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喫茶店と繁盛劇

喫茶店として繁盛していると言う事実はどこからどう見てもどう考えようと嬉しい事実に変わりはない。

変わりはないのだけれどゆっくりと店の客層の変化に気づいた。


まず客層に若い女性が増えた。

キラキラとした格好に、可愛らしいアクセサリーで洒落た人たちだ。

自分とは住んでいる世界が違うし、スマホ片手にゲラゲラと笑っている。

少々うるさいとは思うのだけれど、それ以上に店がその音量に合わせて大きな声で喋っていたりするので、特に目立っちゃいない。


売り上げは順調に伸びている、純利益が前期と比べてなんと200%アップだ。

この前ブログとやらに書かれ、SNSで話題が拡散され、最終的にニュースにすら取り上げられ……今や毎日客が満席まで来て、なんなら外に並んでいるほど。


絶品のメレンゲ(特に特徴的なものではない)と、美味しい紅茶(嬉しいけど大体全部飲んでかない)が話題らしい。

今時珍しい古風な喫茶店ということで若いインテリ系の男性も来るようになった。

どの時間帯も混雑していて閉店前には洗い物が山となっている。


売り上げはめざましいし、お客さんは喜んで帰っていく。

特に若いお客さんがSNSとやらで投稿するおかげか、それがまた広告となりお客さんが増えている。

鼠算式にお客さんが増えていて、店としては嬉しい、嬉しいのだけど。


「なんで、こんなに残すんだろう」


思わずぼやいてしまうほどに、ゴミ袋の中には手付かずの料理とか、中途半端に一口食べられた物が無視できない量入っていた。

一度客に出した物を別の客に出すわけにはいかないし、他の人の元に行った料理を自分が食べるのは違う、何より衛生的に一日出しっぱにしたものを食べるのもどうかと思う


一度お客さんに見せてもらった写真はとても華やかで、うちの料理がレストランのお高い料理のように映っていた。

けれど、その写真を撮った人はスマホをいじることにはとても集中していたけれど、一口も食べていかなかった。


もちろんきちんと食べていくお客さんもいる。

けれど前と比べて格段に残していく人が増えた。

そりゃあ頭数が増えればそういう人も増えるだろう、けれどその比率が前とは段違いだった。


もう一つ、大きな変化があった。

常連さんであった老人や彫金屋のおっちゃんとか、小説家の人たちはぴたりとくるのをやめてしまった。

今やもう若い人の店となってしまっている。

店員として、店の人間としてこの店が儲かることは喜ばしいことだ。喜ばしいことだけれど、何か大切な物をなくしてしまった気がしてならなかった。


今日もまた店を閉めて、外へと視線を見やるが飯田さんの姿はない。

店が儲かり始めて、数日した頃から大島さんは店に来なくなった。

外は閉店間際まで並んでいるほどで、混雑している気を遣ってくれたのだろうかとも思うけれど。


ふと、カウンター席に蜜柑さんが座っている姿を思い出してため息を吐いた。

いつもメレンゲを美味しい美味しいと完食し、何か頼めばお腹いっぱいと言いながらおかわりと言ってくる。

何より本当に楽しそうに食べていたけれど、ここ数週間店に来ていない。

仕事が忙しいのかとも思う、常連さんだっただけにどこか寂しく思う。


小説家の先生達もほとんど来ない。

きてもお持ち帰りでメレンゲを買って店にとどまることはない。

どちらかといえば店の様子を見にきて帰っているように思う。


どの常連さんもたまに顔を出すけれど、軽く雑談をして、すぐに帰っていく。


「これで、いいのかな」


ボソリと、呟いてしまった。






すみませんこれの一個前の話消しました、ぶっちゃけ御涙頂戴は書けんかった()

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