乙女ゲーム
レティーシア・ルーナベル・アルジョンテ・・・それが私の名前。
私の新しい名前。
私がメルローズ様たちに拾われてから数週間がたった。
あの後知ったことだが、今いるこの国はアルゲンティードル王国といい、メルローズ様とミリィ様は王族らしいのだ。メルローズ様は王妃様で、メルローズ・アルゼンテ・アルゲンティードル様というらしい。そしてミリィ様はミルフィリィーナ・セレスティ・アルゲンティードル様といい、この国の第一王女様らしい。
私の母となったアンさんは、アンディアーナ・ルーミア・アルジョンテ、アルジョンテ辺境伯夫人で、メルローズ王妃様の筆頭専属侍女。3人の身分にはかなりおどろいたが、もっとおどろいたのは、アルジョンテ辺境伯、つまりアンさんの旦那さんは、現在騎士としての任務で遠くにおり、まだ会えていないのだが、私のことを手紙で伝えたところ、速攻で歓迎すると返事がきたことにはかなりおどろいた。なんで辺境伯家なんていう上位貴族がすんなり私なんかを養子に迎え入れようとしちゃってんの?
まぁ、私的にはいいことしかないから、別にいいか
ただ、アルジョンテ辺境伯家はだいだい侍女、侍従、騎士のいずれかとして王族に仕えてきた家系なので、私もそのいずれかにならねばならない。
ということで、私は現在姫様の専属侍女を目指して、アンさ・・・お母様から侍女としての指導、そして辺境伯家の令嬢としての指導を受けています。
「まず、身分について教えましょう。
この国では上から、国王、王族、貴族、平民、の身分があり、貴族は上から、公爵家、侯爵家、辺境伯家、伯爵家、子爵家、男爵家、の爵位があります。
現在、この国に王族は、国王ルドルフォン・インデシア・アルゲンティードル陛下、王妃メルローズ・アルゼンテ・アルゲンティードル様、第一王子フェルディルック・オルテンシア・アルゲンティードル様、第二王子ジークファルト・クルージス・アルゲンティードル様、第一王女ミルフィリィーナ・セレスティ・アルゲンティードル様、がいらっしゃります。
そして、公爵家は今のところ全てで4つあり、フォルゼルージュ公爵家、スベルトブルー公爵家、カルデジョーヌ公爵家、ナリミヴェール公爵家、といいます」
それらの名前を文字にして見て思った。
ん・・・
フェルディルック第一王子、どこかで聞いたような、見たような気がする・・・
公爵家の名前も、なんか聞いたことある気がする。
なぜだろう、この違和感をほうっておいてはダメな気がする。ほうっておくと、後で後悔するきがする。
教えられたことを紙に書いていく。なぜか文字は読めるし書けたので、勉強に問題はない。
私を助けてくれた姫様の役に立てるようになるため、教えてもらえることはしっかり全て記憶する。姫様のためならば、努力は惜しまないつもりだ。
母の授業で感じた違和感が、どうしても気になったため、寝る前、自室で紙と羽ペンを用意し、違和感について考えることにした。
まず、第一王子、第二王子、姫様、公爵家・・・
おそらく前世の記憶に原因があるのだろう。前世の私は、本とゲームが大好きで、特に乙女ゲームを好んでやっていて、『色褪せない君と僕らの永遠の物語』っていう乙女ゲームが大好きだっ・・た・・・
ん?
乙女ゲーム・・・『色褪せない君と僕らの永遠の物語』・・・確か主人公は、ナターシャ、悪役姫は、ミルフィリィーナ・・・姫・・様
え、ま、まさか、ここってあの乙女ゲームの世界なの?
で、でも、あの悪役姫はデブで意地悪でものすっっっっっっっごくむかついたけど、うちのミルフィリィーナ姫様は外見も中身も天使で天使で天使なんだよ?
え、でも、攻略対象の第一王子、第二王子、公爵家、全部名前が一致してる。さすがにまだほかの貴族の名前全部知ってるわけではないし、攻略対象の中には平民もいたから、まだいるかわからないのもいるけど、第一王子たちが偶然ってわけないから、おそらくここはあの乙女ゲームの世界なのだろう。今の姫様はゲームからほど遠い性格と容姿だが、なんらかのきっかけで、ああなってしまうのだろう。
となると、私がやるべきことはただ一つ。姫様を悪役にさせず、天使なまま育てること。幸い姫様はまだ5歳、乙女ゲームが始まるのは15歳。まだまだ余裕はぜんぜんある。
まずは、私がこの世界についての知識を身に着け、母に認められる侍女になろう。姫様の役に立てるように。いつなにが起きても大丈夫なように。
次の日、私は母に言った。
「戦い方を学びたいです。
姫様をいついかなる時もお守りできるように」
乙女ゲームに登場していたのでしっているが、この世界には魔物がいる。そして、私を襲ったような盗賊もいる。私はあらゆる面で、姫様の役に立ちたい。だから、侍女としてだけでなく、護衛としてでも、いられるようにすることにした。
「戦うすべはあっても困りません。
任務に出ていない、城にいる騎士団の早朝訓練に参加させてもらいなさい」
微笑みながら許可してくれた母には驚いたが、次の日から訓練に参加した。
なぜ女が、それも侍女が訓練に参加しているのか不思議そうにしていた騎士団だったが、大半の者は頑張り、弱音をはかない私をだんだん仲間とみてくれるようになった。
そう・・・大半は