『地球』とかいう異世界で『追放モノ』の小説が流行ってるせいか俺の世界まで『追放』が流行ってしまった。いや、お前ら(地球人)どうしてくれんの?
最近の貴族界隈での流行は、『追放』だ。
……わかるよ、みんなが言いたいこと。なんでそんなもんが流行ってるん?って言いたいんだろ?
じゃあ逆に聞くけどさ、お前らの世界でなんで追放モノの話が流行ってんの?というかなんで流行らせたの?
ここで疑問に思う者もいるだろう。お前らの世界って何?って。だから説明するよ、お前ら目線で。
まず始めにこの世界、ラスティスは所謂剣と魔法の世界だ。以上。
うん?説明それだけかって?いや、お前らこの世界の説明してもどーせ読み飛ばすんでしょ?だったら短くてよくない?
それで早速本題に入るんだが、まず始めに俺の住んでいるこの国、リカード実力主義国について説明しなければいけない。なのでできれば読み飛ばさないでもらいたい。
リカード実力主義国は、その名前のどおり実力主義な国家である。なので強い者は基本的には身分が高く、弱い者は極端な話、奴隷にまで落とされるか死刑になる。
ここでいう実力とは様々で、武力に才のある者、聡明な者、美に富んだ者、とてつもなく運がいい者など本当に様々である。最悪、持久力が他人よりもあるとかでも大丈夫だ。そのかわり身分はあまり高くならないが。
つまり、何か一つの分野で他の者よりも優れたモノを持っていればこの国では普通に生きていける。ただ、自分の持っている武器がどのくらい通用するかで身分はガラリと変わるが。
身分の話はここまでにして、次はこの国で一番重要な行事、そしてこの国の貴族界隈で何故『追放』などというものが流行っているのか説明する。
まず行事について。
これを行事と言っていいのかよくわからないが、国が行事であるとはっきりと断言しているので行事ということにしておく。
気になるその行事だが、『勇者召喚』である。俺的には行事というより儀式という感じがするが、あくまで国としては行事らしい。
勇者召喚だが、まぁ、説明しなくてもお前らならわかるだろ。一応、わからない人がいた場合を考え少しだけ説明しておく。
異世界から勇者を召喚する。以上。
どうだ、わかりやすいだろ?というかこれ本当に説明する必要あったのか?まぁ、説明自体は短いからいいか。
そしてここからがとっっっても重要なんだが、勇者ってどこの異世界から召喚されてると思う?
お前らはよーーーーーく知ってるよ?というか知らないやつはいないよな?だってお前らが住んでる惑星だもんな?
そうだよ、お前らが住んでる『地球』とかいう惑星から勇者は召喚されるんだよ。しかも『日本』という国限定で。
それでなんだっけ、いんたーねっと?とかいう俺にはちょっとわけわからんものがあって、そこで小説を自由に投稿したり読んだりできるらしいな?そーれーでー、今『追放モノ』の小説が流行ってるんだって?
それでだ。
……感の良いお前らはもうわかったんじゃない?
お前らの国から召喚した勇者も『追放モノ』が大好きだったんだよぉぉぉぉこんちきしょぉぉぉぉぉ!!!!!!
なんなの本当?!「えーっと、僕の国では『追放モノ』の小説が流行ってるんです」とか軽々しく言うんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇよぉぉぉぉ!!!
それでどーなったと思う??あのクソ勇者、『追放モノ』について2時間ぐらい熱く語ったんだよぉぉぉ!!しかも王様にぃぃぃぃ!!あと王様もそんな話に興味津々にならないでくださいよぉぉぉ!!これには宰相も涙目。
そして勇者が一番熱く語ってた「追放されたおかげで新たな力に目覚めて無双する」。
んなもんあるわけねぇぇだろぉぉぉ!!どんだけご都合主義な主人公なんだよぉぉ!!
というか追放された『おかげ』って何??本当に追放された『おかげ』なの??お前ら、それ本当なの??違ったら是非教えてくれ!!
そしたらだよ、この話が貴族の中で一気に広まったんだよ。なぁ、感の良いお前らなら、わかるだろ?
そうだよ――
――みんなして自分の息子、娘を『追放』しだしたんだよぉぉぉ!!!これには貴族の息子の俺はガッカリ!(ちゃっかり金持ちアピール)
何、あいつらほんっとうにバカなの?追放したらほんっとうに新たな力に目覚めると思ってんの?無双できると思ってんの?少し頭を使って考えればわかることだよね?よくそんな残念頭で貴族っていう身分を貰えたな?実力主義はどっこいったよ。そんなのフィクション上での話ってことぐらいわかれよ。
それでさ、お前らも思うだろ?温室育ちの坊ちゃん、嬢ちゃんが外の世界で生きていけるのかって。大丈夫、そんなこと心配する必要ないから。無双してるから。
温室育ちのあいつらが。
いやー、これにはさすがの俺も驚いた。というか貴族(親サイド)も驚いてた。いや、あんたらは驚くなよ。
そして何故か勇者よりも勇者してる温室育ち達だが、なんと俺が特別にこいつらの武勇伝を俺が紹介してあげよう!
ある者は勝率3%にも満たないような戦で見事勝利したり(単騎)、ある者は運だけで国を興したり(意味不)、ある者は叫んだだけでドラゴンを倒したり(喉の構造どうなってるん?)……
という感じでとにかく、おかしい。全てが絶対的におかしい。というわけで俺は聞いてみました、そいつらに。
『なんで無双できてるの?』って。
そして解答がこちら。
勝利3%「極限状態になると、こう、くるんだ……」
俺「いや、何が?」
運「いやぁ、あれっすよ。持ってる男は生まれた時から輝いてるってことっすよ。あ、100万落ちてた。ラッキー」
俺「……コ○スヨ?」
ドラゴン「いやぁぁぁぁ!そんなのぉぉぉぉ!俺にはぁぁぁぁ!わからぁぁぁぁんんんん!!」
俺「う、うるせぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
とういうわけで結果、『時間の無駄だった』。
こうして最悪の結果に終わったインタビューは、俺に多大なストレスを与えただけのものになってしまったが、一応それっぽく答えてくれたやつがいた。
そいつ曰く、「死にかけてた時に急に力が湧いてきてそっからとんとん拍子に、ね」らしい。うん、こんなに殺意が湧いたのは初めてだ。
俺のことどうでもよく、つまり勝率3%の戦に単機で勝ちをもぎ取ってくる人間卒業してるやつは、一応それっぽいことを言っていたのである。
これらの結果を踏まえて、俺なりに結論を出してみた。
『わからん』
いや、言いたいことはわかる。でもね、まじでわからんのよ。だって運『だけ』良い男なんて死と隣り合わせになったことなどないと言っていたし、ドラゴン男に関しては「叫んだらぁぁぁぁ!!ドラゴンがぁぁぁぁ!死んだぁぁぁぁぁぁぁぁ!」らしいし。つまり、こいつも別に死にそうになったわけではない。
うーん、本当にわからん。もしかしたら心境、環境、さらには天気とかも関係しているのか?だとしたらもう俺には――
「ラズ。お前、もっと外の世界を見てみたいと思わないか?」
あ、自己紹介してなかったね。俺の名前はラズ、12歳、以上。
「いえ全く思いません。だから追放だけはどうかしないで――」
「素直になれないお年頃なのはわかる。だからな、そういう時は一度視野を広げる意味合いも込めて世界をもっと見てきたらどうだ?」
は?こいつは何を言っているんだ?あと俺はいつでも素直だぞ。
「いや、父さん。さすがに俺ぐらいの年齢にらそれはちょっと厳しすぎ――」
「ほら、荷物はまとめてある。いってこい」
「いや、だから俺は――」
「いってこい」
「いや、俺は――」
「いってこい」
「……」
「いってこい」
いや、俺の意見聞いてくれないの?何、俺って人権剥奪されちゃった?あとその無駄に良い笑顔くっっっそ腹立つからやめろ。おい、サムズアップすんな、殴るぞ。
「いってこい」
「……は、い」
はぁ、俺無双できるかな?




