新しい父親
いつも通り騎士団の早朝訓練に参加し、王妃様がたが暮らしているローズ宮に向かおうとしていると、騎士団の人に呼び止められ、人気のない所へ連れてこられた。すると
「いたっ
ガフッ」
いきなり突き飛ばされ壁にぶつかり、殴られた。
「なんで栄えある騎士団の訓練に、お前みたいな女、それもガキが混ざってんだよ」
あぁ、騎士団の中の一部は、私をよく思っていないのは知っていたが、まさか騎士団に所属する大人が子供相手に、複数人でよってたかって暴力をふるうとは思っていなかった。
「お前のせいで騎士団の評判が下がったらどうしてくれんだよ」
今自分たちのしている行為が騎士団の評判を下げるのだろうか。
「おい、なんとか言えよ
たっく、子供のくせに生意気な目しやがって」
前世いじめにあっていたからなれている、こういうのは反応してはいけない。無反応でいれば面白くないと思ってやめてくれる。力でかなわない私は、耐えるしかない。いつか、姫様を守るために、こいつらよりもずっと強くなろう。
「おい
お前ら何をしている」
急に現れた男性。見た感じかなり偉い人なのだろうか、さっきまで私を殴っていたやつらは青ざめた顔で震えている。
「何をしているのかときいているのだ」
「あ、えっと、その」
「はぁ、お前たちの処分は後できめる
さぁ、立ちなさい。かわいそうに、大丈夫かい」
そう言って手を差し伸べてくれた。握ったその手はとてもゴツゴツしていて大きく、頼もしい。
「あ、ありがとうございます
ローズ宮へ向かうところだったんです」
「おぉ、それは奇遇だな
私もローズ宮へ行こうとしていたのだよ。なんなら、一緒に行かないか」
断る理由もないし、一緒に行くか。
「それでは、よろしくお願いいたします」
そしてローズ宮につくと、私は助けてくれた男性とわかれメイド服に着替えて仕事をはじめる。
母に、掃除などは褒められ、今では私の仕事としてまかせてくれるようになった。
いつも通りローズ宮内を綺麗にしていると、いきなり母によばれた。
「レティーシア、レティーシア」
「はい、ここにおります
どうかいたしましたか、お母様」
私なにかやらかしただろうか、でも怒ってる感じではないな。
「あなたに会わせたい人がいます
ついてきなさい」
会わせたい人、いったい誰だろうか。
とりあえず怒られなくてよかった。
母に連れられて来た部屋の中に入ると、王妃様とさっき私を助けてくれた男性が
「レティーシア、このかたがわたくしの夫であなたの父、ゲオルディウス・カインゼル・アルジョンテ辺境伯です」
銀髪に灰色の瞳の、ダンディなイケおじといった感じの容姿。
この人が、お父さん
おっと、貴族令嬢のあいさつをしなければ、母からの視線が
「初めまして、お父様
レティーシア・ルーナベル・アルジョンテと申します」
そう言い終わるや否や父は私を抱き上げ
「おぉ、まさか君が新しくできた娘だとはな
かわいい娘ではないか。私が父だぞ、聞いたぞ騎士団の訓練に参加しているそうではないか。私はこれでも騎士団副団長だ。なにかあればすぐに言いなさい」
お、おう。
すごい人が父親になったな。とりあえず優しくしてくれそうだ。
「あ、ありがとうございます。お父様」