第35章.夜を駆けた二人
「何やってんだい、あんた」
「も、モモさん…」
カガリに置いてけぼりにされ狼狽えていた杏の背後から声を掛けられ振り返ると、そこには玄関から杏を見かねたモモこと、桃乃が訝しんだ表情で佇んでいた。
「あ、あの……」
「……この年で立ち話は疲れる。中へお入り…話はそれからだよ」
「え…あ……」
桃乃が嘆息混じりにそう言うと、戸惑う杏を待たずにさっさと家の中へと引っ込んでいってしまった。
少し迷った後、渋々家の中に戻ると廊下の奥へと向かう桃乃の姿が見え、杏はトコトコ奥へと進んでいく。
廊下の壁に飾られたは古時計や、平成の世には珍しいダイヤル式の黒電話が置かれた引き出し台を横目に、杏は桃乃が入っていった部屋を恐る恐る顔を覗かせた。
「お、おじゃましま……ふひょ!!!!?」
部屋を覗いた杏は……その光景に感動と興奮に目を輝かせた。
「だ、駄菓子屋だーーーっ!!!!」
そこは小さなお菓子の世界であった。
棚に並べられた沢山の種類のお菓子。懐かしの瓶ジュースや色とりどりのニッキ水の入ったガラス張りの冷蔵庫。
天井に吊るされた今時買うものがいるのかと疑うような数々の玩具…子供たちの憩いのオアシス。
柳森街で育った引きこもり(監禁)生活歴の長い杏にとって、夢にまで見た駄菓子屋に、杏は大ハシャギで店内を見回りだした。
「す、すごい!これが、本物の駄菓子屋……見たこと無いモノだらけだ…!!」
「古い駄菓子屋だけどねぇ。お菓子に関しちゃそこいらのコンビニなんかにゃ、負けてやしないさ」
「あっ……」
畳の敷かれたテーブル席から聞こえた声に振り返ると、そこには杏のハシャギっぷりに、ニヤニヤとにやける桃乃が座っていた。
杏は恥ずかしそうに顔を赤らめると、そそくさと桃乃の前の席に着く。それを見た桃乃はより可笑しそうにケラケラと笑った。
「今どきの子は駄菓子なんかに目もくれないってのに……面白い子だね、あんた」
「う……お、お恥ずかしい、ものをお見せしました…」
「いやいや、嬉しいよ……こんな寂れた店でもまだ喜んで貰えるなんて思いもしなかったからね。店残して消えたあの人も浮かばれるってものさ」
「え……じゃあ、このお店は…」
「“旦那”のだよ。ずいぶん昔に居なくなったがね。商売下手なくせに、子どもに甘い人でねぇ…あたしに黙って勝手に駄菓子をオマケするような人だったさ。全く、商売上がったりだってのに……」
「……でも、いい人……だった?」
「ふん!あそこまで好き勝手にするような奴だと分かっていたら結婚なんざしなかったよ!誰も来やしない店を、ババア一人に押し付けて居なくなるなんて……ほんと、勝手な奴さ」
鼻を鳴らし、桃乃はそっぽを向いて憎たらしいとばかりに愚痴を溢す。だが、その横顔はどこか寂しげであった。
「ご…ごめんなさい……変なこと、聞いてしまって…」
「ヒヒ。なぁに、気にすることないよ…こっちこそ年寄りの昔話なんて聞かせて悪かったね」
聞いてはいけないことだったのかも知れないと、謝る杏に対し、桃乃は笑ってそう言うと「それで?」と続ける。
「聞きたかったのはババアの話じゃないだろう?遠慮なく言ってごらん。何か、聞きたいことがあっただろ?」
「っ!…う、うん。あいつが……轟が……言った意味を…教えて欲しい、んです…」
見透かされていた杏は一瞬、驚いてしまったが、すぐに意を決してモヤモヤとしていた疑問を口にした。
「……あの子がなにを言ったんだい?」
「それは……その、と、轟が言ってたんだ……モモさんは…親じゃない…って、本当…なのかなって…」
「……そうかい…」
明らかに険しいものへと表情を変えた桃乃に杏は息を飲む。
しかし、どうしても気になるカガリの過去に、杏は姿勢を正し、真っ直ぐに桃乃を見据えた。
そんな真摯に向ける杏の眼差しに、桃乃は「ふぅ…」とため息を吐くと、静かに語りだした。
「これだけ面倒を掛けていながら他人扱いとはね…ったく、どうしようもない子だね、あの子は……」
「え……?」
「確かに、あの子の言う通り、あたしはあの子の親じゃない……あの子がバカやって捕まった時の単なる身元保証人兼保護者に過ぎないさ……でもね。“血が繋がってない訳じゃない”」
小首を傾げる杏に桃乃は教えるように言葉を続ける。
「あたしはあの子の父方の祖母だよ……と言っても、もう何年も前から疎遠してるがね。ヒヒヒ」
「ひ、ヒヒヒって……笑い事じゃ…」
「笑い事さ。息子とは昔っから反りが合わないなくてね。口を開けば口喧嘩ばっかりさ。まあ、今会えば口喧嘩だけじゃすまないかもだけどねぇ…」
「……轟も、お父さんと…な、仲が悪いの…?」
「ん?ヒヒ…“仲が悪い”…だけなら、あの子はどんなに楽だっただろうね…」
桃乃は悲しげに目を細め、棚上に飾られた古い写真立てを見つめる。
杏はつられるように写真立てを見つめると、そこには生真面目さの現れた出で立ちの堅実な顔立ちで背筋を伸ばした青年が写っていた。
「……あ、あの…如何にも頑固そうな人が、轟の?」
「ふん…見た目以上に融通の利かない頭の硬い奴だよ」
仏頂面で鼻を鳴らす桃乃は写真から視線を戻すと目の前に置かれていたお茶を飲み干していく。
そして、手にした湯飲みを机に置き、ゆっくりと言葉を続けた。
「誰に似たのか。あたしから産まれたとは思えない程に小さい時から可愛いげのない生真面目な奴でね…礼儀正しく、見た目通りの勉強も力もあって、その上なんにでも器用にこなす。ワガママ一つ言いやしない……本当に可愛いげのない子だったよ」
「す、すごい……人、なんですね…」
「すごいものかい。面白味の無いバカ真面目な奴が生意気に正義感を抱いてみな。そして、そんな堅物に“出来の悪い子”が出来たら……世に出すのも恥ずかしがったそいつは何をしでかしたと思う?」
「ぁ……」
憤るように語った桃乃の言葉で、杏はようやく気がついた。
「“虐待”…」
恐る恐る声に出した言葉に、桃乃は頷く代わりに深いため息を吐いた。
「……馬鹿げてると思わないかい?自分は正しいと思い込んでるバカな親の行き過ぎた教育のせいで…期待に応えられないってだけで子がひどく傷つくだなんてさ」
「……だ、だから…モモさんは、轟をここに連れてきたの……?」
「いや……あたしが息子と疎遠になったのはあの子が産まれるより前だったからね。子どもが出来ていたなんて知りもしなかったよ………あの子を連れてきたのは…きっと、居なくなった旦那のやったことさ」
「え…?と、轟の…お祖父ちゃんが……?でも…」
「ヒヒヒ……あぁ、旦那はとっくの昔に居ないよ。でもね。あの子は“知らないじいさんがここなら大丈夫”って教えてくれたって言うんだ。……そんなこと言われたら、追い返す訳にもいかないじゃないか」
小さく笑う桃乃はそう言って、ゆっくりと立ち上がると並べられた駄菓子の棚から小さなスナック菓子を一つ手に取り、それをひょいっ、と杏の手元に放り投げた。
スナック菓子を受け取った杏は驚いたように桃乃を見つめると、桃乃は険しい表情で駄菓子の棚をじっと静かに見つめていた。
「あの子はね…自分には父親が求める才能なんて微塵も無いと気づきながら、それでも必死に褒められようと努力したんだろう……だが、現実は残酷さ……もがいてももがいても、父親はあの子の自由を奪い、厳しく当たり続けた。そのせいで、誰かに期待されるのが怖くなっちまったあの子は……人を拒むように悪さばかりするようになった…“誰からにも嫌われていたい”一心でね、皮肉なもんさ」
「嫌われていたい……一心で…」
_____なら、どうして轟カガリは救ってくれたのだろう…?
(本当に嫌われていたかったのなら、あの時…あたしを見捨てることだって……)
「見捨てられなかったんだろうね」
「え…?」
俯く杏の心を読んだかのように、桃乃は険しい表情を一変させ、柔らかな笑みでそう言い、また一つ、スナック菓子を杏に放り投げた。
「あの子のやることは、矛盾してるからねぇ」
「む、矛盾…?」
怪訝そうに首を傾げさせる杏に、桃乃は「あぁ」としっかりと頷いて見せた。
「天の邪鬼って奴さ。嫌われたいから悪さをするが、似たような奴が基本的にほっとけない質なのさ。でもやり方はそりゃ酷い、結局やりすぎのあまり怖がられて誰も近寄らない。それに満足するくせに、心の底では悲しんでるんだから呆れたものさ」
「……確かに…めちゃくちゃで、口も悪くて乱暴者の怖い奴だけど……それでも、あいつは…良い奴、だと思う……」
「ヒヒヒ…そんなことは言われなくても分かってるよ。どんなに人様に迷惑かけるような悪さしようとも……“あたしの孫娘には代わり無い”からね」
「小憎たらしいがね」と、桃乃は苦肉に笑う。ひねくれた彼女の祖母らしく、素直ではない態度に杏は口元を小さく微笑ませた。
__________羨ましい…
今までそう言ったモノを感じることが無かった杏にとって、このえもいわれぬ温もりは、それは眩い程に羨ましい限りであった。
自分にも、祖母や祖父がいたのだろうか。母親は亡くなり、父親の元から立ち去った今、それを知る術は無い。
爪弾き者同士…でも、彼女は自分と違って桃乃がいる…
あぁ、なんて……なんて…。
_____“羨ましいのだろう”。
(あ……れ…?)
「おや、もうこんな時間か…時間ってのは早すぎて嫌になるねぇ…」
「え、あっ……ご、ごめんなさい。つい……長話を……!」
「ん…?あぁ、なに…構いやしないよ。さて……そろそろ、夕飯の支度でもしようかね…」
桃乃の呟きに我に返った杏は慌てて頭を下げると、桃乃は気にしなくでくれと手をヒラヒラと動かし、母屋へと戻っていく。
__________今、自分は“何を思った”?
誰も居なくなった部屋で一人、杏は痛みの走った胸に手を当てようとして、手がじっとりと汗ばみ、小刻みに震えていることに気がついた。
「な……なんで…あたし……」
__________いらないなら……欲しいよね…
(ち、違う……あたしの……声じゃない……?!)
自分の頭の中に、知らない声がテレビの砂嵐のように、脳を掻き乱し響く。
知らない声、知らない誰かが耳元で囁きかける。その言葉は寒気がするほど甘く、怖いほどに脳が焼けつくような妖艶な香りを漂わせていた。
_____欲しいなら…全部支配っちゃおうよ…その為の……
「「ヒャイーハー」」
「ッハ!!?」
喉を絞められているかのような、息苦しい重圧感ある声。それらを掻き消すように別の声が響き、杏は弾かれるように足元を見ると……
そこにはいつの間にか姿が見えなくなっていた2体のロボットが杏を見上げていたのだった。
「ハァ……ハァ……今のは……一体…?」
聞いたことも無い冷たい声色なのに、その口振りは酷く穏やかだった。それゆえに、身の毛もよだつ程恐ろしかった。
心配げに見上げている二体を一瞥した後、杏はカラカラに渇いて張り付いた喉を擦りながら辺りを見渡す。
(誰も……いない…)
ノイズのように鳴り響いていた謎の幻聴はすでに無い。
誰もいない店内に杏はホッと息を吐くと、額から汗が滝のように流れ出た。
(一体…今のは何だったんだろ……)
_____欲しいなら…全部支配っちゃおうよ…その為の……
(“魔法”…?)
聞こえなくなった声の内容を思い出し、杏は言い表せない不安を覚えた。
どういう意味なのか、一体あれは何だったのか…
「「ヒャイ~ハ~」」
「………うん、迷っちゃいけない…よな…」
杏が悩んでいると、二体のロボットが肩にしがみつき陽気に声を上げる。静かに決意を固めた杏は母屋へと戻り、桃乃がいる台所へと向かっていく。
「も、モモさん…」
「おや…どうした?あのバカが帰ってきたのかい?」
「う、ううん。違う…んだ……その……」
杏に声を掛けられ、夕飯の準備に取りかかっていた桃乃は一旦手を止め振り返る。
杏はモジモジと手を弄る手を力強く握り締めると、意を決したのだった。
「““お願い”が、あるんだ…」
>>>>
「た~だいま~……っと、腹へった~…なんかねぇかなぁ~?」
「なんもありゃしないよ」
「ゲッ…!クソババアうごっ!!?」
「ゲッとはなんだい。クソガキ」
玄関の戸を開け、帰ってくるなりカガリは真っ直ぐに台所へと向かっていくその道中、バッタリと出くわした桃乃にカガリは避ける間もなく拳骨を食らった。
「いってぇなぁ…!!何すんだよ!なんもやってねぇだろ?!」
「嘘をつくんじゃないよ!ったく、お前って子は……夕飯まで我慢しな」
「ちぇっ……鬼クソババアめ…」
「なんとでも呼びな、クソガキ。それで?“家賃”はちゃんと手に入れて来たのかい」
「ケッ、毎回コキ使いやがって……ホラよ」
不服に表情を歪ませたカガリは差し出してきた桃乃の手に“果物や野菜の入った袋”と、僅かなお札しか入っていない封筒を手渡した。
「家に置いてやってんるんだ、文句はおよし。さて…ご苦労だったね。ホラ、お駄賃だよ」
「別にいらねぇよ。オレんのじゃねぇし…ババアの生活金だろ」
「なぁにいっちょまえな事言ってんだい……“爺婆老人会や町内を困らせるバカ共を懲らしめている”のはお前だよ。こう言うのは必要対価って言うんだ、黙って受け取んな」
「自分の小遣いくらい自分で稼ぐっうの!っうか、ババア。年なんだからあんま厄介事に首突っ込むなよ。不良共の恨みを買っても知らねぇぞ…」
「ヒヒ、余計な心配だよ。恨みの的は全部、お前に向いてるから平気さね。それにこんな儲かるならやらないわけにはいかないだろ?」
「ハァ…とんでもないババアだぜ、ホント……っうか、ボサ髪女は?さっきから姿が見えねぇけど……どこ行ったんだ?」
「ボサ髪…?あぁ、杏ちゃんの事かい」
カガリ以上に悪い顔して笑う桃乃に、カガリは額に手を当て、深く嘆息しその場を去ろうとしたその時、杏の姿が見えないことに気がつき、桃乃に訊ねた。
すると、桃乃はさも当たり前のように言うのであった
「あの子なら出ていったよ」
「は………ハァァッ!!!!!??」
>>>>
「…………チッ…」
月明かりのみしか入らない屋根裏部屋で一人、カガリはソファーの上で腕を枕がわりに寝転がっていた。
一つしかない天窓の外から虫の音が聞こえる程の静かな空間なのだが、時折不機嫌が漏れだすように舌打つ音が鳴り響く。
_______事情は知らないが、何かやることがあるって出ていっちまったよ。
「……んだよ。やることってよ…」
誰に言うでも無く、カガリは天井を無意味に睨み付けながら愚痴を溢した。
杏が出ていってしまった理由が分からず苛立ちを隠せないカガリは納得が出来ず。この辺りを探して見たが…いくら探せど杏の姿は無かった。
「……ッ~~!!ああもう!やめだやめだ!!あいつがどこに出ていこうがオレの知ったことじゃねぇよ!!」
自身に言い聞かせるように苛立ちを吐き出したカガリは毛布を頭まで深く被り、眠りにつこうと目を瞑る。
だが、心に掛かったモヤが簡単に晴れる筈も無く、眠りを拒むように目が冴え、カガリは毛布の中で寝返りをうった。
(黙って居なくなってんじゃねぇよ…)
複雑に入り乱れたもどかしい感情に、カガリは深く息を吐き再び目を瞑り、しばらくするとカガリは無意識の内に眠りについたのだった。
そして、朝がやってきた。
>>>>
_____キ~ンコ~ンカ~ンコ~~~ン…!!
その日、カガリは気まぐれに学校に来ていた。
「ふぁぁぁ~~~……ねみぃ…」
授業を知らせるチャイムが鳴ろうとも、カガリは全く気にする様子も無く眠たげに大口で欠伸をかいた。
「ぜ、全員席に着けー、授業を始めるぞ~っと…そ、その前に……」
カガリがいるせいか。教室の中が若干ピリついているが…やはりカガリは気にもせず、教師が授業を始めようとお構い無し。
教師の言葉は耳に入らず、机の上に乗せた足は降ろそうともせずにうとうとと、窓の外を眺めていた。
「………と言うわけで…みんな、よろしくしてやってあげてくれ。それじゃあ……あっ、ちょっ!?」
(やべ……超ねみぃ…)
周りが何か騒いでいる気がするが、状況を確認しようとも瞼は重く閉じ始め、あまりの眠気に意識がはっきりとしなくなってきたせいで、何も分からない。
眠りに誘う睡魔に、カガリは船を漕ぎはじめていた…その時だった。
「起きろよ、轟」
「んが……?」
__________ゴスッ!!!!!!
「うぎごっ!!!!!!?」
眠りにつく五秒前。突然、脳天に強烈な一撃が打ち付けられ、完全に気を抜いていたカガリは衝撃で勢いよく椅子から転がり落ちた。
「イッッ……!!誰だゴラァァァ!!!!?ぶっ殺されてぇか!!!!?」
一瞬にして教室中が凍りついたように静まり返る……そんな誰もが言葉を失っている中、背中を強打した挙げ句眠りを邪魔され、脳天も殴られた事により大激怒を起こしたカガリは勢いよく起き上がり、殴ってきた人物を睨み付けた。
「誰だとは酷いな…もう忘れたのか?」
「ああん……!!?」
場に悲鳴が上がり、生徒たちが一斉にカガリの周りから離れる中、カガリに手を出した人物は両手を広げ嘆息する。
その恐れを知らぬ行動に、その場にいた誰しもが最悪の事態を想定した……のだったが……
「あ……」
「“引きこもりが百年分の勇気で来た”ってのに…寝てるとか、マジ無いぞ…」
唖然としているカガリに、目の前の人物は呆れた口調でそう言うと、カガリの目の前に拳を突き出し言うのであった。
「“今宵坂杏”…ただいま参上、だ。“轟”……ニシシシ!」
「……ハハ」
不器用な笑みを浮かべて突き出された杏の拳に…カガリは小さく笑うと杏の拳に自身の拳を突き合わせた。
「にへぇ…よろしくな。相棒」
「ヘッ、お前に務まるのかよそれ?」
照れ臭さそうに言う杏にカガリは意地悪く笑って言うのであった…
今宵坂杏。後日、彼女の名は転校初日で轟カガリに一撃を加えたと言うことですぐさま学校中に広まってしまい、カガリに次ぐヤバい人物にとして噂されるようになってしまったのだった……
そして、今宵坂杏もまた…
轟カガリと共に闇夜を駆ける魔法少女として、魔導協会と戦いの日々を繰り広げるのであった。




