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擬人の旅人  作者: ボナンザ
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第3話

よろしくお願いします。


一体が装置内に入り、残った一体が蘇生再生装置を操作する。


この当たり前の事がらが彼等にとっては途方もない意味を持つとゆう事に、転生した一体が後ほど気づく事になる。



外で装置を操る一体の腕が忙しく動く。的確なタイミングで的確な操作をし、ただでさえ低い成功率をあげようと必死なのだ。


そして科学者であるその一体が装置のスイッチを押した。



キイイイイィィィィーン……



甲高い装置の起動音と共に装置内が眩い光で溢れかえる。

中の一体の身体が 装置の中で分子レベルにまで分解されたのだ。


無限にも感じるその瞬間。






ゆっくりと光が収まっていき、分子レベルにまで分解された装置内に居た一体の身体が、人の姿へと再変性されていく。


光が完全に収まると装置の中には 美しい人間の娘が立たずんでいた。どうやら僅かな可能性を覆して転生蘇生は成功したようだ。



人間の身体に転生した一体が体を動かしてみたり、喋ってみたり、いろいろと体の機能を確かめてみる……


それまでの肉体とは違うため多少の違和感は有ったが、何とかなりそうだ。



いわゆる転生と云っても完全にその生物に成るのではなく、本来の彼等のポテンシャル(運動能力は人間のおよそ2倍・極めて高い知能指数)は損なわれる事はなく、永久に近い寿命(平均で3000年)も失われる事はない。


それに彼らミパ.ン.ルゴ特有の、魂に記憶された特殊能力’能力解放’も使えるようだ。


だが永遠の命なぞ、その肉体を得て 地球と共に生きて行く今となっては、拷問にも等しい事となれば……



転生蘇生の結果、二体の内の一体はなんとか地球の大気に順応する体を得る事に成功した。


だが、だが彼等の宇宙船には、分子分解再構成装置の運転を2回行うだけのエネルギーは残されていなかったのだ……


船内の生命維持装置もあと 15分程で止まってしまうだろう。



一体と一人は寄り添い合い、別れの時を静かに迎え様としていた。どうやら彼等は、我々で云う処の恋人か夫婦の様に、強い絆で結ばれ合った者同士だったのだろう。


彼等はテレパシーによって共に過ごした遥かなる日々の記憶を、共有し合い語り合いその瞬間を彼等は静かに迎えた。



地球の大気に直に触れたその身体は、チリと成り静かに崩れてゆき、そして……



彼女は数日の間 その場に止まっていたが、


「……貴方の事は決して忘れはしない。

共に過ごした時を糧にして 私は旅立ちます。

さよなら、私の愛しい人……」


彼女は彼との思い出に溢れたその場を後に、 1人山を降りたのだ。


ありがとうございました。

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