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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

今日から学校と仕事、始まります。①莞

村々の人々(易しめ)

作者: 孤独

あー、なんか、


「困るなぁ。むらが……」


人はボヤクものだ。

それは1人で生きようと志しても、自分の声を自分の耳に通すことで、1人じゃないと錯覚する程度の、自分による自分の証明。


「なくならない……」


真剣に困った声で、子供レベルの小さくて変態な絵師さん。瀬戸博は、ディスプレイに映る画像データと睨めっこ。

普段はとんでもないほどの馬鹿で、ど変態で、女の事しか考えない彼であるが。こと、自分にとって必要な事ややるべき事には、とてつもない集中力と成果をあげる。

馬鹿と紙一重の天才の、1人といえよう。

とはいえ、彼のメインは女の子だけという有様であるが。


「うーん。ダメだ!むらが、上手く……」


そんな彼にも悩みがある。悩むということは、改善があるということ。それに自分は気付いているようで、気付けない。その悔しさもまた、レベルアップの一つだ。

そんな瀬戸の様子を眺める、瀬戸の被害者と呼べる3人の女性。



「悩んでるね、瀬戸くん。珍しい」


安西弥生。


「でも、私には分かる。オカシイに気付けるのに、直らない歯がゆさってクリエイターには付き物だよ」


林崎苺。


「あたしにはそう見えないんだけど」


工藤友。


ここはゲーム会社。

ブラック真っ只中の、ゲーム会社である。


「村が困っているって、瀬戸くんって田舎育ちだっけ?」

「いや、都会でしょ?絶対あーいう奴、親戚と仲悪いタイプ」

「友ちゃーん。こーいう集まりのほとんどは、親戚関係と仲が悪いものだよ?」

「常識で測れない生物の集まりが、クリエイターですからね」

「あたしが除け者かい!?」


常識なんて、よく分からないものだ。ここでは親族関係の仲が良くないのが多いのだろう。まぁ、そーいう仕事といえば、そうだと思うが……。なんしろ、金を稼げる仕事はいいものだと思うのだが。


「いやー、村って村じゃないでしょ」

「林崎はどーいう考えよ」

「瀬戸はデザイナーよ。きっと、色のむらが気になっているのよ」

「ああ、それはあるわね」

「妥当です!」


弥生はプログラマー、友ちゃんはプランナー&営業などなどの雑用、林崎は音響全般。

このゲーム会社のデザインを任されているのは瀬戸ともう1人、松代宗司が主な担当であった。


「あたしは。あれね……村でも、斑でもなく、ムラね。ムラムラするってあれ」

「うわぁー。私はそれ言うつもりなかったー。友ちゃん、考えてちゃった?」

「私も言わないようにしてたのに……」

「この裏切り者共ーーー!なんか私があいつと同レベルみたいじゃない!?ムラムラしてないわよ!」


騒がしくなったところで、瀬戸も気になって声をかけた。


「もー、友ちゃん!聴いたよ、今の!助けてよ!凄い貧乳でも良いから」

「うっせ、死ね!!ま、ま、まだ成長期あるわよ!」


いや、ないない。


「ところで、さっきから何を悩んでいるの?」

「あーその、退かない?」

「すでに瀬戸くんには色々退いているので、別に大丈夫ですよ」

「そっか」


これが平常かつ日常会話。

瀬戸としては、女の子と話せるだけで幸せなのだ。毎日は無駄にポジティブなのさ。


「実はその。僕、あんまり今、ムラムラしないんだ」


あ、友ちゃんの予想通りだ。(全員の予想通りだ)


「エロ漫画描いてるとこだけど、男優の印象が弱いせいか。そそられない。ビッチな女性のおかげで保たれているエロ漫画……という印象が強すぎるんだ!僕の作品全般が!読者をムラムラさせるのが、僕の作品が導く影響でありたいんだ!!」

「女のあたし達に相談されてもねぇ」

「仕事中に趣味ですか」

「……平常運行、ですね」

「ほら、相談しても解決しない!この憤り、分かってくれないなんてね!」

「相談って全てが解決に向かうもんじゃないわよ」

「というか、どう答えろって?」


分かるようで、分からん状況。

まぁ、とりあえず。


「私、ちょっと拝見してもいいですか?」

「や、弥生ちゃん。いいの?」

「男の方にでしたら、口に出したいです。読んでみたいし」


興味本位。こーいう輩を敬遠する者も当然いるが、そうでない人もいる。

安西弥生。勇気を振り絞るとかはなく、ご拝見。


「………確かに、性的な感じは湧いてきませんね。エロ漫画としては微妙かと」

「だよね!!弥生ちゃんの意見聞きたいんですけど!」

「私としては……ちょっと席をいいですか」

「どうぞどうぞ!」


プログラマー、安西。彼女なりのスーパーな、アドバイス。

ちょっとした記憶媒体を差込さしこみ


「ほうほう」


とある自作ソフトを起動させる。


「で?」


ディスプレイ画面は非常に綺麗となり、内臓されたデータもまた、スッキリに



「一から作り直してください。その間、エロイデータは全部没収です。この中に全部入りました」

「ちょっと弥生ちゃーーーん!?なにしてくれてんのー!?」

「仕事中に趣味ばかりしないでください。私、宮野さんの相手なんですから……」

「ごめん!悪かったから!頑張って仕事するし、ちゃんとしたエロ漫画作るから!だから、僕の!僕の作品、嫁達を連れ攫わないでーーー!」



パソコンやスマホなどがあれば良いやと思うけれど。


「ああされると、人間の多くが脆くなるよね。人は人ってことで」

「仕方ないけれど。村人らしく暮らせってのが、あいつの罪の償いよ」


それが無くなる辛さは、ホントに計り知れない。


「ムラムラしない村人にされちゃったよ!!」

「それでいいかと」

「別に上手くない!」


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