後の過ごし方は普通とは異なる

彼は駅前の5階建ビルへ行くと最上階付近の窓際に空いてるベンチに座り、外の駅を出入りする人々を眺める

何も無ければ夜遅くまでここに居るのが彼の日課だ

何も無ければだが



「ふぅ‥今日も何も無さそうだな‥」

夜も更けてきたしそろそろ切り上げるかと思ったその時デジャブの様な頭痛の様な何とも言えない不快感が凶死郎を襲う

「ちっ今日はハズレか‥」

いつものように頭に流れ込んでくる映像に集中すると、サラリーマン風の男がビルの上に居る映像が見える

(このビルは見覚えがある大丈夫だ)

そして男は意を決した様に飛び降りていってしまう

(映像は夜で鮮明だったからあまり時間は無さそうだな)

凶死郎は手速く準備をするとその場を後にし例のビルへ向かう


ビルに着き急いで階段を上がり屋上の扉を開ける

(開いた‥もう来てるか‥?)

屋上に出て周囲を見渡すと柵を越えた先に男がいて今まさに飛び降りようとしていた

「おい!!」

男は肩をビクっとさせるとこっちを向いた

「誰だ!こっちに来るなよ!」

(よし不快感は消えたし映像も来ない後は大丈夫だな)

凶死郎はズカズカと男に近づくとその腕を掴むと一本背負いの様に投げる

「うわっ!?」

そして男の襟を掴む

「いいか俺はお前の事情等には興味はない。だが俺の見える所で自殺なんざ絶対にさせないからな」

男は項垂れていたが映像は見えないのなら死ぬつもりはとりあえず無いらしい

男は放置してビルを出よう

申し訳ないがメンタルケア等は俺には無理だ

(何なら受ける側だしな‥)


ビルを出た後、今日はもう遅いので帰宅しようと家の方向に歩きだす

しかしその途中、帰り道である大きい橋の道を通ろうとした時に一人の少女が目に入る

白い髪に光のない赤い瞳そして

(かわいいな)

そんな少女が柵の上に座っている

「‥ねぇ?」

そんな事を考えていると少女に話かけられる

(やば見過ぎたか)

「あなたでしょ‥自殺を止めているの‥」

「なっ!?」

(見られていたのか)

別にバレてもそこまで問題は無いが

注目されたりは困る

何より能力の説明も出来ない

しかし少女の対応は思っていたものとは違っていた

「じゃあさ‥私の自殺も止めてみてよ‥」

「は?」

何を言っているのかこの女は

しかし映像が見えないのでは死ぬ気は無いらしい

「バカバカしい冗談言ってんならもう帰んぞ」

とその瞬間少女は後ろに体重を乗せ柵の向こう側へ落ちていく

「なっ!?」

この位置から落ちたならまず助からないはずだが映像が見えていないなら奇跡的に生きているのかもしれない

凶死郎は走って階段を降りて行きさっきの位置の下に目をやると少女が大の字になって倒れていた

その姿を見た瞬間目眩がし、体がぐらつき、たまらず近くの柵に手をつく

(くっこんな事してる場合じゃ‥)

急いで少女の方へ目を向き直すと

少女がビクっと動きそのままガバっと上半身を起こした

「また死ねなかった‥」

そう呟きその後こっちを向いた

「どうなってんだ‥?」

少女にはどうやら傷一つない様だ

混乱する頭を整理していると

少女が近くまできていた

「私はあなたと同じく能力‥‥呪いを持つ者‥この場所に来て‥きっと悪い様にはならないから‥」

そう言うと一枚の紙を渡し去っていってしまった

「なんなんだ?」

整理のつかない頭ではよく理解出来ず、とりあえず紙はしまい家へと向かって歩き出した

「呪いか‥」

ただ何故か呪いという言葉だけが頭を離れる事は無かった

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